2023-05-09
中小企業の資金調達が難しいのはなぜ?その理由や具体的な資金調達方法について解説

資金調達とは、会社を運営するうえで必要な資金を、外部からの借り入れなどで調達することです。中小企業の多くは、慢性的な資金不足の状態であることが多いです。万が一に対応できる自己資金も乏しく、少しのトラブルが起きただけでも、資金難に陥りやすいといえます。
本記事では、中小企業の資金調達が難しい理由と、打開策を詳しくご紹介します。
中小企業が資金調達を必要とするのはどんな時?

中小企業が資金調達を必要とする場面は、以下のとおりです。
| 創業資金 | 会社設立のために準備する資金 |
| 運転資金 | 必要な経費や仕入れ、家賃、従業員に対する給与など |
| 設備投資 | 生産性が向上する機械や車両の導入、安全や快適さを求めるための事業所の改修など |
| 事業拡大 | 支店立ち上げ、新規事業、合併や買収など |
創業資金は自己資金で確保できたとしても、事業を進めていく中で減っていきます。必要に迫られて融資先に借り入れを申し出ても、減少後の自己資金を基準に計算すると、希望額に満たない場合があります。また、決定から融資まで1〜2ヶ月と時間がかかる場合も多いため、早めの資金調達は欠かせません。
運転資金は、業績や稼高に関係なく出ていく経費の支払いを賄う必要があります。業績に直結する設備投資は、多少無理をしても資金を投入するべきときもあります。事業拡大もタイミングが鍵となるため、資金調達におけるフットワークの軽さが求められる場面があるでしょう。
中小企業の資金調達が難しい理由

中小企業の資金調達が難しいといわれる理由には、以下が挙げられます。
<中小企業の資金調達が難しい理由>
- 自己資金だけではまかないにくい
- 担保がない
- 業種経験が少なく、信用性が低い
- 選択肢が少ない
自己資金は、創業資金の調達方法として、経営者から一番多く選択されています。しかし、創業時に用意できた額と同額程度を、成長初期にも用意できるとは限りません。
銀行や信用金庫などの金融機関からの借り入れでは、不動産の担保設定を求められる場合が多くあります。そのため、担保にできる不動産を持っていない中小企業の借り入れは、難しくなる傾向があります。
また、銀行が融資を決定する際に一番重要視しているのが、返済能力です。自己資金や業務経験が少ない企業は、金融機関からの信用を得にくく、審査に通りにくい可能性もあります。
資金調達といえば、自己資金もしくは融資との思い込みが、中小企業の資金調達の選択肢を狭めている場合もあります。しかし実際は、資金調達方法に多くの選択肢があるため、検討の幅を広げることがおすすめです。
中小企業が選べる資金調達手段の種類

中小企業が選べる資金調達手段の種類には、以下が挙げられます。
それぞれの手段の詳細を解説します。
デットファイナンス
デットファイナンスとは、負債を増やして資金調達する借り入れ型の方法です。デットファイナンスの資金調達方法には、公的融資や銀行融資、債権を発行する普通社債などが挙げられます。
融資を受けても、債権者が経営に影響を及ぼすことがない点は、デットファイナンスのメリットです。過去に、金融機関から借り入れや返済をした実績があれば、融資を受けやすくなります。
デットファイナンスは借り入れにあたるため、負債や利息が発生する点には注意が必要です。融資を受ける際は、借り入れ総額や月ごとの返済額をあらかじめまとめ、しっかりとした返済計画を立てておきましょう。
アセットファイナンス
アセットファイナンスとは、自社が保有している資産を売却することにより、資金調達をする方法を指します。不動産や機械設備、車両などの固定資産や売掛金、在庫品などの流動資産を売却することが一般的です。
アセットファイナンスは、融資ではなく売却のため、返済の必要がない点がメリットです。すでに保有している資産を使用するため、資金繰りをせずに現預金を増やせます。
一方で、売却できる資産を保有していなければ、アセットファイナンスは選択できません。また、信用性の低い資産を売却する場合、手数料が引かれて、手元に残る現金が少なくなる可能性もあります。
エクイティファイナンス
エクイティファイナンスとは、出資により資金調達をする方法です。公募増資や株主割当増資、第三社割当増資などがエクイティファイナンスに該当します。
エクイティファイナンスのメリットは、新株を発行することで資本が増える点です。出資による資金調達は、融資のように返済の必要もありません。
ただし、新株の発行により、一株あたりの価値が薄まるデメリットもあります。そのため、エクイティファイナンスを選択する際は、既存の株主の理解を得る必要があります。
中小企業がよく利用する資金調達方法

中小企業がよく利用する資金調達方法は、以下のとおりです。
| 公的融資制度 | 補助金・助成金 | ノンバンクの事業者ローン・ビジネスローン | ファクタリング | 資産売却 | 社債発行 | |
| スピード | 民間金融機関に比べて時間がかかる | 数ヶ月〜半年以上かかる | 約5~10日で融資が可能 | 最短即日 | 資産の種類によって異なる | 1〜2ヶ月以上 |
| 審査難易度 | 低い | 補助金:高い、助成金:低い | 低い | 低い | なし | 高い |
| コスト | 金利が低い | なし | 金利が高い | 手続き費用 | 手続き費用 | 利息 |
| メリット | 事業実績があまりない企業も利用しやすい | 返済不要であり、経営状況に影響を与えない | 審査基準が柔軟 | 返済不要の現金化ができる | 信用力が低い企業でも利用できる | 返済方法をある程度自由に決められる |
| デメリット | 使途や条件に制限がある | 条件に合う制度を見つけるのに手間がかかる | 借り入れ限度額が低いことが多い | 売掛金の範囲の額しか調達できない | 手続き費用が高い場合がある | 負債の位置づけとなる |
以下では、それぞれの方法の詳細を解説します。
公的融資制度
公的融資制度には、日本政策金融公庫や自治体などが提供する融資が含まれます。中小企業でも利用のハードルが低く、比較的低金利で利用できる点が特徴です。
日本政策金融公庫は、民間金融機関を補完する目的で設立された金融機関です。そのため、創業したばかりの企業や、事業実績があまりない企業も利用しやすい配慮がなされています。
また、自治体の金融制度も、信用保証協会の保証を前提とした制度が多く、担保や保証人が不要で利用できる場合があります。
公的融資制度は、民間金融機関の審査に通る自信のない経営者の資金調達方法として、おすすめです。
補助金・助成金
補助金や助成金は、政府が直接的・間接的に公益性があると認めた事業者に交付する給付金です。補助金・助成金は原則的に返済不要であり、経営状況に影響を与えない点がメリットです。
補助金は、事業計画書の提出が求められる場合が多く、対象範囲や給付額も限定的な傾向があります。一方、補助金は幅広い事業を対象としており、給付額も大きい場合が多いです。
補助金・助成金はどちらも種類が多く、自社の条件に合う制度を見つけるのに、手間がかかる点はデメリットです。補助金・助成金は、要件を満たす事業内容を展開している企業に、積極的な活用をおすすめします。
ノンバンクの事業者ローン・ビジネスローン
ノンバンクとは、預貯金の取り扱いをしていない、貸付業務を行っている金融会社のことで、信販会社やリース会社など、いわゆる貸金業がそれにあたります。
国民生活金融公庫が、審査が終わるまでに1ヶ月以上かかってしまうところを、ビジネスローンは約5~10日で融資が可能です。しかし金利は高めなので、借り入れの際は返済計画をしっかりと立てる必要があります。
ファクタリング
ファクタリングは、売掛債権を譲渡して現金化する、上述した資産売却のうちのひとつです。オンラインで申し込みが済ませられ、現金化が早いのが特徴で、近年利用者が増えています。
売掛先に債権譲渡の情報が洩れることがないので、関係性が悪化することもなければ、審査基準も緩く、赤字や税金滞納があっても問題ありません。
しかし、売掛金が売掛先から支払われたら、分割払いなどができず速やかに支払わなければならない、売掛金以上の融資は受けられない、手数料が高めなどのデメリットもあります。
資産売却
自社の持つ資産価値を換金することで、資金調達することを「アセットファイナンス」といいます。
例えば、不動産を売却する、売掛債権を譲渡するなどの調達方法は、銀行から融資を受けられない中小企業やベンチャー企業でも利用可能です。まだ創業初期の企業で信用力が低い場合でも、資産価値を対象として、検討してもらえるというメリットがあります。
しかし、手続きにかかる費用が、銀行から融資を受けて返済する場合の金利を上回る可能性があるので、銀行の融資が叶うならそちらを優先したほうが無難でしょう。
社債発行
企業が社債を発行すると、中長期の運転資金を投資家から直接資金調達できます。企業にとっては負債の位置づけになりますが、返済については企業側がある程度自由に決められます。
社債発行時は、特に何かを担保にするとは決まっていないため、中小企業では割と多く利用されている資金調達の手段です。
中小企業が資金調達する際のポイント

中小企業が資金調達する際のポイントは、以下の3点です。
<中小企業が資金調達する際のポイント>
それぞれを具体的に見ていきましょう。
質の高い事業計画書を作成する
金融機関の融資や補助金などを申し込む際は、事業計画書の提出を求められることが多くあります。融資審査を有利にするためには、詳細かつ現実的で、質の高い事業計画書を作成する必要があります。
事業計画書を作成する際は、相手方を納得させる内容を練るために、時間をかけるようにしましょう。
必要な資金額と使用用途を明確にする
資金調達方法を考える前に、まずは必要な資金額と使用用途を明確にしましょう。本当にその金額が必要かを熟慮すると、見直せる点が見えてくる場合があります。資金調達をする前に普段の経費を見直し、支出を減らすことも良い方法です。
返済が必要な融資などの資金調達方法を選ぶ場合、借り入れ額が増えれば負担はより大きくなります。そのため、必要な資金額を事前にしっかり考えておくことは欠かせません。
複数の資金調達方法を比較する
中小企業が選択できる資金調達方法は、数多くあります。そのため、一つの方法にこだわらず、複数の方法を比較するのがおすすめです。それぞれの資金調達方法には、メリット・デメリットがあります。
例えば、急ぎで資金調達が必要な場合は、手続きや審査に時間がかからない調達方法が最適です。また、開業直後や事業拡大を目指しているときなど、企業の成長段階によっても適切な資金調達方法は異なります。
自社を取り巻く状況を検討したうえで、最適な資金調達方法を選択しましょう。
中小企業の資金調達はファクタリングがおすすめ!

上記では、中小企業が選択できるさまざまな資金調達方法を紹介しましたが、なかでもおすすめなのはファクタリングです。ファクタリングは負債を抱えることなく、自社が保有する売掛債権を売却する形で現金化できます。
ファクタリングの審査で主に重視されるのは、取引先の信用度です。そのため、実績の少ない中小企業やスタートアップ企業でも、利用できます。
ファクタリングの場合、資金調達できる金額が、売掛金の範囲内に限られる点には注意が必要です。資金繰りや企業の経営に影響を与えない範囲で、資金調達を必要としている方にファクタリングはおすすめです。
一般的な金融機関の融資以外の資金調達方法をお探しの方は、ぜひファクタリングを検討してみてください。
まとめ
中小企業の資金調達が難しい理由と、その中でも資金が用意できる方法について詳しく解説しました。
中小企業は創業当時も成長時期も、時に苦しい場面を乗り越え、大事な決断を慣れないうちに下さなければいけません。資金不足で正しい判断が下せない状態にならないよう、資金調達の手段はある程度探って決めておきたいと、経営者なら誰でも思うところでしょう。
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【監修者】鈴木 孝明(すずき たかあき)
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税理士 [登録番号:142076]/すずき会計事務所 代表
20代で税理士試験に合格後、国内の税理士事務所に勤務。その後、独立し「すずき会計事務所」を開業。
中小企業・個人事業主様を中心に、税務・会計支援を行っており、ファクタリングを含む資金繰り支援に関する実務経験も豊富。 - すずき会計事務所のプロフィール

