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2023-03-30

買掛金を決算処理する方法と注意点を詳しく解説

買掛金を利用した掛け取引には、現金の出費を抑えられる、取引を簡略化できるなど多くのメリットがあります。しかし、支払い漏れや遅延の予防に向けて、管理の徹底が必要です。

キャッシュフローの悪化や信用状況が低下するリスクを避けるうえでは、買掛金の決算処理を適切に行い、取引先との関係を損なわぬよう注意しなければなりません。

買掛金について詳しく知りたい方や買掛金の決算処理の流れを理解したい方は、この記事を最後までご覧ください。

買掛金を決済処理する流れ

買掛金
買掛金は、購入した商品やサービスの代金をまだ支払っていない債務です。
決算期には、買掛金の残高を正確に処理して、会計報告書に反映しなければなりません
決算処理の流れを、5つのステップに分けてご紹介します。

1.商品を注文する

まず買掛金で商品やサービスなどを注文します。
この時点では、まだ帳簿への記載などはしていません。ただし、管理ツールやソフトを導入している場合は、いつ注文したかがわかるように記録しておきましょう。

2.仕入れ時に買掛金の仕訳をする

仕入れを行った際に、買掛金勘定に貸し(増加)を記入し、仕入れ代金の未払い分を買掛金として記録します。
期末には買掛金元帳を確認し、未払いの買掛金の金額を決算報告書に記載します
決算報告書において、未払いの買掛金の金額を支払予定日別に振り分けます。

3.請求書を確認する

取引先からの請求書に誤りがないことを確認します。
宛名や発行者名、発行日、取引内容、金額、支払い条件といった必須記載事項に誤りがないか細かくチェックしましょう。
また、2023年10月からは、適格請求書(インボイス)の保存が必要です。登録番号と適用税率・消費税額の確認もあわせて行いましょう。

4.代金を支払う

支払予定日が来た場合、支払いを行い、支払額を現金勘定に借り(減少)を記入し、買掛金勘定から貸し(減少)を記入します。

5.支払い履歴を台帳に反映し買掛金を消す

支払が完了した後、買掛金元帳から支払額を引き、未払い残高を更新します。
決算報告書において、支払額と未払い残高を調整し、正確な買掛金の残高を計算するのです。
最終的に、買掛金の残高を負債の項目として貸借対照表に記載し、決算報告書に反映します。

買掛金を決算処理する際の注意点

買掛金

ここでは、買掛金を決済処理する際の注意点を3つご紹介します。

計上するタイミング

仕入先から請求書を受け取った瞬間が、買掛金の計上にもっとも適したタイミングです。
支払い期限が過ぎたとしても、請求書を受け取っていない場合は、買掛金を計上できません
また、納品された商品やサービスに不具合がある場合は、控除処理が必要です。
将来的なトラブルを予防するために、買掛金の経常時には、仕入先や請求書番号などの情報を忘れずに記録しましょう。

支払い漏れの防止

支払い漏れは企業の信用に関わる問題です。仕入先ごとの支払期限を細かく確認し、徹底して支払い漏れを防止しましょう。
支払い漏れが生じぬよう綿密なスケジュールを立て、支払期限までに手続きを進めてください

万が一支払いが遅れた場合は、すぐに仕入先に連絡したうえで、支払いを実行しましょう。
また、支払いが遅延した場合は、買掛金に利息が発生する場合があります。このケースでは、利息費用の計上が必要です。

正確な決算処理

決算時には、未払いの買掛金の金額を確認し、貸付対照表に正確に反映させましょう。
買掛金は流動負債に分類されます。しかし、長期負債に該当する部分については、固定負債として計上しなければなりません。この違いを正確に区別して会計処理を行いましょう。
正確な決算処理は、正確な財務諸表の作成につながり、企業の信用度を高められます。

そもそも買掛金とは

買掛金

そもそも「買掛金」とは掛取引において使われる勘定科目であり、「売掛金」と対になる考え方です。買掛金は、経理上、仕入債務に区分されます。

具体的には「商品の仕入れ」「サービスの依頼費用」など、通常の営業活動から発生する買入代金で、かつ支払いが未払いの状態である債務のことを指します。「後で代金を支払う義務」と考えるとわかりやすいでしょう。

また、買掛金と混同しやすい勘定項目に「未払金」「未払費用」「長期未払金」があります。それぞれ、買掛金とはどのように違うのか解説します。

未払金との違い

「未払金」は、企業が後払いで商品やサービスを購入した際に発生する債務を表す勘定科目です。貸借対照表上の負債の部に分類されます。

具体的には、「事務用品」や「備品」などの直接的な営業活動には結びつかない購入に対して使われます
未払いの代金を表す点は買掛金と同じです。しかし、未払金は単発的な取引から発生した債務を対象としており、この点が買掛金とは異なります。

未払費用との違い

「未払費用」は、継続的なサービスへの支払いが後払いになるものに使用される勘定科目です。
例えば、「建物や設備のリース代」「土地の賃貸料」「広告宣伝費」などが含まれます。

支払期日の到来前に発生する代金を指し、買掛金と同様に負債勘定に分類されます
決算をまたぐ場合は、決算日以前に発生した費用を当期分と来期以降の費用に分け、当期分のみを計上しなければなりません。

長期未払金との違い

「長期未払金」とは、通常の営業活動から発生する買掛金以外で、支払期限が過ぎている債務です。サービスの提供を受けた後、支払いが滞っている状態を指します。

決算の翌日から起算して1年以内に支払う場合でも、長期未払金として固定負債に計上される場合があります。これは、債務不履行のリスクが高いと判断される場合において、長期にわたって支払いが滞る可能性があるという判断からです。
したがって、未払金と長期未払金は、支払い期限や債務不履行のリスクなどに応じて、流動負債または固定負債に計上される場合があります。

買掛金の基礎知識

ここでは、買掛金に関する基礎知識を紹介します。

買掛金元帳とは

「買掛金元帳」は、仕入先元帳とも呼ばれます。会計帳簿の1つであり、個々の仕入先ごとに作成され、日々の買掛金の取引を記録する補助簿です。
具体的には、仕入先名、取引日、仕入金額、支払い日などが記載されます。各仕入先の未払金額や支払いのスケジュールを管理するうえで、買掛金元帳は欠かせません。
また、財務諸表も、買掛金元帳の情報をもとに作成します。

回転率

買掛金の回転率とは、商品やサービスを受け取った際の債務を支払うまでのスピードを表す指標です
買掛金の回転率は、売上高を買掛金で除した数値で計算されます。

「買掛金の回転率 = (売上原価 ÷ 買掛金残高) × 100」

例えば、1年間で100万円の売上高があり、年間の買掛金が25万円だった場合、買掛金の回転率は4回転です。
買掛金の回転率は業種業態によって適正水準が異なります。一般的には、回転率が高いほど、企業は迅速に債務を支払っていると判断されます。高い回転率を維持すると、企業の信用度が高まり、供給業者と良好な関係を築きやすくなるでしょう

回転期間

買掛金の回転期間とは、商品やサービスを受け取ってから実際に支払いを完了するまでの期間を示す指標です。一般的に、買掛金の回転期間が短いほど企業の支払い能力が高く、信用力が高いとされます。
買掛金の回転期間の計算方法は次の通りです。

「買掛金の回転期間(月) = 買掛金残高 ÷ (売上原価 ÷ 12)」
「買掛金の回転期間(日) = 買掛金残高 ÷ (売上原価 ÷ 365)」

例えば、ある企業が1年間で100万円の買掛金を支払い、期間中の買掛金の平均残高が25万円、支払期間が60日だった場合、買掛金の回転期間は(100÷25)×60=240日です。
買掛金の回転期間は業種や業態によって異なります。一般的には60日程度が望ましいとされます。

時効

時効とは、債権を行使するために法的手続きができる期限です。
買掛金には消滅時効が適用されます。債権者が債務者から債権を行使しないまま5年間が経過すると、債権が消滅する点に注意しなければありません。

ただし、買掛金には支払期日が設定されるケースが一般的です。支払期日から数えて一定期間内に支払われなかった場合は、債務超過金利が発生する場合もあります。
また、法律上の時効期間を超えても、債務者が債務を履行した場合には、債権が消滅しないこともあります。

時価評価

買掛金は、原則として支払い期日までに支払わなければならない債務です。しかし、時価評価により評価することも可能です。
現在の市場価格や評価額を用いて、その瞬間の価値を評価することを時価評価と言います。
会計基準や会社の方針によっては、買掛金以外の債務にも時価評価が適用される場合があります。
しかし、時価評価には買掛金の実際の支払い期限や金額とは異なる評価額が計上されるケースが多いです。会計処理をする際は、慎重に判断しなければなりません。
一般的に、買掛金の時価評価を行う場合は、買掛金の支払期限や利率、債務者の信用力などを考慮して、その時点での買掛金の現在価値を評価する方法を採ります。

償却費用

買掛金は、期限までに支払いが必要な債務であり、償却費用として計上できません。しかし、買掛金には支払期日までの金利や手数料などの費用が含まれる場合があります。
これらの費用は、支払期日までの期間にわたり、均等な費用化が可能です。具体的には、買掛金に発生する利息や手数料を、仮払金勘定などの費用勘定に計上し、支払期日までの期間を日割り計算して費用化します。
結果として、買掛金の費用を的確に計上でき、収益計算書の正確な決算を行えます。また、財務状況や支出の管理にも役立つ点もメリットです。
ただし、買掛金に含まれる費用を日割り計算する際には、支払期日までの期間が長期化する場合があります。長期間の支払いに対しては慎重な財務管理が必要です
また、企業の実務においては、状況に応じて評価方法や計上方法を変更する必要に迫られます。状況に応じて、専門家への相談や適切な会計ソフトの活用も検討しましょう。

まとめ

この記事では、買掛金と決算について解説しました。
財務諸表において買掛金が適切に反映されていないと、会社の資産や負債、利益などが正確に把握できなくなり、株主や投資家、銀行などの第三者の信用を損ないます。
適切な決算処理は、会社の財務状況を正確に把握するだけでなく、企業の信頼性を向上させるうえでも重要な業務です。内部統制を確立し、買掛金の決算処理を適切に行いましょう。
また、買掛金の支払いに早期に現金が必要となった場合、売掛債権を譲渡できるファクタリングの利用がおすすめです。
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  • 【監修者】鈴木 孝明(すずき たかあき)

  • 税理士 [登録番号:142076]/すずき会計事務所 代表

    20代で税理士試験に合格後、国内の税理士事務所に勤務。その後、独立し「すずき会計事務所」を開業。
    中小企業・個人事業主様を中心に、税務・会計支援を行っており、ファクタリングを含む資金繰り支援に関する実務経験も豊富。

  • すずき会計事務所のプロフィール