2023-05-09
中小企業の資金調達が難しいのは何故?その理由や打開策を詳しく解説
「資金調達」とは、会社を運営する上で必要な資金を外部から借り入れるなどして調達することを指します。
中小企業の殆どは大企業と違って、慢性的な資金不足の状態であることが多く、ちょっとしたトラブルが起きただけで資金難に陥ってしまいます。
万が一の場合に対応できるだけの自己資金も乏しいため、資金調達を必要とする場面も多いのですが、中小企業ではなかなか難しいと言われています。
中小企業の資金調達が難しい理由と、その限られた中でどんな打開策があるのかを、詳しくご紹介します。
中小企業が資金調達を必要とするのはどんな時?
資金力が弱い傾向にある中小企業にとって、資金調達は会社経営において解決しなければならない最優先事項といえます。
中小企業にとって大きな課題ともいえる資金調達とは、どんなタイミングで必要なのでしょうか?
創業資金
2022年7月に発表された商工会議所による「創業・スタートアップ実態調査」によると、創業資金として一番多く調達されていたのは「自己資金」という結果が出ていました。
創業にかかった額は80%が1,000万円以下、そしてその約半数が100万~500万円、その額を自己資金で賄っている企業が7割を占めています。
会社設立のために準備するべき資金は平均約500万円と言われていますが、それを自己資金で確保できたとしても、事業を進めていく中でそれは減っていきます。
必要に迫られて融資先に借り入れを申し出ても、その限度額は自己資金の2~3倍程度と決まっていて、減少後の自己資金を基準に計算すると希望額に満たなかったり、決定から融資まで1~2ヶ月と時間がかかり手遅れになったりする可能性があります。
「資金に余裕があれば融資が受けられる」と考えると矛盾のような気がしますが、用意した自己資金が創業に相応しい額だったとしても、敢えて借りてでも+αの余裕を持つ必要がある処が、中小企業にとって資金調達が最優先事項である理由といえるでしょう。
運転資金
会社を立ち上げ経営していくということは、人が様々なものに使うお金を都合しながら生活するのと同じように、経営に必要な費用を調達するための資金繰りを行うことになります。
必要な経費や仕入れ、家賃、従業員に対する給与など、売上の回収が済まないうちにも、一旦買掛金や支払手形などで対応しなければならない支払いが多種多様にあります。
手元に利益が入ってくるまでの間を繋ぐための資金や、従業員に払う給料や家賃など、業績や稼高に関係なく出ていく経費を、運転資金として用意しておかなければいけません。
設備投資
生産性が向上する機械や車両の導入、安全や快適さを求めるための事業所の改修など、設備に投資することで業績が上がる可能性がある場合には、多少無理をしても資金を投入するべきとなるでしょう。
まとまった額が必要となる投資となるので、事前から計画的に資金調達の途をいくつか探っておく必要があります。
事業拡大
支店立ち上げ、新規事業など、経営の規模を拡大するタイミングでも大きな資金が必要となります。
合併や買収など、決断のタイミングを逃がせない場合や、規模拡大後の運転費用の準備など、フットワークの軽い資金調達がその後の経営を左右するでしょう。
中小企業の資金調達が難しい理由
中小企業が資金調達するとなると一般的に多いのが、銀行や金融機関などの第三者から借り入れる「デッドファイナンス」と呼ばれる方法です。
調達にかかる時間も比較的短く済み、実力のある企業であれば大きな額の借り入れも可能ですが、返済には利息が付く、信頼性が低い企業だとまとまった額が借りられない、すぐに始まる返済がその後の経営を圧迫する、使い道が限定されるなど、デメリットもあります。
それでも必要であれば資金調達の一つとして検討することになりますが、中小企業が資金調達で銀行を利用することは難しいとされています。
金融機関からも含め、どういった理由で中小企業の資金調達が難しいのかを見てみましょう。
担保がない
銀行や信用金庫など、金融機関からの借り入れとなると、担保となる不動産の所持が必要となりますが、中小企業では担保にできる不動産を持っていない傾向があります。
中小企業は担保になる不動産を所持していないことが多く、その点で銀行の融資が難しい点となっています。
最近では、不動産担保ではなく動産や売掛金担保を融資とする「ABL」を積極的に活用するよう促した金融庁からの発表が公開されていて、実際に導入している金融機関もあるので、こちらを確認して検討してみるのも一手です。
業種経験が少なく、信用性が低い
銀行が融資を決定する際に一番重要視しているのが「返済(完済)が可能かどうか」であり、経営者自身の信用性や、数年間にわたっての収支計画が明確かどうかを審査し、融資を判断します。
もしも自己資金や業務経験が少ない企業が銀行の融資を受けたい場合は、開業前に十分に実績を積んでおいたり、手持ちの資産を取り崩して自己資産額を引き上げるなどの対策をとる必要があります。
自己資金は都合が付きづらい
創業時に経営者の資金調達の方法として一番多く選択される自己資金ですが、創業時に用意できた額と同額程度を、成長初期にも用意できるのであれば効果的に投入できるでしょう。
しかし、創業初期の内部留保で蓄積した自己資金では、低コストで返済の必要もなく、使い道も自由とはいえ、速やかにまとまった額が用意できるわけではないので、対応能力に欠ける不安があります。
株式などを発行して資金を調達できる「エクイティファイナンス」も自己資金同様、返済不要で使い道を選べますが、企業の信用力次第では資金を集めにくく、集まったら集まったで自社株の割合が低下して企業方針などに影響を及ぼされるリスクが発生します。
資金繰りに自己資金を投入した結果厚みがなくなれば、融資時の信頼度に低い評価を受けてしまうなど、自己資金は扱いが多少難しい資金調達かもしれません。
選択肢が少ない
「資金調達といえば金融機関からの融資」と考えている所為で、他の選択肢が見えていない可能性も含め、選択肢が少ないことが中小企業の資金調達を難しくしている処があります。
資金調達方法は実はもっと幅広い選択肢があるので、検討の可能性も意外と広がっているのです。
他の資金調達方法に目を向けてみる
金融機関からの融資が難しい場合でも、他に選択可能な資金調達の方法や取れる対策がないわけではありません。
銀行からの融資以外にも視野を広げると、上述にもあるABLや株式発行の他にも、以下のような資金調達の方法に目を向けることができます。
自社の規模や経営方針、経営状況に合った資金調達を、メリットとデメリットをよく吟味して選びましょう。
資産売却
自社の持つ資産価値を換金することで資産調達することを「アセットファイナンス」といいます。
例えば不動産を売却する、売掛債権を譲渡するなどの調達方法は、銀行から融資を受けられない中小企業やベンチャー企業でも利用でき、まだ創業初期の企業で信用力が低い場合でも、資産価値を対象として検討してもらえるというメリットがあります。
しかし手続きにかかる費用が、銀行から融資を受けて返済する場合の金利を上回る可能性があるところがデメリットとなるので、銀行の融資が叶うならそちらを優先した方が無難でしょう。
公的融資制度・補助金・助成金
政府系金融機関にはいくつか種類がありますが、中小企業の資金調達で最も有利な条件で借り入れが可能と言われているのは、日本政策金融公庫です。
創業者や中小企業を支えるために設立されただけあって、日本政策金融公庫は自己資金の9倍まで借り入れることが可能な、無担保無保証の融資を取り扱っています。
他にも商工中央金庫では、商工会議所と信用保証協会が提携して創業から5年未満の法人や個人事業主の申し込みを受け、年利1%という低金利で融資を行っています。
指定された団体に加盟し会費を払うという条件がデメリットと感じて利用しない経営者もいますが、民間の金融機関と比べると破格の低金利が魅力です。
また、額はそこまで高くないですが、自治体によっては様々な補助金や助成金も多く紹介しているので、一度相談に行ってみると良いでしょう。
ノンバンクの事業者ローン・ビジネスローン
ノンバンクとは、預貯金の取り扱いをしていない、貸付業務を行っている金融会社のことで、信販会社やリース会社など、所謂貸金業がそれにあたります。
国民生活金融公庫が審査が終わるまで1ヶ月以上かかってしまうところを、ビジネスローンは約5~10日程度で融資が可能です。
しかし金利は高めなので、借り入れの際は返済計画をしっかりと立てる必要があります。
ファクタリング
ファクタリングは、売掛債権を譲渡して現金化する、上述した資産売却のうちのひとつですが、オンラインで申し込みが済ませられ、現金化がかなり早いのが特徴で、近年利用者が増えています。
売掛先に債権譲渡の情報が洩れることがないので、関係性が悪化することもなければ、審査基準も緩く、赤字や税金滞納があっても問題ありません。
しかし、売掛金が売掛先から支払われたら、分割払いなどができず速やかに支払わなければならない、売掛金以上の融資は受けられない、手数料が高めなど、デメリットもあります。
社債発行
企業が社債を発行すると、中長期の運転資金を投資家から直接資金調達できます。
企業にとっては負債の位置づけになりますが、返済については企業側がある程度自由に決めることができます。
社債発行時には特に何かを担保にするとは決まっていないため、中小企業では割と多く利用されている資金調達の手段です。
まとめ
中小企業の資金調達が難しい理由と、そんな中でも資金が用意できる方法について詳しく解説してみましたが、いかがでしたか?
こうしてみると、むしろ自社に合った資金調達方法を選べるのではないかと思うほど、様々な角度からの融資の道がありましたね。
中小企業は創業当時も成長時期も、時に苦しい場面を乗り越え、大事な決断を慣れないうちに下さなければいけません。
資金不足の所為で正しい判断が下せないようなことがないよう、資金調達の途はある程度探って決めておきたいと、経営者なら誰でも思うところでしょう。
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