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2024-01-18

ファクタリングの審査書類は少ない?

ファクタリングは支払期日が到来していない売掛債権をファクタリング業者に買い取ってもらうことで資金調達できる手段です。
銀行融資などに比べて審査がスピーディーであり、資金ニーズがあるときに速やかに現金化できると注目を集めています。
審査書類が少ないことでも人気を高めていますが、実際に審査書類が少ないのか、どのような審査書類が求められるのか見ていきましょう。

 

■ファクタリングの審査とは

ファクタリングは、支払期日が到来していない売掛債権をファクタリング業者が買い取って、手数料を控除したうえで買取代金が支払われるものです。
ファクタリング業者ごとに審査基準が設けられており、その審査に必要な書類の提出や、Webの専用画面でのアップロードが求められます。
ファクタリングでもっとも審査したいポイントは、買い取る売掛債権が真正であることと、売掛先の支払い能力です。
ファクタリングでは支払期日前に売掛債権を買い取ることで現金化しますが、実際の支払期日が到来したときに、代金を回収することが必要になります。
もし、存在していない売掛債権を買い取ってしまい、ファクタリング利用者と連絡がとれなくなるなど不正利用されてしまえば、支払った金額の損失が発生します。
また、売掛先が倒産するなどして支払期日に支払いがおこなわれない場合も、ファクタリング業者がリスクを負うことになることがほとんどなので、売掛先の支払い能力は重要な審査ポイントです。

 

■ファクタリングの種類と審査ポイント

ファクタリングは大きく分けて2種類の方法があり、近年、Web完結でできるファクタリングの多くは、二者間ファクタリングになります。
二者間ファクタリングとは、売掛先を巻き込まずにファクタリング業者と利用したい事業者だけでおこなう方法です。
ファクタリング利用者はファクタリング業者に売掛債権を売却し、買取代金を受け取ります。
その後、支払期日が到来すると、売掛先はファクタリング利用者である売主に代金を支払います。
受け取った代金をファクタリング利用者は、ファクタリング業者に支払うことですべての手続きが完了する仕組みです。
二者間ファクタリングでは、ファクタリング業者は売掛先の支払い能力だけでなく、ファクタリング利用者の誠実性をはじめ、ファクタリング利用者が支払期日までに倒産してしまい、返金してくれなくなるリスクがないかも審査したいところです。
一方、もうひとつの方法である三者間ファクタリングは、売掛先も関係する取引の方法になります。
売掛債権の支払い義務を負っている売掛先に債権譲渡の通知・承諾を得ることが必要です。
売掛債権の買取代金をファクタリング利用者に支払うと、ファクタリング利用者はその売掛債権の債権者ではなくなります。
支払期日が到来したら、売掛債権を取得したファクタリング業者が直接売掛先から代金を回収する流れです。
そのため、ファクタリング業者にとっては、ファクタリング利用者がどのような状況であるかはあまり関係がなく、赤字経営であっても問題ありません。
あくまでも売掛先の支払い能力が重要な審査ポイントになります。

 

1.ファクタリング利用者の審査書類

ファクタリングの審査書類は大きく分けると、ファクタリング利用者を審査するための書類と、売掛債権の存在や売掛先の支払い能力をチェックできる書類に分けられます。
ファクタリング利用者の審査書類は簡便であることが多く、審査依頼書やWebサイトの専用フォーマットに必要事項を入力することと、申し込みをする会社経営者や個人事業主の身分証明書のコピーで済むケースも少なくありません。
また、通帳のコピーを求められることもあります。
法人口座を持っているかや、個人事業主であれば事業用の口座を持っており、事業用として資金の出入りがなされている実績があるかを確認します。
ファクタリング利用者の事業の実態や実績の確認に利用するのをはじめ、事業をおこなっていないのに、架空の売掛債権を使って不正利用することを防止することも審査書類として求める理由のひとつです。
一方、審査が厳しいファクタリング業者をはじめ、二者間ファクタリングの場合や、二者間ファクタリングで売掛債権の金額が大きくなるケース、初めての利用の場合には、ファクタリング利用事業者の決算書が求められることもあります。
ただし、決算書が赤字だから審査に落ちるとは限りません。
赤字決算であっても、売掛先の支払い能力が高ければ、ファクタリングができる場合もあります。
審査が厳しめのファクタリング業者では、必ず決算書2期分が求められ、場合によっては試算表を求めてくるケースもあります。
審査が厳しい業者としては、知名度の高い大手グループのファクタリング業者であるケースが多いです。
代金詐取などの不正利用の防止や、代金未回収による不良債権化の防止をはじめ、マネーロンダリング対策なども兼ねています。
また、決算書が2期分求められる場合、決算を2回おこなっていない創業間もない事業者はファクタリングが利用できないことがあるため注意しましょう。
この点、売掛債権が発生することは、売主・買主ともにある程度の取引を重ね、お互いに信頼関係が築けないと掛売取引には移行できません。
そのため、創業したばかりの事業者が、初めて取引する取引相手に掛けで売るのはリスクが高いです。
少額の取引や、請負契約など仕事の完成が代金支払いの条件となる場合を除き、あまり考えられません。
決算書が2期分をチェックすることで、事業者の体力や掛売取引ができる状況かなどを確認できます。

 

2.ファクタリングの対象となる売掛債権の審査書類

ファクタリングにおいては、売掛債権の存在と売掛先の支払い能力が重要な審査ポイントです。
ファクタリング利用者が赤字で資金繰りに困っている状態でも、売掛金の回収ができるのであれば、売掛債権の買取をしても、ファクタリング業者のリスクを抑えられます。
ファクタリングを利用する事業者は、運転資金がショートしたなど、資金繰りに困って利用するケースも多いので、こうしたニーズに応えるには、ファクタリング利用者の審査は簡潔におこない、売掛債権と売掛先の審査に重点を置くほうが目的を達成しやすいです。

・売掛債権の存在を証明する書類

いかにファクタリング利用者が、○○という企業に売掛債権を持っていると言っても、それが証明されなければ、買取をするのは極めて危険です。
代金を詐取する目的での利用や、すでに支払いを受けている期日到来済みの売掛債権などであっては困ります。
そのため、売掛債権の存在を証明する書類の提出は、基本的に不可欠です。
売掛金の記載がある帳簿では、不正記入や偽造書類を作成されるリスクもあるので、基本的には買取を希望する売掛債権の請求書や見積書、発注書などの証憑が求められます。
ファクタリング利用者の情報と取引先の情報、金額、契約日や請求日、支払期日など必要な情報が記載されていることが必要です。
すでに支払期日が到来している、もしくは支払いがおこなわれている場合はファクタリング対象にできません。

 

3.売掛先の支払い能力を証明する書類

売掛先の支払い能力については、企業名を元に企業データなどを照会して信用調査がおこなわれることもありますが、より簡便におこなわれることもあります。
たとえば、売掛先からの入金がわかる通帳履歴のコピーを審査書類として求められるパターンです。
掛売取引をしている場合、今回が初回というケースも稀にあるかもしれませんが、一般的には同じ取引先と継続的に掛売取引が続いているケースが多いです。
そのため、これまで問題なく支払期日に代金の支払いがあったことを示す通帳の履歴のコピーがあると、審査が簡単かつスムーズにできます。
これまで何度となく支払期日に入金されていれば、誠実に支払いをおこなう売掛先であることがわかります。

 

4.ファクタリング業者によって審査書類に差がある

必要書類についていくつか説明してきましたが、ファクタリング業者によって求められる審査書類に差があるのが実情です。
審査が簡単なこと、スピーディーに現金化できることをウリにしており、書類のやり取りはなく、すべてWeb完結を謳っているファクタリング業者の場合、Webサイト上でアップロードしやすい書類のみに限定していたり、最小限の書類にとどめていたりするケースが少なくありません。
身分証明書や請求書などを写メで撮影して、画像をアップロードするだけで審査書類の提出が完了する仕組みです。
一方、手数料を高くすることで審査書類を少なくしているファクタリング業者もあります。
ファクタリングでは、買取代金を支払う際に手数料が控除されますが、手数料は基本的に代金未回収となるリスクが高いほど高く設定されます。
ファクタリング業者が支払期日到来時に負担するかもしれない損失を、ファクタリング時にどのくらいのリスクがあるか見込んで設定するのが手数料です。
本来なら、厳密に審査をしたうえで、未回収リスクが高い場合は手数料を高くし、未回収リスクが低い場合には手数料を低くすることで調整できます。
しかし、審査を簡便かつスピーディーにおこなうために審査書類を少なくし、未回収のリスクが高まる分を手数料に上乗せするケースもあります。
十分な審査ができないことから、リスクの見逃しの可能性が高まるためです。
そのため、審査書類が少ないファクタリング業者で、審査スピードの速さをウリにしている場合には、他の業者と比べて手数料率が高すぎないか確認しましょう。
もちろん、手数料を多めに払っても審査書類が少なく、審査がスピーディーで、審査に通りやすいほうがよい場合は別です。

 

■銀行融資の審査書類との違い

銀行融資は売掛先ではなく、申し込んだ事業者の返済能力が問題になります。
売掛債権という限定された金額への支払いではなく、事業者の状態や将来性などを見極めて、融資の可否や融資額、利率などを決めなくてはなりません。
そのため、現在の財務状況などがわかる決算書をはじめ、将来の判断材料になる事業計画書の提出が求められるなど審査書類も多く、チェック項目やポイントも厳しくなります。
ファクタリングは、支払期日未到来とはいえ、短期で支払期日が到来するので、リスク変動要因も銀行融資に比べて小さく、銀行融資に比べて審査書類は少ないのがメリットです。

 

■まとめ

ファクタリングは審査書類が少ないのが人気の理由のひとつです。
審査書類が少ないので審査時間も短く、スピーディーに売掛債権の現金化が可能です。
提出が求められる審査書類はファクタリング業者によっても異なり、審査の厳しさと比例するケースも少なくありません。
やや厳しく審査するところでは、ファクタリング利用者の決算書も必要です。
一方、売掛先の支払い能力重視で、ファクタリング利用者が赤字経営であっても買取をしているファクタリング業者の場合、売掛債権の存在を証明する請求書や見積書、発注書だけでよいケースもあります。
そのほか、利用する会社経営者や個人事業主の身分証明書、売掛先との取引実績がわかる通帳のコピーなどが求められることもあります。
いずれにしても、銀行融資などに比べて審査書類が少ないので、申し込み段階の書類の準備から審査、支払いまで速やかに手続きができるのがメリットです。