2025-09-08
個人事業主でも通りやすい融資とは?審査を突破するためのコツと選択肢
個人事業主で自己資金だけではどうしても足りない、急な出費に困ってしまったときに、融資を検討する方は多いでしょう。しかし「個人事業主への融資は通りにくい」という印象が強いため、諦めてしまう方は少なくありません。実は、正しい知識と準備をすれば、個人事業主でも通りやすい融資は存在します。
この記事では、個人事業主の方が融資審査を突破するためのコツや、通りやすい融資の選択肢を解説します。最低条件から、審査に通りやすくなるポイントや利用できる制度、さらには融資以外の資金調達方法まで、役立つ情報が満載です。あなたにぴったりの資金調達方法を見つけて、事業の成長を加速させる一歩を踏み出しましょう。
「個人事業主は融資が通りにくい」とされている理由
「個人事業主は融資が通りにくい」という声をよく耳にしますが、その背景にはさまざまな要因があります。自分の事業を持つ方であれば、心当たりがあるかもしれません。そこで、融資が通りにくくなる理由を深掘りしていきましょう。
収入の不安定さや信用情報の不足から
個人事業主は自分で安定した収入があることを証明しなければならないため、融資が通りにくいとされています。一般的に、企業の正社員であれば会社が「安定した収入がある」ことを証明してくれます。しかし、個人事業主の収入は経営状況や健康状態に左右されやすく、安定した収入が得られることを証明することが難しいです。
また、過去のクレジットカードやローンの延滞、債務整理、さらには既存の借入が多い場合も、審査で不利になる要素です。多額の借入残高や複数社への同時申し込みも、信用情報にネガティブな影響を及ぼし、融資が通りにくくなる原因となります。
金融機関が重視する審査ポイント
個人事業主が融資を受けやすくするには、金融機関の審査ポイントを理解することが重要です。主な審査項目は、以下の5つです。
個人事業主が融資を申請する際に金融機関が重視する5つのポイント
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信用情報は個人信用情報機関の情報に基づき、過去の借入状況が確認されます。事業計画書は実現可能性を具体的に示すことが大切で、2期目以降は財務状況の改善見込みも重要です。自己資金が少なくても、事業経験や堅実な事業計画があれば融資は可能です。
希望額より少ない金額になる場合もありますが、事業の健全性をアピールすることで、融資を受けられる可能性が高まります。全ての項目を総合的に判断されるため、弱点を補う努力も必要です。
個人事業主が融資を受けるためにクリアすべき最低条件
個人事業主でも、銀行などの金融機関から融資を受けることは可能です。ただし、融資を受けるためにはいくつかの重要な条件を満たす必要があります。特に大事な法的手続きとして、以下の2つは必須条件です。
個人事業主が融資を受けるためにクリアすべき最低条件
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開業届は事業開始から1ヶ月以内に税務署に提出しなければ、多くの金融機関で融資を申し込めません。確定申告は毎年の事業収入と経費を報告する手続きで、事業の収支状況を明確にし、融資審査の重要な判断材料となります。複数年の確定申告実績は、事業の継続性と安定性を示し、融資審査の通過の可能性を高めます。
これらの手続きは事業への真剣さを示し、金融機関との信頼関係を築く第一歩となるため、適切な時期に正確な手続きを行い、書類は大切に保管しましょう。
個人事業主がまずチェックすべき融資
個人事業主にとって、融資は事業の成長を支える重要な資金源となります。こちらでは、個人事業主の方が最初に押さえておきたい融資制度を5つ紹介します。
個人事業主がまずチェックすべき融資5つ
ここからは、それぞれの特徴をご紹介していきます。
個人事業主向け融資①日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、個人事業主や中小企業を対象に、低金利で融資を提供している政府系金融機関です。返済期間は5年以上と比較的長く、1回あたりの返済額を抑えられる点がメリットです。また、創業融資制度も充実していますので、創業間もない方にも利用しやすいでしょう。
審査は厳格で、事業計画と返済能力が重視されますが、民間の金融機関より金利が低く、返済期間が長いため、資金調達手段として利用する個人事業主も多いです。無担保・無保証の融資制度も用意されていて、実際に事業資金融資全体の約7割の方が利用しています。幅広い事業者に利用されている融資制度のため、まずは条件が合うかどうかをチェックしてみてはいかがでしょうか。
個人事業主向け融資②信用金庫
信用金庫は、地域に密着した金融機関で、個人事業主や中小企業の支援に力を入れています。顔なじみの担当者による親身な対応や会員向けの金利優遇などのメリットがあります。一方で、預金規模の制約から、日本政策金融公庫と比べて融資枠が小さく、金利はやや高めの傾向です。また、支店やATMが少ないため、利便性には注意が必要でしょう。
信用金庫は、地域に密着したきめ細やかなサービスとサポートを求める個人事業主や中小企業にとって、頼りになる存在です。そのため、利便性よりも地域とのつながりや親身な対応を重視する方に向いています。
個人事業主向け融資③銀行融資
個人事業主が資金調達するときに、銀行融資は低金利でまとまった資金を借りられる魅力的な融資の1つです。メガバンクは融資に消極的な場合がありますが、地方銀行やネット銀行は比較的利用しやすい傾向にあります。
審査は厳しいことで知られていて、開業届の提出や黒字経営の実績(特に直近の決算)が重要です。赤字の場合でも、その理由が明確であれば融資の可能性はあります。融資の種類も豊富で、運転資金・設備投資・不動産担保融資など、事業規模や目的に合わせて選択できます。
個人事業主向け融資④制度融資(自治体)
制度融資は、自治体・金融機関・信用保証協会が連携して提供する融資制度です。各都道府県に独自の制度があり、例えば東京都では、都内の中小企業を支援しています。
特徴は、低金利で資金を調達できることと、保証料の減免措置がある点です。また、返済期間が最長10年以上に設定されており、長期的な事業運営をサポートします。ただし、審査や手続きに時間がかかる点に注意が必要です。資金が必要な時期の3ヶ月前には準備を始める必要があります。早めの相談と準備が、制度融資のメリットを最大限に活かす鍵となります。
個人事業主向け融資⑤保証付き融資(信用保証協会)
「保証付融資」とは信用保証協会が保証する融資のことです。信用保証協会が融資を保証することで、銀行はリスクを軽減し、個人事業主は融資を受けやすくなります。借主が返済不能になった際に協会が金融機関に立て替え払いを行う仕組みです。
保証料は必要ですが、個人事業主は連帯保証人が不要なことが多く、資本金や従業員数の条件を満たせば申し込めるのがメリットです。例えば、小売業や飲食業の場合、資本金5,000万円以下または従業員50人以下の条件を満たす必要があります。業種や規模によって利用条件が異なるため、事前の確認が大切です。
個人事業主が融資審査に通りやすくなるための具体的なポイント
個人事業主の方の融資審査を通りやすくさせるためには、金融機関を納得させる準備が不可欠です。こちらでは、個人事業主が融資審査に通りやすくなるための具体的なポイント6つを解説します。これらの要素を明確にし、健全な信用情報を保ち、融資の通過率を高めましょう。
個人事業主が融資審査に通りやすくなるためのポイント6つ
実現可能性のある事業計画書の準備
事業計画は融資申請において最も重要です。特に日本政策金融公庫の制度融資は、個人事業主の育成を目的としており、現実的で着実な成長を見込める計画が求められます。また、金融機関は業種ごとの売上や利益を把握しているため、非現実的な目標はすぐに見抜かれます。
事業計画では、具体的な数値(売上や利益)を挙げ、その根拠を示すことが大切です。市場調査や競合分析を活用し、計画の実現可能性を高めましょう。計画の妥当性を面談時に自信を持って説明することで、経営者としての信頼も向上します。実現性の高い事業計画は、融資審査を有利に進める鍵となります。
資金使途の明確化
資金使途とは、融資金の具体的な使用目的のことであり、設備資金と運転資金に分けられます。設備資金は設備投資に必要な資金のことで、運転資金は人件費や家賃などの日常運営に使われている資金です。どちらの場合も、金額や内訳を明確に示し、事業計画との整合性がとれるようにしておく必要があります。
「事業拡大のため」といった曖昧な表現ではなく、設備投資なら具体的な設備名と費用、売上増加へのつながりを、運転資金なら各費目の内訳を詳細に示しましょう。売上向上や経営改善への効果を数値で示すシミュレーションも有効です。
必要最低限の借入額の計算
融資を受ける際は、必要最低限の金額を借りることが重要です。過剰な融資額の申し入れは審査に不利になるだけでなく、返済負担を増やしてしまうことになります。
「資金使途の明確化」と重なる部分はありますが、こちらでは必要最低限の借入額を、さらに現実的に把握することが目的です。資金使途項目にてリストアップした項目において、設備投資の見積書の金額、そして運転資金は人件費や家賃についての毎月の必要経費を具体的に算出しましょう。敷金・礼金といった初期費用も忘れずに含めます。特に創業時は、売上が安定するまでの約3ヶ月~半年を目安に算出するのがおすすめです。
自己資金の準備
自己資金も融資審査で重要な要素です。自己資金が多いほど返済能力が高く評価され、融資を受けやすくなります。特に開業資金では、希望額の3割が理想とされ、最低でも1割を求められることが多いでしょう。
自己資金としては、預貯金・解約可能な保険・投資信託・不動産売却益、さらには事業用設備や在庫も認められることがあります。自己資金が少ない場合でも、しっかりした事業計画があれば、融資の可能性は残ります。
多くの自己資金を準備すれば、融資額を減らせるだけでなく、返済リスクを軽減することも可能です。自己資金を最大限に活用し、融資額を最小限に抑えることで、審査通過率を高めましょう。
信用情報の健全性
信用情報も、融資審査で非常に重要な項目です。クレジットカードやローンの返済履歴、税金の滞納などがチェックされ、滞納があると審査に悪影響を及ぼします。申し込み前に滞納を解消し、信用情報をクリアに保つ必要があります。
過去の滞納記録も審査対象ですが、完済していれば必ずしも融資不可ではありません。ただし、評価に不利に働くことがあるため、不安な場合は税理士等に相談するのがおすすめです。正直に経緯を説明し、改善状況を示すことも審査において有効です。自分でも信用情報を確認できるので、融資の申し込み前にチェックしておきましょう。
経営状況の改善
融資審査では黒字経営が有利です。特に開業後は直近の確定申告書の黒字計上が重視され、金融機関は返済能力を高く評価し、融資が受けやすくなります。逆に赤字経営の場合は審査が厳しくなる傾向があります。一時的な赤字なら、今後の収支改善計画を示すことで、融資を受けられる可能性を高められるでしょう。
開業前の場合は、実績よりも事業計画の実現可能性が鍵となります。いずれも黒字体質の維持・改善が融資獲得の近道です。
個人事業主でも通りやすい融資制度
こちらでは、個人事業主の方が利用できる融資制度で、上記以外の通りやすいものを3つご紹介します。それぞれの特徴を把握して、万一の選択肢として検討しておきましょう。
個人事業主でも通りやすい融資制度3つ
ビジネスローン
ビジネスローンは、銀行以外の金融機関が提供する事業性融資で、個人事業主も利用できます。
最大の特徴はスピードで、最短即日融資も可能です。また、総量規制対象外で、担保・保証人不要なところもメリットといえるでしょう。
ただし、金利は高めでカードローン並みになることもあり、銀行融資への悪影響や低限度額であるところはデメリットといえます。したがって、銀行融資が難しい場合のキャッシュフロー改善策として、計画的に活用するのがおすすめです。
ビジネスカード
クレジットカードの一種であるビジネスカードは、手元の資金を有効活用できる手段として、資金繰りの改善に役立ちます。具体的には、クレジットカード機能により支払いを遅らせることで資金繰りを改善し、会計ソフトとの連携で経理業務の効率化を実現します。
年会費・ポイント還元率・付帯サービスなどを比較し、ご自身の事業規模やニーズに最適なビジネスカードを選びましょう。
ノンバンク
ノンバンクは、貸付業務に特化した金融機関です。消費者金融や信販会社などが該当し、審査が緩やかでスピーディーな融資を行っているところが特徴です。手続きも簡単で、創業間もない事業者や短期の資金調達が必要な個人事業主に向いています。
しかし、金利が高くて借入限度額が少ないため、返済計画は綿密に行う必要があります。悪徳業者に注意し、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で登録を確認して、リスクの回避に努めましょう。
個人事業主が利用できる融資以外の資金調達方法
個人事業主が利用できる資金調達方法は融資だけではありません。返済不要な資金を得られる方法や、事業の成長を支援してくれる投資家と出会える可能性もあります。
融資以外の資金調達方法(個人事業主向け)
補助金・助成金
個人事業主の資金調達方法として、国や自治体が交付する補助金・助成金は、返済不要なため魅力的な選択肢といえます。「事業再構築補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」など、さまざまな制度があります。
補助金は公募期間が決められていて、申請には事業計画書の作成や実績報告が必要なため、専門家のサポートを受けるのが一般的です。商工会議所や自治体の産業振興課で相談し、事業に適した制度を見つけましょう。また、交付は後払いとなるため、資金繰りに注意が必要です。
ファクタリング
資金繰りに悩む個人事業主におすすめなのが、ファクタリングです。これは、売掛金をファクタリング会社に売却し、現金化する資金調達方法です。融資とは異なり、保証人や担保が不要で、信用情報も審査に影響しません。最短即日で振り込みが可能なサービスもあり、手軽に利用できます。個人事業主やフリーランス向けのサービスも増えており、資金調達のスピードを重視する場合に有効な手段といえるでしょう。
ファクタリングならQuQuMo(ククモ)がおすすめ
QuQuMoは、最短30分で審査完了、最短2時間での入金を実現するファクタリング会社です。利用可能額に上限がなく、高額な資金調達も可能です。
自主規制団体OFAの認定事業者で、契約にはクラウドサインを使用しているため、セキュリティ面も安心できるでしょう。手数料は1%~と低く、必要書類も3点と少ないので、スピーディーに利用でき、売掛金さえあれば個人事業主でも取引可能です。
また、債権譲渡登記も不要で、取引先に知られることなく利用できます。QuQuMoのファクタリングについて詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
クラウドファンディング・投資型資金調達
クラウドファンディングは、事業アイデアや商品・サービスに共感した支援者から資金を募る方法です。返済の義務がないためリスクが少なく、市場ニーズの検証や広報効果が期待できます。
一方で、プロジェクトページ作成や情報発信には工夫が必要です。リピート支援を狙うためにも、魅力的なリターンの設定や、しっかりとした準備が重要です。
ベンチャーキャピタル・エンジェル投資
事業計画次第ではありますが、将来性のある事業にはベンチャーキャピタルやエンジェル投資による出資という方法もあります。
エンジェル投資とは、初期のスタートアップに対して個人投資家が資金を提供する形式です。返済不要なところは大きな魅力ですが、将来性を見込まれるため、魅力的なビジネスモデルが必須です。経営への介入や成果を急ぐ場合があることも理解しておきましょう。
ベンチャーキャピタルは、成長を重視した事業に対して出資し、経営の支援を行います。ただし、出資の見返りとして一定の成果を求められるため、事業計画を慎重に立てることが重要です。
個人事業主でも通りやすい融資を探すうえでのよくある質問(FAQ)
個人事業主の方が融資を受ける際に、よく聞かれる疑問を集めてみました。審査のポイントや制度の違いなど、融資成功のヒントを押さえて融資の審査に挑みましょう。
Q. 開業間もない個人事業主でも受けられる融資は?
個人事業主の方で創業間もない時期に融資を受けるなら、日本政策金融公庫の「新規開業資金」や「中小企業経営力強化資金」が通りやすいです。業績や信用力が低くても利用しやすく、無担保・無保証人の場合も多くて低金利です。事業計画書で創業動機や事業の見通しを明確にすれば、審査が有利になります。自治体や信用金庫・信用組合の融資も検討してみましょう。
Q. 一度NGをもらった融資制度に再チャレンジはできる?
個人事業主が日本政策金融公庫の融資審査に落ちた場合、再申請を行えるのは6ヶ月後からです。この期間は、審査に落ちた原因を究明し、改善に努めましょう。
事業計画をより現実的で説得力のある内容に見直したり、売上増加に向けた具体的な施策を実行したりすることで、再審査時の印象を大きく変えられます。約半年間の取り組みが、再審査突破の可能性を高めることになるので、諦めず、前向きに準備を行いましょう。
Q. 地域によって選ぶべき融資制度に違いはある?
個人事業主が融資を受ける場合、地域によって最適な融資制度は異なります。特に、地方自治体の制度や融資は地域経済活性化を目的としているため、上限額・金利・保証料・返済期間などが自治体ごとに異なっているので注意しましょう。
Q. 個人事業主が融資を受けた際の返済額は経費にできる?
融資の返済額のうち、元金部分は経費として計上できません。しかし、利息部分は「支払利息」として必要経費に算入できます。税金対策にもつながるため、きちんと領収書などを保管し、確定申告時に正しく計上するようにしましょう。
まとめ
個人事業主が融資を受ける際のハードルを乗り越えるためには、正しい知識と準備が不可欠です。審査が通りやすい選択肢としては、特に日本政策金融公庫や信用金庫などが挙げられます。ただし、信用情報の健全性や自己資金、実現可能な事業計画書の作成が重要です。
また、補助金・ファクタリング・クラウドファンディングなど、融資以外の資金調達方法も検討の価値があります。いずれの手段を選ぶにしても、入念な準備が資金調達成功の鍵となり、事業の成長にもつながります。