2023-03-30
売掛金に対する消費税はどうなる?仕訳の方法や扱い方を解説

ただでさえ複雑な売掛金の仕訳処理。消費税の取り扱いや記入方法まで加わると、ミスが多発するかもしれません。
そこで今回は、売掛金に対する消費税の取り扱いについて解説します。仕訳の方法や売掛金の基礎知識なども解説するので、知識の地固めをしたい人はぜひ参考にしてみてください。
基本を習得しておけば、「ミスの修正にコア業務が圧迫される」「税務調査で指摘を受ける」といったリスクも抑えられるでしょう。
売掛金に対する消費税はどうなる?

売掛金の税区分は「課税対象外」です。
商品やサービスを提供して売上を計上した時点で消費税が課税され、売掛金が回収された際は、回収された時点での消費税が納税対象となります。
つまり、売掛金が未回収の場合は、その時点で消費税を納税する必要はありません。
売掛金を計上する時の仕訳
商品の売上が100,000円、消費税率を10%として、計上する際の仕訳を見ていきましょう。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
| ○月○日 | 売掛金 110,000円 | 売上 100,000円 仮受消費税 10,000円 |
売上(A社) |
売掛金は請求書発行時点での消費税のみが課税されるため、売掛金の入金があった場合でも消費税は再度課税されることはありません。
また、未払いの売掛金がある場合、消費税は請求書発行時点で計上されたものとして、支払いが完了するまで仮払いとして会計処理されます。
売掛金を回収した時の仕訳
前述した例をもとに、売掛金を回収したときの仕訳も見ていきましょう。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
| ×月×日 | 普通預金 110,000円 | 売掛金 110,000円 | 売上(A社) |
上記のとおり、売掛金の発生時に消費税込みで計上したため、回収時も同額を消し込みます。税抜き価格(100,000円)で処理した場合、売掛金に差額が生じるため注意してください。
売掛金における消費税の扱い方

売掛金における消費税の扱い方をパターン別に解説します。
<扱い方のパターン>
- 請求書として発行する場合
- 未回収金がある場合
- 売掛金を譲渡した場合
各パターンの詳細について、次項から詳しく見ていきましょう。
請求書として発行する場合
請求書として発行する場合、発行時点で消費税が課税されます。つまり、売上と同様に、売掛金に対する消費税も請求書の発行時点で計上します。
また、請求書には、以下の情報が含まれなければなりません。
<請求書に含む情報>
- 請求書の日付
- 売上の日付
- 請求書番号
- 顧客の名前や住所
- 売上の内容や数量、金額
- 消費税率と消費税額
- 支払い期限
次に、請求書の金額に対して消費税率を適用し、消費税額を計算します。消費税の計算には「内税方式」と「外税方式」の2つがあります。
<消費税の計算方法>
- 内税方式:請求書の金額に消費税を含める
- 外税方式:請求書の金額と消費税をわける
内税方式の場合、消費税を別途計算する必要はありません。外税方式の場合、請求書の金額に対して消費税額を計算する必要があります。
売掛金を請求書として発行する際は、内税方式または外税方式のどちらかを選択し、その方法に応じた売掛金を計上しましょう。
未回収金がある場合
未回収金が発生した場合は、請求書発行時に課税された消費税を仮払いとして扱います。請求書においては、売掛金が入金されるまで、仮受消費税として計上します。
未回収金が入金された際は、正式な売上として計上しましょう。この際、請求書発行時に適用された消費税率をそのまま適用し、再度計算します。
売掛金を譲渡した場合
売掛金をファクタリング業者などへ譲渡した場合、発生する手数料は課税対象外です。これは、手数料が「売掛債権譲渡損」として処理されるためです。
たとえば、10万円の売掛金を譲渡し、1万円の手数料を支払った場合、会計処理は未収入金10万円、現金9万円、手数料1万円は売掛債権譲渡損で処理します。
手数料は業者ごとに設定されるので、利用の際はよく確認しましょう。
売掛金残高に差額が生じた場合に確認すべきこと

売掛金残高に差額が生じた場合、以下のポイントを確認する必要があります。
<確認すべきポイント>
- 売掛金の取引が正しく記録されているか
- 売掛金の支払条件が正確であるか
- 自社と取引先の消費税の端数処理方法が異なっていないか
- 自社と取引先の締め日が異なっていないか
- 消込でミスが発生していないか
これらのことを確認したうえで、上記のどの原因にも当てはまらない場合は、取引先のチェック漏れの可能性があるので、取引先に確認を依頼しましょう。
また、差額の原因が消費税の端数処理にある場合、仮受消費税として処理してください。たとえば、代金が20,002円(税込)、売掛金が20,000円だった場合、差額を仮受消費税(貸方)とします。
売掛金の基礎知識

ここでは、売掛金に関する基礎知識を紹介します。売掛金の仕訳は複雑な処理が多く、基本を習得しなければミスを誘発する恐れがあります。
売掛金元帳や消費税の経理方式など、基本的なポイントを頭に入れ、トラブル発生のリスクを抑えましょう。
売掛金元帳とは
「売掛金元帳」は、売掛金の管理を行うために作成する帳簿の一種です。具体的には、取引先ごとに債権の発生状況や支払い予定日、支払状況などを記録します。これによって、取引先ごとの未回収金額の把握や支払い状況を確認できます。
また、売掛金元帳は、売掛金の管理だけでなく、売掛金の決算処理や会計帳簿の作成にも欠かせない帳簿です。正確かつ適切に情報を記録することによって、キャッシュフローの改善や信用リスクの軽減などに役立ちます。
税込経理方式と税抜経理方式
所得税や法人税の計算には「税込経理方式」と「税抜経理方式」の2種類の方法があります。課税事業者はどちらを選んでも問題ありませんが、免税事業者の場合は「税込経理方法」を使用しましょう。
売掛金を仕訳する際の消費税の取り扱いは、使用する方法によって異なります。各方法の仕訳の例をご紹介します。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
| ×月×日 | 売掛金 11,000円 | 売上 11,000円 | 売上(A社) |
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
| ×月×日 | 売掛金 10,000円 | 売上 10,000円 仮受消費税 1,000円 |
売上(A社) |
上記のとおり、税込経理方式は金額記入時に消費税込みの金額を記入します。一方、税抜経理方式では、消費税を分けて記入するため、売上と税額が区別しやすくなります。
売掛金の回転期間
売掛金の回転期間とは、商品やサービスを提供してから実際に代金を回収するまでにかかる期間です。回転期間は以下の計算式で求められます。
<回転期間の計算式>
- 「売掛金の回転期間(月) = (売掛金 + 受取手形) ÷ (売上 ÷ 12)」
- 「売掛金の回転期間(日) = (売掛金 + 受取手形) ÷ (売上 ÷ 365)」
売掛金の回転期間が短いほど、資金の回収がスムーズに行われ、経営の健全化が図れている証です。
売掛金の回転率
売掛金の回転率は、企業が売掛金を回収する能力を示す指標です。回転率を求める計算式を見ていきましょう。
<回転率の計算式>
- 「売掛金の回転率 = (売上原価 ÷ 売掛債権による売上)」
回転率の数値が低ければ、売掛金の回収効率が悪く、企業の資金繰りに悪影響を与える可能性があります。この場合、売掛金の管理方法の見直しや入金促進のための手段の導入など、代金回収の改善策を考える必要があります。
適切な売掛金管理を行うことで、企業の資金繰りを改善し、経営の安定性を確保できるでしょう。
売掛金の時効
売掛金は、民法上の債権であり時効があるので注意が必要です。売掛金の時効期間は、民法によって「売掛金の支払期限から数えて5年」と定められています。
売掛金の滞納を放置したまま時効が過ぎると、放置したと見なされ請求権が消滅します。
たとえば、2023年2月に商品を納め代金は、翌月末日払いの場合、売掛金の支払期限は2023年3月末日です。5年経った2028年3月末日に売掛金の時効が成立し、代金を回収できません。
ただし、支払いの督促や民事裁判、差し押さえの実行などにより、売掛金の時効は更新できます。
まとめ
適切な売掛金の回収は、健全な企業の経営には不可欠です。
取引件数が増えるにつれて、売掛金の管理にかかる手間と時間も増加します。代金の回収漏れを防ぐためには、債権の状況をチェックできる仕組みを整えなければなりません。
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【監修者】鈴木 孝明(すずき たかあき)
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税理士 [登録番号:142076]/すずき会計事務所 代表
20代で税理士試験に合格後、国内の税理士事務所に勤務。その後、独立し「すずき会計事務所」を開業。
中小企業・個人事業主様を中心に、税務・会計支援を行っており、ファクタリングを含む資金繰り支援に関する実務経験も豊富。 - すずき会計事務所のプロフィール

