• HOME
  • コラム
  • 注文書ファクタリングとは何か?メリットとデメリットも一挙解説

2024-04-26

注文書ファクタリングとは何か?メリットとデメリットも一挙解説

ファクタリングは、売掛金をすぐに現金化することができるといった資金調達方法として、融資に比べてもスムーズに現金化できるため多くの企業が検討されています。
ただ、基本的にファクタリングは請求書をもとに現金化する方法であることから、請求書を準備する手間がかかることが考えられます。
そこで、ファクタリングの中でもよりスピーディーに現金化できるという方法として、注文書ファクタリングという方法があるのです。
今回は、この注文書ファクタリングにスポットを当てて解説してまいります。

 

■一般的なファクタリング

一般的なファクタリングでは、買取書類として扱われているのが請求書にあたります。
請求書は、取引先に対して取引対象となる商品・サービスの代金を請求する書類です。
つまり、納品が完了した時点ではないと請求書は発行することはできません。
締め日によって異なりますが、たとえば納品完了してから月末締めの翌月払いになるようなケースが多いのです。
一般的なファクタリングは、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングといった契約方式に分けられています。
2社間ファクタリングとは、利用者である会社とファクタリング会社との2社間で契約する方式であり、手数料は10%から20%になります。
反対に3社間ファクタリングは、ファクタリング利用者である会社とファクタリング会社、そして利用者の売掛先との3社間で契約する方式です。
売掛先とファクタリング会社が直接お金をやりとりするため、売掛金の未回収のリスクが少なくなることから、手数料がその分少なくなり、1%から5%ほどになります。
3社間ファクタリングが利用できるので、手数料がお得になるといった面では一般的なファクタリングはメリットがあるのです。
ただ、3社間ファクタリングでは、売掛先にもファクタリングを行っている事実が通知されることから、会社の信用を失ってしまう可能性があります。
ファクタリングする事実を知らせることで信頼関係が崩れるケースが考えられる場合、関係をキープしたい場合には3社間ファクタリングはおすすめできません。
また、審査については融資に比べると非常に審査の通過率も高いといったメリットもあります。

■注文書ファクタリングとは?

ではここで、注文書ファクタリングについて見ていきましょう。
注文書ファクタリングは、買取書類として扱われているのが注文書になります。
つまり、見積もりした後すぐに発行されることになる注文書(発注書)を用いて現金化できることから、一般的なファクタリングに比べると資金調達が非常にスピーディーになるのです。
請求代金が確定する前段階でファクタリングが利用できるといったメリットがあります。
商品・サービスの見積もりを終えて、取引先から注文書を受け取ればそのまま現金化でき、請求書を発行する時間を待つことなく現金化が可能です。
また、注文書ファクタリングは、請求代金が確定していないので代金が回収できるまでの期間についても通常の買取ファクタリングよりも長くなってしまい、最大で6ヶ月先でなければ回収できない仕組みになっています。
一般的なファクタリングは、2社間ファクタリングのほかに3社間ファクタリングがありましたが、注文書ファクタリングは2社間ファクタリングのみの提供です。
注文書ファクタリングは貸し倒れするリスクもあるため、一般的な2社間ファクタリングよりもさらに手数料が高くなるといったことも挙げられています。
貸し倒れリスクがあることから、どうしても一般的なファクタリングと比較して審査通過率も低くなってしまうことも心に留めておく必要があるでしょう。
また、注文書ファクタリングは、手元にまだ注文書が届いていない状況であっても、メールやファックスなどで商品やサービスを受注した事実が確認できれば利用できる可能性があります。

■注文書ファクタリングの流れについて

ではここで、注文書ファクタリングの流れについて簡単にご紹介していきましょう。
どういった流れで取引されていくのでしょうか。
1.取引先がファクタリングを利用する会社へ注文書を送ることで売掛債権として権利が得られます。
2.ファクタリングを利用する会社は、ファクタリング会社に注文書を売却します。
3.ファクタリング会社は、手数料を差し引いた額を利用者の指定口座へ入金します。
4.商品・サービスが納品されたら、売掛先から会社へ請求額が支払われます。
5.ファクタリングを利用する会社はファクタリング会社へ、売掛先から回収したお金をそのまま一括返済します。
この流れから見てもわかるように、注文書ファクタリングは注文書を売却した時点でファクタリング会社から資金を調達することができるのです。
すぐに現金化したい企業にピッタリだということがわかるでしょう。

■注文書ファクタリングを利用するメリットとは?

ではここで、注文書ファクタリングを利用するメリットについて詳しく解説してまいります。

・注文を受けたらすぐに現金化できること

何よりも第一に注文書ファクタリングを選ぶメリットといえば、売掛先から注文を受けたその時点で資金調達の審査を実施することができる点がおすすめです。
既述のように一般的なファクタリングは、納品完了後に発行される請求書をもとに審査を申し込みしなければならないため、請求書を発行するまでは資金調達をお願いすることができないといった状況が起きていました。
しかし、注文書ファクタリングは、注文書だけあれば良いため、商品・サービスを納品する前から資金調達可能でスピーディーな現金化を叶えることができるのです。

・納品予定日が最大6ヶ月先の注文書も利用可能

注文書ファクタリングでは、納品予定日が近日中のものだけではなく、最大で6ヶ月先の注文書であっても審査に利用することができるようになっています。
通常のファクタリングでは、請求書を発行するまでに納品が6ヶ月後になった場合は6ヶ月もかかるため、ファクタリングを利用できるまでにかなりの期間を要します。
しかし、注文書ならば納品予定日最大6ヶ月先まで良いので、資金調達がスピーディーにできるのです。
すぐに現金が手元にほしい時に大変役立つ方法だと言えるでしょう。

・売掛先へファクタリングを利用していることを知られることがない

注文書ファクタリングは、2社間ファクタリングのみの扱いであることから、ファクタリング利用会社とファクタリング会社のみの契約で、売掛先へ通知が行くことは決してありません。
つまり、事前に承諾を得ておく必要もありませんから、資金繰りが大変なのではといった不安感を取引先に抱かせるような心配もなく、信頼関係を維持することができるメリットがあります。

・償還請求権がない

商品・サービスを納品した直後に売掛先の経営が悪化してしまい、売掛金軒哀愁ができなくなってしまうケースというのはリスクとして生じるものでしょう。
しかし、2社間ファクタリングである注文書ファクタリングには償還請求権がありません。
償還請求権とは、万が一売掛先からなんらかの理由で売掛金を回収できなくなってしまったとしても、ファクタリングを利用している会社が、ファクタリング会社へ返済する必要がないといった権利になります。
売掛先が倒産してしまったなど、最悪の事態が生じた状態でも償還請求権がなければ、利用会社側は支払う義務がないので安心して取引できます。

■注文書ファクタリングのデメリットとは?

一般的なファクタリングと比較しても、すぐに現金化できるなど、メリットの多い注文書ファクタリングですが、デメリットもあるのでしょうか。
実は、便利な一方でデメリットもいくつかあります。
デメリットも考慮したうえでの利用がおすすめです。

・手数料が高い

注文書ファクタリングは、注文書が発行された時点で審査を申し込みすることができますので、商品やサービスを納品する前にお金を手にすることができます。
しかし、納品予定がたとえば6ヶ月先ならばファクタリング会社にとっては6ヶ月先まで売掛金を手にすることができなくなってしまうのです。
つまり、ファクタリング会社にとっては、売掛金が回収できるまでに時間を要するので、入金されるまでに利用会社の取引先=売掛先の経営が悪化してしまったら、売掛金を回収できなくなってしまう可能性が高くなってしまうのです。
このようなリスクも考慮され、注文書ファクタリングは、一般的なファクタリングよりも手数料が高くなっています。
手数料が高くなることを加味して利用されると良いでしょう。

・審査が通過しにくい

先ほども解説したように、注文書ファクタリングは、売掛先から売掛金を回収できなくなるリスクが一般的なファクタリングよりも高くなってしまいます。
だからこそ、審査は一般的なファクタリングに比べると通過しにくいという現実があるのです。
ファクタリング会社との信頼関係も非常に重要になりますので、できれば売掛先を選択する場合も企業の信用度の高い会社を選択することで、審査に通過しやすくなります。
売掛先を決める際は事前に調査して、信用度の高い会社を見つけておきましょう。

・注文書ファクタリングを提供している会社はまだ少ない

注文書ファクタリングは、近年注目を集めてきた新しいファクタリングです。
そのため、まだ提供されている会社は少ないことが挙げられます。

■注文書ファクタリングの審査を通過するためのポイント

ではここで、注文書ファクタリングの審査において、できるだけ審査が通過しやすくなるポイントを押さえていきましょう。
やはり、売掛先の信用度の高さは重視されていることから、自社との取引に置いて取引期間が長い取引先を売掛先として選ぶと良いでしょう。
取引期間が長ければ長いほど、未回収のリスクを回避することができる可能性が高くなるので、審査も通りやすくなる可能性があります。
また、ファクタリングにおいては、個人事業主は買取できないファクタリング会社がほとんどですが、法人企業であること、知名度が高いこと、創業してからある程度年数の経っている企業であることなどを考慮して選ぶと良いでしょう。
売掛先が安定した企業であることがわかれば、審査も通過しやすくなります。

■注文書ファクタリングはどんなケースで利用するのが望ましい?

ここまで、メリットについてもデメリットについてもご紹介をしてきたうえで、自社は注文書ファクタリングを選んだほうが良いのか、一般的なファクタリングを選んだほうが良いのか判断できないと思われる方も少なくないのではないでしょうか。
では、実際に注文書ファクタリングを利用するのに望ましいシーンをご紹介していきましょう。
とにかく、すぐに現金化したいというシーンでの利用はおすすめです。
売掛先の経営が悪化していることが考えらえる場合、また大きなプロジェクトなどでまとまった資金調達がすぐに必要になった場合などに利用すると良いでしょう。
注文書ファクタリングは償還請求権がないため、一度ファクタリングを利用さえしてしまえば弁済の必要がないためです。
また、納品予定まで時間がかなり空きすぎる場合、入金までにどうしても時間がかかる場合も、請求書を待っているとなかなか資金調達できません。
そのため、注文書ファクタリングを利用すれば最大6ヶ月まで認められるので、どれだけ手数料がアップしようとも注文書ファクタリングを利用して資金調達を行うのが望ましいケースもあります。
受注した時点で必要となる人件費や仕入れにかかる費用などにも充てることができることから、自己資金が不足している場合などにも使いやすいと言えるでしょう。
注文書ファクタリングを利用するのは、業種別で見ると建設業が圧倒的に多いです。
建設業に次いで製造業です。
建設業は特に仕事が半年や年単位という形で時間がかかるものが多く、売掛金が回収できるまでに時間がかかる業種でもあります。
さらには、案件に入る前に必要となる人件費や資材の仕入れにかかる費用もまとまって必要になるでしょう。
このため、大型の案件を受注した際にまとまった資金をすぐに手に入れるため、建設業、製造業での利用が多くなっています。

■まとめ

いかがだったでしょうか。
注文書ファクタリングは、売掛先から発注を受けた時点ですぐに資金調達を受けることができる画期的なサービスです。
建設業のように、多くの準備金として資金が必要となる場合にもすぐに現金化できることから、建設業で多く採用されています。
手数料も高めで審査が通りにくいといったデメリットもありますから、今回ご紹介した内容をしっかりご理解いただいてから、慎重に注文書ファクタリングを利用されることをおすすめします。