2025-09-29
ファクタリングの審査は厳しい?審査基準や通りやすくなるポイントを解説

融資やローンと比較して、ファクタリングは審査が甘いといわれています。しかし、ファクタリング審査にはいくつかの審査基準が設けられているため、申し込みをしても審査に落ちてしまうケースは珍しくありません。
この記事では、ファクタリング審査の難易度や基準について分かりやすく解説します。審査に通りやすくなるポイントもあわせてご紹介しますので、ファクタリングの利用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
ファクタリングの審査とは
ファクタリングの審査とは、ファクタリング会社が売掛債権を買い取る際に、その債権の買取可否などを判断するために行う審査のことです。この審査に法的義務はありませんが、実際にはどのファクタリング会社も審査を実施しています。
逆にいえば、ファクタリングを利用するときは、必ず審査を受けなければなりません。ファクタリング会社は買い取った売掛債権の代金(売掛金)を回収して初めて利益が確定するため、審査では売掛先の支払い能力を厳しくチェックします。
ファクタリングの審査基準は?

ファクタリングの審査基準は各社で異なりますが、主にチェックされるポイントは以下のとおりです。
<ファクタリングの審査基準>
それでは、各ポイントについて詳しく見ていきましょう。
売掛先の信用力
ファクタリングの審査では「売掛先の信用力」が最も重視されます。なぜなら、ファクタリング会社の売掛金の回収可否は、売掛先の支払い能力に寄与するからです。
売掛先の信用力は企業規模や取引実績、経営状況などに基づいて評価されます。そのため、売掛先が行政機関や公共機関の場合は、「信用力が高い」とみなされるのが一般的です。
利用者の取引姿勢
ファクタリングの審査では売掛先の信用力が重要視されますが、利用者の取引姿勢も審査の対象となります。これは取引でのトラブルや詐欺などの犯罪を回避するためです。
特に利用者が売掛金を回収する「2社間ファクタリング」では、利用者の取引姿勢が重視される傾向があります。面談などで次のような態度が見られる場合、ファクタリング会社は買取を拒否する可能性があるため、くれぐれもご注意ください。
<低評価を受けやすい利用者の取引姿勢>
・上から目線な発言が多い
・担当者の意見に耳を傾けない
売掛金の支払期日の長さ
ファクタリング審査において売掛金の支払期日も重要な審査基準です。回収サイト(入金されるまでの期間)が長いほど売掛先の倒産や経営悪化のリスクが高まるため、ファクタリング会社は売掛金の支払期日を考慮したうえで取引の可否を判断します。
なお、売掛金の支払期日は長くても2ヶ月程度が望ましいです。それ以上の長期間になると、審査に通りにくくなる可能性があります。加えて、ファクタリング会社の中には、回収サイトが2ヶ月以上の取引を受け付けていないところもあるので注意しましょう。
売掛先との取引実績
利用者と売掛先の取引実績もファクタリングの審査基準に含まれます。一般的に、取引期間が長いほど「安定的に売掛金を回収できている」とみなされ、審査で有利になることが多いです。さらに売掛先との関係が良好であれば、「取引実績が多い」「売掛先の承認を得やすい」といったプラス評価につながります。
一方で、取引がないまたは取引期間が短い場合は、「関係性が希薄」と判断されやすく、審査で不利になる傾向があります。架空取引が疑われ、審査に落ちてしまうことも考えられるため、売掛先との取引実績も意識した債券選びが必要です。
債権の健全性
ファクタリングを利用する企業の中には架空の請求書を発行したり、不良債権(回収困難または回収不能となるリスクが高い債権)を売却したりするところもあります。そのような詐欺被害を防ぐため、ファクタリング会社は債権の健全性も厳しくチェックします。
架空債権や不良債権の持ち込みを疑われた場合は、他の基準を満たしていても審査に通ることはありません。なぜなら、これらの債権を買い取ることは、ファクタリング会社にとってリスクでしかないからです。
また、架空債権や不良債権を持ち込むと、詐欺罪に問われる可能性があります。罪に問われれば、社会的信用を失ってしまうため、債権の健全性についても事前確認が必要です。
二重譲渡の危険性
ファクタリングにおける二重譲渡とは、1つの売掛債権を複数のファクタリング会社に売却することをいいます。二重譲渡が発生した場合、ファクタリング会社は売掛金を回収できなくなってしまうため、審査の際にはその危険性についても確認します。
上記の内容から分かるように、二重譲渡の疑いがある債権は買い取ってもらえません。そのため、売却する債権を選ぶときは、すでに譲渡済みでないことを確認しておく必要があります。
また、売掛債権の二重譲渡は違法行為であり、横領罪や詐欺罪に該当する立派な犯罪です。故意でなくても罪に問われる可能性があるため、十分に注意しましょう。
債権譲渡禁止特約の有無
債権譲渡禁止特約とは、契約当事者間で債権の譲渡を禁止または制限する特約のことです。ファクタリングの審査では売掛先との契約における債権譲渡禁止特約の有無も確認されます。
2020年の民法改正により、債権譲渡禁止特約付きの売掛債権は、原則として第三者への譲渡が有効とされました。つまり、ファクタリング会社に売却できるようになったわけですが、この特約を理由に債権の譲渡やファクタリング会社への支払いを拒否する売掛先も少なくありません。
法的に問題ないものの、売掛先とのトラブルが懸念されるため、当該債権の買い取りに消極的なファクタリング会社も見受けられます。場合によっては審査落ちの理由になることもありますので、その点はご留意ください。
ファクタリングの審査に通りやすくなるポイントとは?
ここからは、ファクタリングの利用を検討している方に向けて、審査に通りやすくなるポイントをご紹介します。
<ファクタリングの審査に通りやすくなるポイント>
信用力が高い企業の売掛金を選ぶ
ファクタリングを利用するときは、できるだけ信用力の高い企業の売掛金を選びましょう。繰り返しになりますが、ファクタリングの審査対象は主に売掛先であり、その信用力が高いほど審査に通りやすくなります。一般的に、以下のような企業は「信用力が高い」とみなされることが多いです。
<信用力が高いとみなされる企業の特徴>
| ・資本金や従業員数が多い ・上場している ・官公庁や金融機関との取引が多い ・経営が安定している |
また、行政機関や公共機関も社会的信用が高いため、これらの売掛金を選択すれば、ファクタリング審査を有利に進めることができます。
支払期日が短い売掛金を選ぶ
ファクタリング会社は支払期日が短い売掛金を好みます。これは回収サイトが短いほど売掛先の倒産や経営悪化による未回収リスクが低減するからです。
基本的には、売掛金の支払期日は長くても2ヶ月程度が望ましいといわれています。それ以上の長期間になると、審査のハードルが上がるため、できるだけ支払期日が短い売掛金を選びましょう。
3社間ファクタリングを利用する
ファクタリングの契約形態には「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があります。
<ファクタリングの契約形態>
| ・2社間ファクタリング…利用者とファクタリング会社の2社間での契約 ・3社間ファクタリング…利用者・ファクタリング会社・売掛先の3社間での契約 |
上記のうち、審査に通りやすいのは「3社間ファクタリング」です。なぜなら、契約に売掛先が関与することで、架空債権や二重譲渡などのリスクを下げられるからです。
また、3社間ファクタリングでは売掛先がファクタリング会社に直接支払いを行います。2社間ファクタリングと比べると、3社間ファクタリングは売掛金の未回収リスクが低いため、審査基準が比較的緩やかです。
売掛金が存在している証明を用意する
ファクタリングの審査通過率を上げるためには、売掛金の存在をしっかり証明することも重要です。これからファクタリングを申し込む方は、債権の健全性が疑われないよう、以下の書類を準備しておきましょう。
<売掛金の存在を証明できる主な書類>
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なお、ファクタリング会社が提示する必要書類(売掛金の存在を証明できる書類)は、審査の際に使用する必要最低限の書類です。これだけでは物足りないと感じる場合は、必要に応じて書類を追加しても問題ありません。
適切な売掛金のものを選ぶ
自社に見合う売掛金を選ぶことも、ファクタリングの審査通過率を上げるポイントです。ここでいう「自社に見合う売掛金」とは、それぞれの会社の事業規模や売上とのバランスが取れた売掛金のことを指します。
例えば、事業規模に対して売掛金が高すぎると不正を疑われやすいですし、売掛金が低すぎると採算の問題から審査に通りにくくなる可能性があります。このようなリスクがあるため、基本的には自社に見合う売掛金を選ぶようにしましょう。
信頼されるような態度を取る
ファクタリング会社は利用者の取引姿勢も審査します。そのため、お問い合わせをしたり、面談を受けたりするときは、ファクタリング会社に信頼してもらえるような態度を心掛けましょう。
具体的には、「丁寧に受け答えする」「嘘をつかない」「期日までに書類を提出する」といった点を押さえておく必要があります。どれも当たり前のことに思えるかもしれませんが、急な資金調達に迫られたとき、不安やプレッシャーから誠実さを欠いてしまう方もいらっしゃいます。そうなると、ファクタリング会社から信頼を得ることが難しくなるため、態度や言動には十分注意しましょう。
複数のファクタリング会社に審査を申し込む
少し手間はかかりますが、複数のファクタリング会社に審査を申し込み、ご自身にとって利用しやすい会社を選定するのもおすすめです。ファクタリングの審査基準は各社で異なるため、審査の通りやすさも会社によって違います。
また、担当者との相性も踏まえると、1社だけに申し込むよりも複数社に申し込むほうが審査に通る可能性が高くなります。初めてのファクタリングで不安がある方は、ご自身に適していそうな会社を3社ほど見繕い、各社に審査を依頼してみましょう。
ちなみに、複数のファクタリング会社に同じ売掛債券を売却するのは違法ですが、審査を申し込むのは違法ではありません。二重譲渡に関しては、故意でなくても責任に問われるリスクがあるため、絶対に避けてください
審査の通過率が高い企業を選ぶ
ファクタリングの利用で確実性を重視する場合は、審査の通過率が高いファクタリング会社を選びましょう。審査の通過率が高いファクタリング会社には次のような特徴があります。
<審査の通過率が高いファクタリング会社の特徴>
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日本ではさまざまな企業がファクタリングサービスを提供しています。その中で「申し込みがしやすい」「現金化までのスピードが早い」などの特徴がある会社は、審査難易度が低めに設定されていることが多いです。
ただし、必要書類があまりにも少ない場合は、悪徳業者の可能性が疑われます。加えて、審査なしで利用できるファクタリング会社は存在しないため、堂々と審査なしを謳っている企業にも注意が必要です。下調べの段階で少しでも怪しいと感じたら、専門家に相談したり、他のファクタリング会社を検討したりするとよいでしょう。
譲渡禁止特約がない売掛金を選ぶ
ファクタリングでは譲渡禁止特約がない売掛金を利用するのが望ましいです。ファクタリング会社は売掛先とのトラブルを回避するために、譲渡禁止特約がある売掛金の買い取りを避ける傾向があります。
逆にいえば、譲渡禁止特約がない売掛金を選ぶことで、ファクタリングの利用のハードルを下げることが可能です。審査の通りやすさを優先したいときは、特約の有無にも注意して売掛金を選びましょう。
なお、下記のケースに当てはまる場合、売掛先は譲渡禁止特約の効力を主張できます。その結果として、ファクタリング会社との取引が無効となる可能性があることも理解しておかなければなりません。
<譲渡禁止特約の効力が認められるケース>
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ファクタリング会社の選び方
日本には数多くのファクタリング会社が存在し、それぞれサービスの特徴が異なります。これからファクタリングを利用する方は、以下の5つの点を確認し、ご自身の状況に適したファクタリング会社を選びましょう。
<ファクタリング会社の選び方(確認すべきポイント)>
会社情報や実績
ファクタリング会社を選ぶ際に、まず確認すべきは運営会社の情報です。運営母体や親会社の実態を確認することで、悪質なファクタリング業者による詐欺被害を回避しやすくなります。
なお、ホームページに会社情報(所在地・電話番号・代表者名など)が記載されていない場合、その会社は悪徳業者の可能性が高いです。気になる会社を見つけたら、所在地などの会社情報が開示されているかを必ず確認し、できれば第三者の口コミ・評判もあわせて確認しましょう。
ファクタリング会社の信頼性を判断するときには、取引実績も重要な要素です。ホームページに累計取引件数などの実績情報が記載されていることが多いため、そちらもぜひチェックしてみてください。
契約条件
ファクタリングの契約条件は各社で大きく異なります。特に重要なのは契約形態、すなわち「2社間と3社間のどちらの契約に対応しているか」という点です。
取引先にファクタリングの利用を知られたくない場合は、2社間ファクタリングを選ぶ必要があります。一方で、審査の通りやすさや手数料の安さを重視する場合は、3社間ファクタリングを選択するのが適切です。
また、契約内容に償還請求権が含まれているかどうかも重要なポイントとなります。償還請求権がある場合、売掛金の未回収リスクは利用者が負わなければなりません。安全性を重視するなら、償還請求のない契約(ノンリコース)を選びましょう。
現金化までのスピード
「できるだけ早く事業資金を調達したい」という方は、現金化までのスピードを確認しておくことが大切です。一般的に、2社間ファクタリングでは最短即日から3営業日程度、3社間ファクタリングでは1週間〜10日間程度での現金化が可能です。
スピーディーな資金調達を求める方には、2社間ファクタリングに対応しているファクタリング会社の利用をおすすめします。ただし、現金化までのスピードは申し込みのタイミングによっても変わるため、事前にサービス内容をしっかり確認しておきましょう。
買取可能額の範囲
買取可能額の範囲は、ファクタリング会社によってさまざまです。そのため、現金化したい金額や売掛債権の保有数などにあわせて適切な会社を選ばなければなりません。
また、多くのファクタリング会社は買取可能額に下限や上限を設けています。下限額は数万円から数十万円、上限額は数千万円から数億円といずれも範囲が広いです。
中小企業や個人事業主・フリーランスの場合は、少額からでも利用できる会社を選ぶことで、柔軟な資金調達が可能となります。一方で、大型案件に携わる法人・個人の場合は、高額債権の買取実績がある会社を選ぶのがおすすめです。
手数料
ファクタリングには手数料がつきものですが、その割合はファクタリング会社や契約形態によって異なります。契約形態から見る手数料の相場は以下のとおりです。
<ファクタリングの手数料の相場>
| ・2社間ファクタリング…8%〜18%程度 ・3社間ファクタリング…2%〜9%程度 |
2社間ファクタリングは売掛先を介さない契約のため、3社間ファクタリングよりも売掛金の未回収リスクが高く、手数料が高めに設定される傾向にあります。手元に多くの現金を残したい場合は、3社間ファクタリングに対応しているファクタリング会社の利用を検討しましょう。
なお、手数料が高すぎるまたは低すぎる会社は悪徳業者の可能性があります。詐欺被害を回避するという観点からも、手数料を確認することは非常に重要です。
ファクタリングの審査にかかる時間は?
ファクタリングの審査は早ければ数十分、遅くても1週間以内に完了することが多いです。銀行融資などと比較して、ファクタリングは審査にかかる時間が短いため、急な資金需要にも柔軟に対応できます。
特にオンラインファクタリングは審査スピードが早く、申し込みから入金までの期間が短いです。例えば、「QuQuMO(ククモ)」では最短30分のスピード審査を実施しており、最短2時間で請求書を現金化できます。「とにかく早く事業資金を調達したい」という方は、オンラインファクタリングの利用を検討してみましょう。
ファクタリングの審査で必要な書類は何?
審査時に必要な書類はファクタリング会社によって異なります。以下に代表的な書類をまとめましたので、参考にしてみてください。
<ファクタリング審査における主な必要書類>
| ・身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど) ・売掛金の存在を証明する書類(請求書・契約書・注文書・納品書など) ・通帳のコピー(取引履歴が確認できるものに限る) ・商業登記簿謄本 ・決算書または確定申告書 ・税金や社会保険に関する書類(納税証明書・納付済証など) |
「身分証明書」「売掛金の存在を証明する書類」「通帳のコピー」の3つに関しては、ファクタリング会社から提出を求められる場合がほとんどです。これらの書類をあらかじめ準備しておけば、よりスムーズに資金調達を進められます。
また、売掛金の存在を証明する書類はできるだけ多く用意するのが望ましいです。ファクタリング会社は売掛金の回収可能性を重要視するため、必要に応じて提出書類を増やし、未回収リスクが低いことをアピールすれば、審査に通る可能性が高まります。
まとめ
融資やローンと比べると、ファクタリングは審査の難易度が低いといえます。審査基準は各社で異なりますが、主にチェックされるポイントは以下のとおりです。
<ファクタリングの審査基準>
| ・売掛先の信用力 ・利用者の取引姿勢 ・売掛金の支払期日の長さ ・売掛先との取引実績 ・債権の健全性 ・二重譲渡の危険性 ・債権譲渡禁止特約の有無 |
ファクタリング会社が最も避けたいのは、買い取った売掛金が回収不能になることです。そのため、どの会社も審査を通じて「売掛先の信用力」や「債権の健全性」などを確認します。この記事でご紹介したポイントを意識すれば、初めてファクタリングを利用する方も審査を有利に進めることができるでしょう。
また、ファクタリング審査の通過率は会社や契約形態によって異なります。審査に不安がある方は、通過率が高い「オンラインファクタリング」や「3社間ファクタリング」の利用をご検討ください。
