2025-01-24
👏中小企業向けの助成金・補助金の特徴と費用の補填方法💰
中小企業では、設備投資をしたい時や人材育成などをしたい時に助成金・補助金を活用したいと考えることも多いのではないでしょうか。
中小企業向けの助成金・補助金の特徴と大変なこと、目的を達成したい時の費用の補填方法について見ていきましょう。
■中小企業向けの助成金・補助金とは
助成金・補助金は、国や地方公共団体などが一定の目的を達成させるために、それにかかる費用の一部を補填してくれる制度です。
基本的に返金の必要はありません。
常に募集されているわけではなく、国や地方公共団体の施策にもとづき、時代のニーズなどを反映した助成金・補助金が登場します。
募集期間内に応募することが必要ですが、交付を受けるには条件を満たして申請することが必要となり、条件を満たしているかなどの審査があります。
また、資金の元手は税金であり、国や地方公共団体には予算というものがあるため、募集期間中であっても、予算に達すると締め切られることがあるので注意が必要です。
書類の不備などにとどまらず、条件のチェックなどが行われ、場合によっては特定の事業の実行を求められるケースも少なくありません。
審査が通り、事業の採択などが行われると、審査結果の通知が入ります。
もちろん、審査に落ちることもあり、交付が受けられないこともあります。
通知が入っても、すぐに助成金・補助金が振り込まれるわけではありません。
交付申請をする必要があることや条件となっている事業を実行し、一定の取り組みを経て、初めて交付されるケースも多いです。
助成金・補助金というと、国や地方公共団体がお金を支援してくれるといったお得なイメージがあるかもしれません。
ですが、実際にはその助成金・補助金ごとに求められることを先に実行しなくてはいけないケースが多いです。
設備を導入する、一定の事業の取り組みをするなどが必要で、そのためには費用や時間もかかり、従業員の教育や経営者と従業員が一体となって事業に取り組むことが必要です。
その結果として、それに要した費用の一部が助成、補助されるので、気軽な資金調達手段と考えてはいけません。
国や地方公共団体からお金がもらえるからお得と考えてしまうのはNGです。
用途が限定されますし、あくまでも費用の一部の補填なので、それ以外の投資が必要になります。
一方、助成金・補助金の目的となっていることに取り組みたいと思っていた中小企業やその対象となっている設備を導入して業務に活かしたいと考えている中小企業にとっては、費用の支援を得ることができるので、積極的に活用するのがおすすめです。
■緊急時の助成金・補助金
中小企業向けの助成金・補助金にもさまざまなタイプがあります。
緊急時の助成金・補助金は交付の条件も緩めで、審査も通りやすく、すぐに交付されるのが特徴です。
たとえば、コロナ対策の助成金・補助金をはじめ、大きな自然災害が起きた時の助成金・補助金、石油価格高騰など、急激な経済環境の変化などに対して出される助成金・補助金などです。
中小企業にとって、経営努力だけではどうすることもできないような外部要因による損失やダメージに対して交付されるものになります。
自然災害や政治情勢や経済情勢などの大きな変化で起きた事態、新型コロナウイルスや鳥インフルエンザなどの世界的な感染拡大のような想定外の緊急事態などに対応するために交付されます。
申請手続きは審査、交付の仕方はそれぞれの助成金・補助金の種類や情勢によっても異なりますが、速やかに支援する必要があるため、所定の申請書類に必要事項を記入して申請し、一定の必要書類を添付すると、簡単に審査に通るケースも多いです。
緊急支援なので速やかな交付を心がけてはいますが、需要が多く、申請が殺到して、なかなか審査結果が出ない、交付まで時間がかかるケースも少なくありません。
また、簡単に申請ができるゆえに不正請求なども相次ぐケースがあり、申請の仕方が厳しくなることや必要書類が増える、申請方法が限定されるなどのケースもあります。
■近年の助成金・補助金の特徴
かつて、助成金・補助金というと、特定の設備を導入するために申請をして、設備の購入費用の一部が補填されることや工事を申し込む際に利用すると工事費用の一部が補填され、支払う際に控除できるようなタイプもありました。
つまり、支払いを行う際に補填されるので、費用を全額払わずに、お得に設備投資などができるスタイルです。
もっとも、このスタイルでは設備を導入したものの、うまく活用されていなかった場合やお得に導入できるからと気軽に申請をして交付を受けて設備を導入し、本来の助成金・補助金の目的とは異なることに活用されているケースも見られました。
そうした状況を見直し、税金の無駄遣いが行われないよう、助成金・補助金の交付時期が一定の取り組みを行った後や成果を出せたことを報告してからというタイプも増えてきました。
また、紙の書類による申請ではなく、オンライン申請のケースが増えています。
特設のサイトにあらかじめ登録を行い、IDとパスワードを取得して、そこで申請の手続きや交付申請、各種報告などを行うものです。
近年の特徴を踏まえた助成金・補助金として、たとえば以下のような場合があります。
・IT化やDX化促進のための助成金・補助金
かつて、IT化対策の助成金・補助金といえば、IT設備を導入すれば、助成金・補助金が交付されました。
ですが、近年では導入するだけでは足りず、それを使って業務効率化に取り組み、一定の目標を達成するなど、成果が求められるようになっています。
・人材採用や人材育成などの助成金・補助金
少子高齢化で人手不足が問題となっている中、スムーズな人材採用や人材育成、賃上げを支援する助成金・補助金なども登場しています。
週休二日制や有休がしっかり取得できる環境の整備が求められる場合や第二新卒やブランクのある主婦、シニア層や障害を持つ人の一定数の採用が求められるなど、条件が付く場合も少なくありません。
また、賃上げについても、ただ賃上げしますと宣言してもダメで、実際に賃上げをしたことを一定期間経過後に報告し、実行していることを証明できないと助成金・補助金の交付が受けられないケースが増えています。
・子育て支援対策などの助成金・補助金
少子高齢化対策として、中小企業による子育て支援対策やワークライフバランスを整えるための対策、健康対策やメンタルヘルス対策、セクハラ・パワハラ防止のための対策の取り組みを支援する助成金・補助金などもあります。
このように、近年の助成金・補助金は、時代のニーズなどに合わせて、中小企業に取り組んでほしい内容について費用の支援をするタイプが多いです。
■助成金・補助金の申請や交付で大変なこと
助成金・補助金の対象となる取り組みや設備などを積極的に導入したいと考えている中小企業にとっては、大変であっても申請を行い、取り組むメリットがあります。
一方、お金がもらえるならと安易な気持ちで申請すると、大変なこともあるので気を付けましょう。
特に近年はさまざまな条件が課せられるケースが多いです。
・コンサルティングを受ける必要があるケース
受け取った助成金・補助金を有効活用するために、申請前に専門家にコンサルティングを受けなくてはいけないケースも増えています。
たとえば、IT導入のためにITコンサルタントやIT企業の専門家に相談を行い、どのようなIT機器を導入し、どのように業務改革を行うかを計画して策定が求められるケースなどです。
経営状態の改善や成長を図るために、中小企業診断士のコンサルティングを受けなくてはいけないケースもあります。
専門家に相談する費用は自社で拠出しなくてはなりません。
ただし、補填される費用の一部に含めることができる場合もあります。
・取り組みによる成果が求められるケース
かつては、取り組みをする計画を立てれば、それで交付されたケースもありましたが、近年の助成金・補助金は取り組みをして成果が出せないと交付されないケースが増えています。
・定期的な報告が求められるケース
1回だけ取り組めば良いのではなく、継続的な取り組みと成果報告が求められるケースもあります。
賃上げや子育て支援対策などについて、継続的な報告が求められるケースもあるので注意しましょう。
・返還が求められるケース
一定の成果が出せない場合、一度交付された助成金・補助金の返還が求められるケースもあるので、しっかりと計画を行い、経営者をはじめ、従業員にも取り組みの趣旨を浸透させ、真摯に取り組んでいかなくてはなりません。
■助成金・補助金で気を付けたいこと
中小企業向けの助成金・補助金で気を付けたいことについて、主なものをご紹介します。
・常に募集されているわけではない
助成金・補助金は常に募集されているわけではなく募集期間があります。
また、取り組みたいものを見つけても時代のニーズなどに合わせて変更されるため、いざ申請しようと思ったら、助成金・補助金が終わっていることもあるのでタイミングを逃さないように注意しましょう。
・募集開始に合わせて申請しないと締め切られることがある
助成金・補助金は、国や地方公共団体が予算を定めて募集しています。
際限なく交付されるわけではありません。
そのため、募集期間中であっても予算に達すると締め切られるのが一般的です。
条件を満たすか検討することや書類などを作成している間に締め切られてしまうこともあるので注意しましょう。
気になる助成金・補助金があるなら、早めに準備を始めることが大切です。
・税金や社会保険料などの滞納は認められない
税金を源泉にして交付をする制度ですので、法人税などの税金を滞納している状態や社会保険料などを滞納している状態では審査に通りません。
国や地方公共団体など、法制度や条例などに定められる義務を果たしていることが交付が受けられる条件です。
そのため、資金繰りに困っているから受け取りたいといった安易な考えでは利用できません。
・申請に多くの手間や時間がかかる
申請をするには条件を満たすことをはじめ、申請書の作成や書類の準備、コンサルティングを受けるなどさまざまな条件があります。
オンライン申請できるといっても簡単なわけではなく、申請までに多くの手間や時間、コストなどがかかる点も理解しておきましょう。
・審査に落ちることもある
申請をしたら必ず通るわけではありません。
条件を満たしていても、採択されない場合もあります。
事前準備をするのに時間やコストをかけても、審査に通らないこともあるので注意しましょう。
・資金の交付までに時間がかかる
設備投資や賃上げなど環境を整えるために、資金が得られて助かると思いがちですが、実際に助成金・補助金を受け取るまでには多くの時間がかかります。
申請から審査結果が出るまでに1ヶ月~2ヶ月かかるうえ、交付申請をしてからも1ヶ月ほどかかるケースがほとんどです。
さらに、近年の助成金・補助金は一定の成果を出さないと交付されないことも多く、その取り組みをするのに半年から1年以上かかる場合もあります。
成果を出してようやく交付が受けられるので、かなりの長丁場です。
それまでの費用負担などは自社でしなくてはならないので気を付けましょう。
・返還が求められることもある
助成金・補助金は、基本的に返金の必要がないものですが、近年では求められる成果が出せなかった場合や目標が達成できないと、一度交付された助成金・補助金の一部返還や全額返還が求められることもあるので注意しましょう。
・工事の実施や設備の導入のタイミングに気を付ける
省エネ工事やバリアフリー工事、IT機器の導入などについては、申請前に工事をした場合や購入してしまうと対象外になります。
まずは助成金・補助金の概要を理解して、最初に申請することを心がけましょう。
■まとめ
中小企業向けの助成金・補助金はその目的に応じた取り組みをしたい時や対象となっている設備投資をしたいと考えている際には、費用の一部補填が受けられるので積極的に活用したい制度です。
一方、国や地方公共団体からお金がもらえるからお得といった考えには馴染みません。
一定の条件をクリアすることや事業などに取り組むことが求められ、一定の成果を出さなくてはならないこともあります。
そうした取り組みや成果に対して、後から費用の一部を補助する助成金・補助金も多いので、事前にコストや時間、手間がかかることは理解しておきましょう。