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2024-03-15

取引先に知られずにファクタリングをする方法

ファクタリングは、売掛債権をファクタリング業者に買い取ってもらうことで資金調達する方法です。
そのため、売掛先である取引先を巻き込むのは難しい、資金繰りが悪化していることや銀行融資が得られないことを取引先に知られたくないと考える事業者も多いのではないでしょうか。
この記事では、取引先に知られることなくファクタリングする方法をご紹介します。

■ファクタリングのニーズ

ファクタリングは、ファクタリング業者に売掛債権を買い取ってもらい、資金を融通してもらう方法です。
資金調達をする方法としては、株式や債券の発行をはじめ、代表的なのが銀行融資です。
中小企業であれば、銀行をはじめ、信用金庫や信用組合、または政府関連機関や自治体などで実施している公的な融資を利用する方法もあります。
もっとも、融資を受けるには審査に通る必要がありますが、資金繰りが悪化して自転車操業になっているような状態で申し込んでも審査に通らない可能性があります。
審査にあたっては、事業計画書の提出を求められることや企業訪問や経営者インタビューなどが実施されるなど、融資実行までに時間がかかるので、すぐに資金調達したい時には不便です。
銀行融資を断られた場合には、貸金業者からビジネスローンを受ける方法もありますが、金利が高めであり、返済に追われる不安が残ります。
これに対してファクタリングは、保有している売掛債権の早期現金化ができる方法です。
支払期日まで待てない状況でも、ファクタリング業者に手数料を払うことで、すぐに現金化が可能です。
手数料も買い取った売掛債権の中から控除されるため、実際に現金で払う必要はありません。
利息も付かず、支払期日が来たら売掛代金で完済されるので、なんの資金も負担することなく資金調達ができるのがメリットです。

■ファクタリングを取引先に知られるリスク

ファクタリングは、債権譲渡を利用した資金調達方法です。
本来の債権譲渡では、債務者である売掛先、つまり取引先に債権譲渡の通知・承諾を得なくてはなりません。
3社間ファクタリングの場合、事前に取引先から承諾を得たうえで、3社間でファクタリングに関する契約を結ぶ必要があるので、取引先に知られてしまいます。
すると、どうなるでしょうか。
売掛債権を売らなくてはいけないくらい資金繰りが悪化しているのかと勘繰られることや銀行融資が受けられないほど信用力が低下しているのかと不安に思われます。
倒産するかもしれないと憶測し、今後の継続的取引に不安を覚え、取引先を変更されたり、取引を切られたりして、売上が減少するリスクもあります。
3社間ファクタリングでは、支払期日が到来したら、取引先が直接ファクタリング業者に支払いをしなくてはなりません。
これまでなら、日頃の信頼関係から支払いをちょっと待ってもらうこともできた場合でも、回収のプロが相手では猶予も得られないと不安になる取引先もあります。
そのため、ファクタリングを断られる場合や応じてくれたとしても、今後はファクタリングに巻き込まれたくないからと取引を終了されてしまうおそれもあります。
さらに困るのは、ほかの取引先にもこうした状況が知られてしまうことです。
経営悪化などの問題には敏感に反応するので、「ファクタリングを利用したらしい」、「ファクタリング業者から取り立てされて大変だったらしい」などと、すぐに別の取引先にも広まってしまうリスクがあります。
そうなると、3社間ファクタリングに応じた取引先以外の取引先からも、急に取引を終了したいと言われることや別の業者と取引することになったと告げられることがあります。
資金繰りに困っている状況で、取引先を次々に失うのは避けたいところです。
そのため、ファクタリングしか資金調達の手段がないと考えても、取引先に知られることを怖れて躊躇してしまうケースもあります。

■取引先に知られないファクタリングの方法

躊躇すればするほど、資金繰りは悪化していき、倒産するリスクすら生じます。
そうならないためにも、取引先に知られず内密にできるファクタリング方法を検討しましょう。
それが、2社間ファクタリングという方法です。
2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング業者との間だけでのファクタリングです。
取引先を巻き込むことなく、売掛債権をファクタリング業者に売却し、すぐに買取代金を払いこんでもらうことができます。
法的には債権はファクタリング業者に移転していますが、取引先には通知もせず、承諾も得ていないので債権譲渡を対抗できません。
その代わりとして、支払期日が到来したら、何もなかったように取引先から代金を受け取れます。
その代金をファクタリング業者に返済すれば、手続きが完了します。
売掛先をはじめ、ほかの取引先にも一切情報が洩れることなく、売掛債権を使って資金調達ができるので安心です。

■2社間ファクタリングのメリット

取引先に知られず、利用しやすい2社間ファクタリングについてどのようなメリットがあるか確認していきましょう。

・取引先の維持継続ができる

売掛先に知られることなくでき、ほかの取引先にも悪い噂が広まる心配もありません。
そのため、従来通り取引先との関係が維持、継続できます。
資金繰り悪化や経営悪化といった情報が広まる心配もないので、新たな取引先を得ることも可能です。

・スピーディーな資金調達

3社間ファクタリングの場合、取引先から承諾を得ることや3社で契約手続きをする必要があり、取引先の審査も厳格に行われるなど、時間がかかります。
2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング業者のみで行われるので、審査さえ通れば最短即日で資金を送金してくれる業者もあります。
銀行融資などほかの資金調達手段と比べてもスピーディーです。

・取引先のデフォルトリスクを負わない

2社間ファクタリングでは、支払期日が到来したら取引先から代金の支払いを受けたうえで、ファクタリング業者に送金を行います。
となると、不安になるのが、万が一取引先が倒産した場合や資金繰りが悪化して支払いが受けられなくなったらどうしようということです。
自らの負担でファクタリング業者に支払いをしなくてはいけないとなると、利用者側も資金ショートに陥るリスクがあります。
この点、2社間ファクタリングでは、売掛債権の支払いが得られない時に利用者に支払いを求める償還請求権を設定していないファクタリング業者がほとんどです。
売掛先のデフォルトリスクは、手数料に織り込み済みということです。
そのため、手数料は3社間ファクタリングよりも高くなっています。

■2社間ファクタリングのデメリット

2社間ファクタリングは取引先に知られる心配がなく、取引先の信頼を失うことや取引先を失うリスクが抑えられる一方で、デメリットもあります。
どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。

・手数料が高い

2社間ファクタリングは、取引先がデフォルトを起こして代金が回収できなくても、ファクタリング業者は利用者に対して償還請求を行うことができません。
そのため、あらかじめデフォルトリスクを加味して手数料を設定しており、手数料が高めになるのがデメリットです。
3社間ファクタリングは、ファクタリング業者が債権者として直接取引先に代金支払請求ができ、万が一デフォルトを起こしても債権者として保護を受けることができます。
手数料は、ファクタリング業者の料金設定や利用者、取引先の信用力によっても異なりますが、3社間ファクタリングの手数料相場は1~10%に対し、2社間ファクタリングは10~20%と高くなる点は気を付けましょう。
手数料率が高ければ、その分得られる手取り資金が少なくなるためです。

・審査が厳しめ

2社間ファクタリングでは、ファクタリング業者は直接取引先に請求はできず、償還請求権も行使できないので、売掛債権が確実に回収できるかを厳しく審査されるケースが多いです。
これまでの、その取引先との取引実績の履歴を提出させられるなどし、これまで確実に支払期日に支払いがなされてきたかなどをチェックされます。
そのため、保有している売掛債権の取引先が経営基盤が弱く、しばしば支払いを遅滞している場合やまだ取引を始めたばかりの中小零細企業などであると、審査に通りにくい場合や手数料率を高く設定されるおそれがあります。

・債権譲渡登記を求められることがある

利用者がファクタリング業者に債権譲渡をしておきながら、別の業者などにも同じ売掛債権を譲渡して、二重、三重に資金を受け取るような詐欺行為をしないよう、ファクタリング業者から債権譲渡登記を求められることがあります。
法務局で債権譲渡登記をすると、債権譲渡の対抗要件が得られ、二重譲渡や三十譲渡された相手に自分が支払いを受ける権利があると対抗できます。
もっとも、債権譲渡登記を行うためには、書類作成などの手続きの手間に加え、法務局に支払う登録免許税や申請手続きを行う司法書士への報酬が発生するなど、コスト負担が発生するのがデメリットです。

■2社間ファクタリングがおすすめのケース

2社間ファクタリングはメリットもありますが、手数料が高くて手取り金額が減る場合や審査が厳しいといったデメリットもあります。
では、取引先に知られるリスクを抑えらえる2社間ファクタリングがおすすめのケースはどのような時でしょうか。

・取引先からの信頼を失いたくない時

売掛取引を行う取引先は、初めての客や単発での依頼しかない客ではなく、何度か取引をして信頼関係を築き、そのうえで売掛取引に移行したケースも多いはずです。
つまり、常連の得意客であり、ファクタリングの事実を知られて信頼を失うことやライバル企業に取引先を奪われるのは避けたいところでしょう。
そのため、取引先からの信頼を失いたくない時、取引先に知られずにファクタリングを行いたい時には2社間ファクタリングがおすすめです。

・早期に資金調達をしたい時

売掛金の支払期日まで待てない事情がある時や銀行融資など、手続きや審査に時間がかかり資金を得るまでが長くなって困る時には2社間ファクタリングが有利です。
3社間ファクタリングも、取引先から承諾を得ることや3社で契約手続きを行わなくてはならず、その分2社間ファクタリングより資金を得るまでの時間が長くなるので、2社間ファクタリングのほうがスピーディーです。
ファクタリング業者や審査のスピードによっては、最短即日で資金が手に入ります。

・黒字倒産のリスクがある時

売上は上がっているものの、売掛取引が多く、資金が入らないなどの場合、計算上は黒字なのに支払資金が捻出できず、倒産することがあります。
たとえば、売上が伸びて増産しているものの、売掛金の回収は2ヶ月以上先といった事態もあるかもしれません。
一方で、増産のための原材料や部品の仕入れを行い、その代金を1ヶ月以内に払わなくてはならないといった場合など、資金ショートのおそれがあります。
黒字倒産を避けるためには、今手元にある売掛債権を2社間ファクタリングによって早期に資金化するのがおすすめです。

■2社間ファクタリングの流れ

利用者がファクタリング業者に売掛債権の買取を申し込み、必要書類を提出すると審査が実施されます。
主に売掛債権の取引先について支払能力があるか、誠実な支払いをしてきた実績などを審査するのが基本です。
ただし、取引先から支払われた代金をファクタリング業者に支払うのは利用者であるので、利用者の信頼性も審査されます。
また、支払日までの期間も考慮されます。
期間が短いほどデフォルトリスクが低いので、審査に通りやすいです。
審査にかかる時間は、ファクタリング業者や審査内容にもよりますが、即日~2日程度です。
審査に通れば、手数料が控除された代金が振り込まれます。
支払期日が到来したら、取引先から支払われた代金をファクタリング業者に送金することが必要です。

■まとめ

取引先に知られずにファクタリングをする方法として、2社間ファクタリングがあります。
3社間ファクタリングと異なり、売掛先である取引先に知らせる必要や承諾を得る必要がありません。
ファクタリング業者と契約して審査に通れば、すぐに資金が得られるのもメリットです。
その代わりとして、手数料が高めで手取り金額は少なくなります。
また、取引先から支払期日に代金の支払いを得たら、すぐにファクタリング業者に送金しなくてはいけません。
ただし、売掛先が倒産して代金が回収できない場合に自らの負担で返済するリスクは負わず、その点も安心です。