2024-02-16
ファクタリングで審査落ちする原因は何?どこを改善すれば審査に通る?
ファクタリングは売掛金を元手にお金を借りる手段なので、他の資金調達方法に比べれば審査が楽に通るといわれています。
しかし、100%審査に合格するわけではないことに注意が必要です。
さまざまな理由で審査に落ちてしまうことも十分に考えられます。
今回はファクタリングの審査基準や、どうすれば審査に通れるのかをレクチャーしましょう。
■ファクタリングの審査通過率は?
金融機関からお金を借りるのは簡単なことではありません。
たとえば、日本政策金融公庫のような公的機関からお金を借りるためには厳しい審査に通る必要があります。
日本政策金融公庫の審査通過確率は50%前後といわれており、これだけでも容易な審査でないことがわかります。
なぜそれほどまでに審査が厳しいのかというと、将来返済の見込みがあるかどうかを厳しくチェックしなければいけないからです。
金融機関としても「この会社は堅実な事業計画を立てており成長の見込みがある」という結論に至らなければお金は貸せません。
ただ、そんななかでファクタリングはお金を貸してもらえる確率が高い方法です。
実際の審査通過率は業者によってまちまちですが、なかには「90%で審査に通過する」と謳っている業者もあります。
もちろん、そのような審査通過率を打ち出しているのはファクタリング一本でやっているような小さな金融機関に限られます。
とはいえ、世間に広く名が知られているような金融機関でも、70~80%で審査通過するところは少なくありません。
それだけの確率でお金を貸してもらえるのであれば、ぜひとも利用したいと考える事業者がほとんどでしょう。
もっとも、申し込みの仕方が悪いと審査落ちしてしまう可能性は否めません。
■なぜファクタリングでも審査に落ちてしまうのか?
では、ファクタリング業者はどのような審査基準を設けたうえで「この会社にはお金を貸さない」と判断しているのでしょうか。
まずはファクタリングを申し込んだ事業者ではなく、売掛先に原因があるケースが挙げられます。
売掛金の支払いを予定している事業者を売掛先と呼びますが、ファクタリングにおいて重要なのは申し込んだ事業者よりも「売掛先」です。
なぜかといえば、ファクタリングで貸したお金が返済されるかは、すべて売掛先に支払い能力があるかに左右されるからです。
たとえば過去数年赤字に苦しんでいるような会社が売掛先だとわかれば、その時点で審査は通さない方針を採用している会社がいても不思議ではないでしょう。
もちろん、仮に売掛先が支払いを踏み倒したとしても、債権を譲渡されたファクタリング会社が債権回収に乗り出せばよいだけで済みます。
もっとも、債権回収は時に長期にわたる可能性も否めません。
そうした面倒をとるくらいならば、審査をきっちりとおこなったうえで「支払い能力がなさそうな売掛先の債権は取り扱わない」となるのも自然です。
また、そもそも信用がおけない売掛先だった場合はその時点で審査にはねられてしまう可能性もあります。
代表的な例としては個人が売掛先のケースが挙げられます。
ファクタリングを取り扱っている業者のなかには「売掛先が会社でなければ引き取らない」と銘記しているところもあるくらいです。
なぜかといえば個人は信用情報の調査がしづらく、経営状況などを見通せないからです。
信用情報が第一のファクタリングにおいて、これは致命的といえます。
■怪しい売掛金も審査に通りにくい
先ほどは売掛先に問題があるケースを取り上げましたが、仮に信用のある売掛先だとしても審査に落ちる可能性は否めません。
とくに売掛金自体に信用がおけないとなると、お金を貸さない業者は多くいます。
たとえば入金までの期日が極端に長い売掛債権はなかなか引き取ってもらえません。
基本的にはファクタリング業者としてもお金を貸したらすぐに返してもらうのが理想的です。
たとえば売掛金が一か月後に支払われる予定だとしたら、業者はある程度安心してお金を貸せるでしょう。
一方で支払いまでの期日を長めに設定されていると、その分だけファクタリングで貸し出したお金を返済してもらうまでの期間が長くなってしまいます。
これではたとえ売掛先が信用のおける企業だったとしても、債権自体の信用度は低くならざるを得ません。
また、そもそもできて日が浅い会社の売掛債権は引き取られにくい傾向にあります。
新興企業はなかなか他の会社とのコネクションを築ききれないものです。
そんな状況のなかで高額な売掛金を作れるほどの取引は成し得ないのが一般的です。
ファクタリング業者としてもそのあたりの事情を踏まえながら審査をおこないます。
もしそんな売掛金を持ちこまれたとしたら「他の企業と結託しながら架空の債権を作ったのではないか」と疑ってしまうところです。
こうした背景を踏まえて、ファクタリングはある程度実績を積んでから利用したほうがよいでしょう。
そのほか、低額の売掛債権は業者によっては引き取ってもらえません。
業者はさまざまな形でファクタリングの下限金額を設定しています。
たとえば50万円の支払い見込みがある売掛債権を業者に持っていったとしましょう。
それに対して業者では100万円の下限金額を設定していたとします。
この場合は50万円だけお金を貸してもらうことは不可能です。
業者としてもやはりある程度高額な売掛債権を取り扱い、その分の手数料でしっかりと利益を上げたいと考えるものです。
これに関しては下限金額を低めに設定している業者を検索しながら対応したほうがよいでしょう。
それ以外にも、そもそも売掛債権が譲渡不可能だった場合はファクタリングができません。
企業のなかには取引相手がファクタリングをすることを避けるために、あらかじめ契約書などに「債権を譲渡してはならない」旨の文言を盛り込むところもあります。
一応、二者間でファクタリングをする分には売掛先に通知義務はないので、債権を業者に譲渡してもバレる可能性は低いです。
とはいえ、業者としてもわざわざ譲渡不可能と記されている債権を引き取るような真似はしたくありません。
こういった条文は債権を業者に持っていく前にあらかじめ確認しておくようにしましょう。
■確実にファクタリングの審査を通過するためには?
ここまでファクタリングの審査に落ちてしまう要因をいくつか解説しました。
売掛先に原因があれば、売掛債権に原因もあることは理解いただけたはずです。
ではこれらを踏まえたうえで、ファクタリング業者に信頼してもらうにはどうすればよいのでしょうか。
まずはなんといっても売掛先が信用のおける企業であることが最大の優先事項となるでしょう。
ファクタリングの審査に通るためには「売掛先の支払い能力が不可欠」といっても過言ではありません。
もっとも、誰もが知っている企業と取引をしろ、という話をしているわけではありません。
仮に売掛先が中小規模だったとしても、堅実な経営を続けて長年安定した取引をおこなっている企業であればやはり信頼性は高いです。
もしも手元に複数の売掛債権がある状態でファクタリングの申請に行くのであれば、そういった企業との取引をもとにした債権を持っていったほうがよいでしょう。
また、いかに高額の売掛金があったとしても会社の規模に見合っていないような債権を持っていくのは逆に怪しまれてしまいかねないので、やめたほうが無難です。
たとえば大口の取引で1,000万円の売掛金ができたとします。
一方で会社の過去の売り上げはそれに到底届かないような状況だったとしたら、ファクタリング業者はどう考えるでしょうか。
「このような小さな会社が突然こんな大きな売掛金を持てるのだろうか」と疑ってしまうでしょう。
場合によっては「債権を偽造しているのではないか」と疑われかねません。
大口の取引をすぐにお金に代えたい気持ちはわかりますが、身の丈に合ったファクタリングをするのが無難です。
■必要な書類を入念に準備するのも審査通過のカギ?
審査に確実に通るためには書類にも工夫が必要です。
ファクタリングはお金を借りるための方法のなかでは提出すべき書類が比較的少ないことで知られています。
どの業者でも売掛金があることを証明する請求書や注文書などは欠かせません。
そのほか、預金通帳のコピーや身分証明書も欠かせませんが、より多くの書類が必要となる銀行や金融機関に比べるとやはり提出する書類は少ない傾向があります。
なかには2~3点の書類だけでも十分とする業者もあるくらいです。
もっとも、提出した書類が少ないと逆に審査に落ちる可能性が高まってしまいかねません。
とくに売掛金の信用性を確かめるためには、請求書だけでは足りない場合があります。
売掛債権を持っていって信用性をアピールするためには、たとえば取引に関する契約書なども合わせて持っていったほうがよいでしょう。
もちろん、こうした書類を逐一準備するのは手間がかかるものの、こうしたひと手間を加えることでより確実にお金を借りられるので、やるに越したことはありません。
■審査を受ける業者を変えるのも手段?
なかには同じファクタリング業者に向けて繰り返し債権を持っていく事業者もあるかもしれません。
「その業者が信用できるから」という理由で債権を持ちこむ気持ちは十分に理解します。
とはいえ「これが原因で審査に落ちるのではないか」というポイントをいくら改善しても、審査に通らないケースもあるでしょう。
その場合は、ファクタリングを申請する業者を変えてみたほうがよいかもしれません。
最初にも見たように、ファクタリングの審査が緩いか、それとも厳しいかは業者の加減によります。
何度も審査に落ちる場合は、もしかしたらその業者がほかの業者に比べて審査が厳しい可能性があります。
ならばいっそのこと、目先を変えて、より審査に通過する確率が高い業者を利用するほうが好ましいです。
もちろん、審査に受かりやすいという評判だけを見て、よく調べもしないまま検討することは避けたいものです。
なかには「審査に受かる確率が90%」などと謳って客をだまそうとする悪徳業者も存在します。
ファクタリングを受ける業者についても、事前にしっかりと下調べをしたほうがよいでしょう。
もし不安なのであれば、事前にファクタリングの見積もりを複数の業者に依頼するのをおすすめします。
こうすることで極端に手数料を高くしたり、売掛金に見合っていない貸出額を提示したりする業者をあぶりだせるでしょう。
■まとめ
お金をすぐに貸してもらえると噂のファクタリングに申請したのに、審査に落ちてしまったとなると不安になってしまうでしょう。
とくにファクタリングを利用せざるを得ないときは、よほど資金繰りに切羽詰まっていることが少なくありません。
しかし、そういうときにこそいったん落ち着いて、自分がいま置かれている状況を見直してみることをおすすめします。
もしかしたらちょっとしたミスが原因で審査に落ちてしまい、そこを訂正すれば審査に通る可能性もあります。
ファクタリングをするときは、慎重に手続きをおこなうことが大切です。