2025-09-16
資金繰りが苦しいときの対処法は?今すぐできる対応と長期改善のステップを解説
「資金繰りが苦しいけれど、このまま事業を続けられるだろうか…。」資金繰りの不安は、経営者の誰もが経験する悩みです。売上が好調でも、仕入れ費用などの現金が不足し、資金繰りが滞った場合は、事業継続は困難になる可能性があります。資金繰りが苦しくなりそうなときは、まずは現状把握を行い、当面の運転資金を準備することが大切です。
この記事では、資金繰りの基本から苦しくなったときの緊急対応や、やってはいけないNG行動、長期的な改善策までの具体的なステップを解説します。今すぐできる対策を知り、資金繰りの不安を解消して、安定した経営を実現するためのヒントを見つけましょう。
資金繰りとは?基本の考え方と見直すべきポイント
資金がなければ、どれほど素晴らしい事業アイデアも実現できません。資金繰りとは、事業を継続するための「血液循環」のようなものです。売上を回収して支払いをきちんと管理し、必要な資金を確保する流れが滞ってしまうと、黒字倒産という悲劇も起こりかねません。
まずは、黒字倒産が起きてしまう理由や資金繰り悪化のサインについて解説します。
「黒字倒産」が起きる理由
黒字倒産とは、会計上の利益が出ていても、現金不足で支払いができずに倒産することです。利益と現金は必ずしも一致しません。売掛金回収遅延や過剰在庫、短期借入金の返済負担に急激な支出増加などが原因となり、資金繰りが悪化してしまうことがあります。利益が出ていても、設備投資などでキャッシュアウトが続けば、黒字倒産のリスクが高まります。
資金繰り悪化のサイン
資金繰りが悪化しているかどうかを判断するサインはいくつかあります。「資金繰りが悪化してきているのでは?」と不安に感じたときは、以下の4つのポイントをチェックしてみましょう。
資金繰り悪化の主なサインは4つ!
売上は順調だが手元資金が不足 従業員の給与・家賃・仕入れ代金・税金の支払い遅延や滞納 過剰な在庫を抱えている 売掛金の回収が遅れている |
特に在庫は「売れないお金」とされていて、過剰な在庫は資金を固定化し、資金繰りを圧迫します。また、売掛金の回収が遅れると入金が滞り、支払いが困難になります。
これらのサインに少しでも当てはまる場合は、資金繰りの悪化が始まっている可能性が高いです。サインを見逃さずに原因を特定し、適切な対策を講じることで、健全な経営状態を維持しましょう。
資金繰りが苦しいときに今すぐできること
資金繰りが苦しいときこそ、迅速な状況判断と行動が重要です。まずは、今すぐできる対策から見ていきましょう。以下の2つのステップに分けてご紹介します。
資金繰りが苦しいときに今すぐできる2つのステップ
経営状況の見直しと改善
資金繰りの悪化は、あなたの事業の現状を改めて見直すチャンスです。まずは、次の具体的な改善策4つを実行してみましょう。
経営状況の見直しと改善策4つ
回収サイトと支払いサイトの見直し
資金繰りが厳しいときは、まず、支払いサイトと回収サイトの見直し行うことが重要です。仕入れ先への支払いを遅らせる交渉をしたり、売掛先への入金催促を積極的に行ったりすることで、資金繰りを改善できる可能性が高まります。例えば、売掛先に早期の支払い割引を提案し、入金サイクルを早めることも有効です。
経費の棚卸しと無駄の削減
経費の削減は、会社の資金繰りに直接影響を与えます。過去の帳簿を分析して、無駄な経費を洗い出しましょう。例えば、光熱費や通信費の見直し、不要なコピー機の廃止など、小さな削減の積み重ねが大きな効果につながります。現金払いをクレジットカード払いに変更することで、支払いを1ヶ月程度遅らせることも可能です。
また、人件費や役員報酬、効率化を図った残業代の見直しもおすすめです。ただし、従業員の士気を下げないように慎重に行いましょう。
在庫の削減と現金化
在庫を抱えすぎると資金繰りが悪化します。商品は代金を支払うときにキャッシュアウトしますが、販売しなければ経費にはなりません。適切な在庫管理を行い、過剰在庫を持たないようにすることで、資金繰りの改善が可能です。例えば、売れ筋ではない商品や賞味期限が近い商品などは積極的に値引き販売をしたり、セールを実施して在庫を現金化したり、委託販売を活用したりすることも有効です。
遊休資産の売却
事業に活用されていない土地や建物、機械などの遊休資産があれば、売却を検討してみましょう。売却益は資金繰りに充てることができ、維持コストも削減できます。例えば、使用していない社用車を売却することで、固定資産税や保険料などのコストを削減できます。
資金調達・対外施策
経営状況の見直しと改善を行ったら、資金調達などのステップに移りましょう。次の4つの案がありますが、それぞれ特徴が異なりますので、ご自身の状況に合うものを選ぶことが重要です。
資金調達・対外施策4つ
返済・支払いの延期打診
資金繰りが苦しい場合は、金融機関や取引先に返済・支払いの延期を依頼するのも選択肢の1つです。現在の財務状況を誠実に説明し、返済計画の見直しを求めましょう。
ただし、優先順位をつけて支払いを行う必要があります。この方法は、短期的には有効ですが、長期的には財務構造の見直しが必要になるので注意しましょう。
ファクタリングの利用
ファクタリングは、売掛金を早期に現金化できる資金調達方法です。法人だけでなく、個人事業主やフリーランスの方を対象としたサービスも提供されています。審査がスピーディーで、金融機関による融資とは異なり、担保や保証人が不要な場合が多いです。
例えば、QuQuMoは最短2時間で入金が可能で、手数料1%~と低く、売掛金さえあれば個人事業主でも利用可能です。QuQuMoのファクタリングについて詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
手形割引やカードローンの活用
商取引で手形を受け取っている場合は、手形を早期に資金化できる手段で、審査も比較的緩やかです。他にも、カードローンを利用することで資金繰りを救済する方法もあります。資金使途は自由で、利用限度額の範囲内で繰り返し利用可能です。申込先は銀行・信販会社・消費者金融などとなり、金利が高いことが多いため、最終手段として検討しましょう。
助成金・補助金・支援金の活用
資金繰りの改善には、国や自治体の助成金・補助金を活用することも可能です。例えば、厚生労働省の「キャリアアップ助成金」や経済産業省の「小規模事業者持続化補助金」があります。これらの制度は後払いのため、即効性のある資金繰り対策ではありませんが、将来的な資金繰りを支援してもらえます。申請は手間がかかり、要件も厳しいため、専門家への相談も検討しましょう。
資金繰りが苦しくてもやってはいけないこと
資金繰りが苦しいときほど、冷静な判断が必要です。安易な行動は、事態を悪化させる可能性がありますので注意しましょう。ここでは、避けるべき3つの行動を紹介します。
資金繰りが苦しくても避けたい3つの行動
高金利の街金融・闇金への依頼
街金融は審査が通りやすく即時融資が可能なため、手軽な資金調達方法だと感じる方が多いです。しかし、高金利のため返済負担が大きく、資金繰りを悪化させる可能性が高いので避けるのが無難でしょう。
例えば、100万円を年利20%で借り入れた場合、1年後の返済額は約120万円になります。この利息負担が、経営を圧迫します。街金融への依存は、財務状況の悪化のスパイラルに陥る可能性が高く、根本的な解決にはなりません。
税金・社会保険料の滞納
税金や社会保険料の滞納は、延滞税の発生だけでなく、会社の財産差し押さえにつながる可能性があります。例えば、消費税は預かったお金としての性質があるため、滞納時の差し押さえリスクが高いです。
また、金融機関からの信用も失墜し、今後の資金調達を困難にする要因にもなり得ます。滞納しそうになったら、すぐに税務署や年金事務所に相談し、分割納付などの対応を検討しましょう。
従業員の給与や取引先への支払いの遅延
人件費や仕入れ先への支払いは、従業員や取引先との信頼関係を築くうえで極めて重要な要素です。資金が厳しくても、給与や支払いは怠らないようにしましょう。
賃金の未払いは労働基準法違反となり、罰金が科される可能性があります。また、仕入れ先への支払いを滞納すれば、取引停止のリスクも高まります。金繰りが厳しい場合も支払いを最優先し、困難なら事前に相談して、延期や分割など誠意ある対応を心がけましょう。
資金繰りが苦しくなる主な原因
その場しのぎの対応では、また同じ苦境に陥るかもしれません。資金繰りが悪化する原因を理解し、根本的な解決を目指すことが大切です。こちらでは、資金繰りを圧迫する4つの原因と、具体的な改善ポイントを分かりやすく解説します。
資金繰りが苦しくなる主な原因は4つ
経営計画自体に問題がある
例えば、売上が前年よりも減少している場合、何もしなければ事業資金が不足して経営が危うくなります。競合の増加や顧客ニーズの変化に対応するために、市場・競合調査、顧客アンケートによるニーズ把握が重要です。それをもとに新商品開発や既存商品の改良、SNS広告といった具体的な施策を実行し、売上目標を数値化することで改善が期待できます。計画の定期的な見直しも忘れずに行いましょう。
仕入れや経費の過多
経費が多いと製品開発や仕入れに使える資金が減り、資金繰りが厳しくなります。収入と支出のバランスを維持し、資金不足に陥らないよう、まずは消耗品費や交通費など、事業への影響が少ない経費から削減に着手するのが効果的です。
また、在庫管理の徹底や適正在庫の維持も重要です。過剰在庫は保管費用の増加につながり、資金効率を低下させます。在庫管理を徹底し、無駄な支出を抑えて、資金を効率的に活用しましょう。健全な資金繰りを確保することで、経営の安定化につながります。
計画性に乏しい設備投資
設備投資は高額なため、支出のタイミングや計画を誤ると経営が悪化します。投資前に見込み利益やROI(投資利益率)を計算し、返済計画を事業計画に組み込むことが重要です。手持ち資金のみか、借入金を活用するかも考慮し、仕入れや人件費などの運転資金も確保しなければなりません。販売計画と連動した売上予測も重要で、資金繰りに余裕を持たせた計画を立て、必要に応じてリース契約も検討しましょう。
資金繰り表を作っていない
資金繰り表は、1ヶ月単位で収支を予測するための重要なツールです。資金繰り表を作成していない場合、資金の流れを視覚的に把握できず、資金ショートのリスクを早期に発見しにくくなります。
Excelなどの表計算ソフトを用いて、売上予測・仕入れ費用・人件費・借入金返済額などを記入してみましょう。定期的に見直すことにより、大規模な仕入れや設備投資のタイミングを適切に判断でき、資金不足に備えることが可能になるだけでなく、余分な経費を削減しやすくなります。
まとめ
資金繰りが苦しいときは、まず現状を把握し、売掛金回収の促進や経費削減、在庫圧縮や遊休資産の売却を行うことが重要です。支払いサイトと回収サイトの見直しや無駄な経費の削減、売れ残り在庫の現金化など、すぐに実行できる施策から始めましょう。
資金調達が必要な場合は、ファクタリングや助成金の活用がおすすめです。また、資金繰りが苦しくても従業員や取引先への支払いを優先し、高金利の融資の利用や税金の滞納は避けましょう。
長期的には、事業計画の見直しや経費管理、計画的な設備投資、資金繰り表の作成が不可欠です。売上目標と在庫管理、投資計画を含む計画性を持った経営を心がけて健全な資金繰りを目指しましょう。