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2023-03-30

売掛金の残高管理とは?残高管理の方法や差額が生じる原因を解説

売掛金の残高管理を怠ると、「取引先からの入金が滞っていた」「想定より売上がない」などの事態に気が付かないかもしれません。キャッシュフローの悪化につながるリスクもあるため、会計業務への不安を覚える際は、売掛金の残高管理も徹底しましょう

そこで今回は、売掛金の残高管理について、基本的な知識や管理方法、差額が生じる原因について解説します。差額が生じた際の対処方法も解説するので、「毎月の計上作業にミスが多い」「会社の現状を正しく把握したい」といった際はぜひ参考にしてください。

正しいノウハウを身に付け、経営上のリスクヘッジに向けた取り組みを本格始動させましょう。

売掛金の残高管理とは

売掛金残高

「売掛金の残高管理」とは、未回収の売掛金がどれほど残っているか管理することです。売掛金は30日後や60日後に回収する未納の代金なので、将来的に正しく入金されなければ自社の負債が増えます。

そのため企業は、売掛金残高を正確に管理し、回収するための対策を講じなければなりません。売掛金の残高管理を徹底し、キャッシュフローを改善しましょう。

そもそも売掛金とは

「売掛金」とは、企業が顧客に対して販売した商品やサービスの代金を将来的に受け取れる権利です。

例えば、ある企業が顧客に1万円で商品を販売した場合、代金は直ちに支払われるわけではなく、請求書を発行し支払期限を設けます。この場合、1万円を売掛金として扱い、30日後や60日後に回収します。

売掛金は、会計上では「流動資産」に分類され、企業の経営状況を把握する上で重要な指標の一つです。

未収金(未収入金)との違い

売掛金と未収金はともに会社の債権であるという点は共通していますが、以下の違いがあります。

<未収金(未収入金)と売掛金の主な違い>

  • 未収金は本来の事業活動以外で得られた債権
  • 売掛金は事業活動から生まれる債権

具体例としては、「固定資産」「有価証券の売却」「保有する物件の賃貸収入(賃貸収入を得ることが本業である場合には売掛金として処理する)」などが未収金です。

一方、売掛金は商品やサービスの対価(代金)を後から受け取る権利なので、それぞれ意味が異なります

売掛金の残高管理が必要な理由

説明する女性

売掛金の残高管理を疎かにすると、事業継続において不利な状況に陥るおそれがあります。

<残高管理不足のリスク>

  • キャッシュフローの悪化
  • 事業目標の下方修正

売掛金の残高管理を疎かにすると、「入金の遅れ」「未回収リスクの高さ」を把握できない可能性があります

たとえば、なんらかの理由で売掛先からの入金が滞っている場合、自社の仕入れの代金や各種支払いまで滞るかもしれません。万が一、売掛先の経営悪化や倒産により回収不可能となれば、売上を確保できず「新規事業」「設備投資」など、成長機会を逃すおそれもあります

安定した経営状況を保つため、売掛金の残高管理は徹底して行いましょう。

売掛金の残高管理をする方法

売掛金残高を適切に管理する方法を具体的に説明します。

<管理方法>

  • 売掛金残高一覧表、売掛金年齢表、顧客マスタを作る
  • 顧客ごとに締め日の管理を行う
  • 遅延している案件に対処する
  • 顧客の信用情報を確認する
  • 売掛金残高の状況を定期的に確認する

売掛金残高一覧表、売掛金年齢表、顧客マスタを作る

売掛金残高一覧表を作ることで、売掛金の残高状況や入金状況を把握しやすくなります。

そして、長期未収入金や貸倒損失に計上するタイミングを把握するためには売掛金年齢表が役立ちます

また顧客情報を効率的に管理するためには、顧客マスタを活用することも重要です。

顧客ごとに締め日の管理を行う

掛取引については月末締めが一般的ではありますが、取引先によっては締め日が異なることもあります。

顧客別の締め日を設定し、締め日に応じて請求書を発行するように調整します

これにより、支払い遅延を防止し、売掛金の回収をスムーズに進めることができます。

遅延している案件に対処する

遅延案件に対しては、回収計画を立て、督促や催促を行うことが重要です。

「遅延している売掛金を回収する方法」でも説明しますが、遅延期間や回収方法を明確にし、回収計画を立てることで、売掛金の回収を促進することができます。

顧客の信用情報を確認する

顧客の信用状況を把握し、与信枠を見直すことで、リスクを最小限に抑えることができます。

信用状況が悪化している場合は、適切な措置を講じることで、リスクを回避することができます。

売掛金残高の状況を定期的に確認する

売掛金残高の状況を定期的に確認し、問題点を把握するようにします。

また、顧客ごとの残高状況を把握することで、売掛金の回収に対する優先順位を設定することができます。

売掛金残高に差額が生じる原因

売掛金残高に差額が生じる主な原因は以下の4つです。

<主な原因>

  • 売上の計上漏れ
  • 二重計上
  • 単純な計算ミス
  • 決算処理のミス

それぞれの原因について、次項から詳しく解説します。

売上の計上漏れ

売上の計上漏れにより、実際の入金額と帳簿の数字にズレが生じます。たとえば、伝達ミスにより経理担当者に売上の報告が上がっていない場合、本来はあったはずの売掛金が計上されません

そのまま売掛金の入金日を迎えると、帳簿上の売掛金残高と入金額に差額が生じます。計上漏れは税務調査の指摘対象になりかねないので注意しましょう。

二重計上

二重計上が発生すると、同じ売上が二重に処理されるため、売掛金の残高にズレが生じます。二重計上は、以下のケースで発生します。

<二重計上が起きやすいケース>

  • 複数名で会計処理をしている
  • 担当者の知識や経験が不足している
  • 請求書を紛失した後に再発行し、紛失したはずの請求書が出てくる

たとえば、複数名で会計処理を行った際、同じ請求書を2名が処理すると二重計上が発生します。入金のない売掛金が見つかるため、残高にズレが生じます。

単純な計算ミス

消費税の処理や分割請求を行う際、単純な計算ミスが起こりやすく、売掛金のズレにつながります。たとえば、納品時点では税抜で計算したにもかかわらず、入金時に税込で処理すると、帳簿上は消費税分のズレが発生します。

決算処理のミス

決算処理のミスとは、以下のようなケースです。

<決算処理でミスが起こりやすいケース>

  • 売掛金と売掛金以外のお金の入り繰り
  • 貸方と借方を逆に記載する
  • 新規取引先の仕訳を誤る

たとえば、売掛金と立替金がまとめて入金され、すべて売掛金として処理した場合、決算時点で帳簿上のズレが生じます。

売掛金残高に差額が生じた場合は?


売掛金残高に差額が生じた場合、以下のポイントを確認して修正しましょう。

<差額が生じた際の確認ポイント>

  • 売掛金取引が正しく記録されているか
  • 売掛金の支払い条件が正確か
  • 自社と取引先で消費税の端数の処理方法が異なっていないか
  • 自社と取引先で締め日が異なっていないか
  • 消込でミスがないか

次項から、各ポイントの方法について解説します。

売掛金取引が正しく記録されているか

以下の方法で、売掛金取引が帳簿上で正しく記録されているか確認し、間違いがあれば訂正しましょう

<帳簿の確認方法>

  • 売上に関する情報を集める
  • 各種書類と照らし合わせ、金額や勘定項目が正しいかチェックする
  • 消費税の計算や消し込み作業は複数名でチェックする

まずは売上に関する情報を収集し、二重計上や計上漏れがないか確認します。売掛金と売掛金以外の項目がまとめて処理されていないか、勘定項目を照らし合わせつつ目をとおしましょう。

また、消費税の計算は、処理方法(税込・税抜)を統一しなければ混乱しやすいため注意してください

自社と取引先で消費税の端数の処理方法が異なっていないか

自社と取引先で消費税の端数処理の方法が異なる場合、自社で相殺処理を行いましょう。売掛金が50,000円、入金が50,005円として、以下の仕訳表から相殺処理の流れを解説します。

【入金時の仕訳】
日付 借方 貸方 摘要
○月○日 普通預金 50,005円 売掛金 50,000円 売上(A社)
仮受消費税 5円

上記のように、仮受消費税として端数を処理することで、差額を相殺できます。売掛先からの入金が少ない場合は、端数分を借方に記載しましょう。

自社と取引先で締め日が異なっていないか

自社と取引先で締め日が異なっていないか目をとおし、想定通りの差額が出ることを確認しましょう。自社と売掛先の締め日が異なる場合、計上処理の際は差額が発生します

たとえば、自社が月末締めとして21日に請求書を発行すると、自社ルールでは翌月に入金されるはずです。しかし、売掛先が20日締めの場合、翌月の締め日に請求書の処理が行われ、入金は翌々月に行われます。

想定通りの差額であれば問題ないため、締め日が異なる場合はあらかじめ把握しましょう。

消込でミスがないか

消込作業は計算ミス、金額の確認ミスを誘発しやすいため、売掛金のズレに気が付いたときは必ずチェックしてください。チェックすべきポイントは次のとおりです。

<消込ミスのチェックポイント>

  • 消込を行う売掛先に間違いはないか
  • 請求額と売掛先からの入金額に相違はないか
  • 請求書の企業名と振込口座の名義が異なっていないか
  • 未入金など、イレギュラーな事態が発生していないか

消込は、取引件数が多いほど手間と負担がかかり、ミスを起こしやすい作業です。売掛残高の差額に気が付いた際は、消込のミスも優先的にチェックしましょう。

遅延している売掛金を回収する方法


遅延している売掛金を回収することができるかどうかは、回収に関する具体的な情報や状況によって異なります。次項から、一般的な回収方法について解説します。

顧客との交渉

売掛金が遅延している場合、まずは顧客との交渉が必要です。

顧客の事情や状況を確認し、支払いに遅れがある理由を尋ねます

その上で、支払いに対するアクションプランを共有し、支払いを促すことが重要です。

支払い督促の手続き

顧客との交渉にもかかわらず、支払いが遅れている場合は、支払い督促を行う必要があります。

支払い督促は、裁判所による督促手続きや、弁護士を通じた催促など、様々な方法があります。

債権回収会社の利用

売掛金が遅延している場合、債権回収会社の利用も検討しましょう。債権回収会社とは、サービサー法(債権管理回収業の特別措置法)に基づき、債権の管理・回収に精通した専門業者です。

債権回収会社には1名以上の弁護士が取締役として従事しているため、正しい法的解釈をもとに対処してもらえます。遅延する売掛金の対処はもちろん、与信トラブルの回避や債務者への交渉なども任せられるため、自社に専門的な知識・ノウハウは求められません。

自社の負担を抑えつつ、金銭的な損失も防ぎやすい手段です。

売掛金を譲渡する方法

取引先から入金される前に、早急に現金が必要になった場合などに活用されているのが、売掛金の譲渡です。

売掛金を譲渡する主な方法を2つ紹介します。

ファクタリング

「ファクタリング」とは、売掛金などのまだ現金化されていない請求書(売掛債権)を専門業者に買い取ってもらい、資金を調達する方法です。支払い期日を待たず、未回収の売掛金を手早く現金化することができ、資金繰りの改善が見込めます。

また、倒産などを理由に売掛金が回収できない場合、利用者側に返還の義務はありません。手数料は発生しますが、ファクタリングは確実に現金を手に入れられる方法です。

売掛金担保融資

「売掛金担保融資」とは、売掛金を担保に融資を受けて資金を得る方法です。企業が顧客に対して請求した代金が未回収の状態である場合、その売掛金を担保に銀行や金融機関から資金を調達できます。

また、売掛金担保融資は、自社の信用力が評価されれば、売掛金の金額を超えた資金も調達可能です。ただし、ファクタリングのような「売却」ではなく、あくまでも融資なので、利息の発生に注意しましょう。

まとめ

売掛金は、将来的に代金を受け取れる権利です。代金は未入金の状態なため、支払いが滞ると、自社の経営リスクを高めるおそれがあります。

毎月の徹底した残高管理を行い、経営・事業の安定化を図りましょう。

また、「資金繰りの悪化」「新規事業に向けた資金調達」など、緊急的に資金が必要な際は、売掛債権を現金化するファクタリングがおすすめです。

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  • 【監修者】鈴木 孝明(すずき たかあき)

  • 税理士 [登録番号:142076]/すずき会計事務所 代表

    20代で税理士試験に合格後、国内の税理士事務所に勤務。その後、独立し「すずき会計事務所」を開業。
    中小企業・個人事業主様を中心に、税務・会計支援を行っており、ファクタリングを含む資金繰り支援に関する実務経験も豊富。

  • すずき会計事務所のプロフィール