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2024-12-20

📝源泉所得税を滞納するとどうなる?💰分納など対策についてもご紹介

今年ももうすぐ終わりということで本日は源泉徴収についてです!
会社で従業員を雇って給料を支払っている場合、従業員に代わり所得税を徴収して納付しなくてはなりません。

本来、従業員が確定申告して納めるべき所得税を、会社が代わりに源泉徴収して払う必要があります。
では、この源泉所得税を会社が納付せず、滞納したらどうなるのでしょうか。
滞納した場合やその対策について見ていきましょう。

■源泉徴収制度

個人事業主やフリーランスの場合、基本的に各自が確定申告をして所得税の納付を行っています。
これに対して、会社に勤務する人は、会社が毎月の給料の支払いやボーナスの支払時に所得税を源泉徴収して、代わりに納付することが義務付けられています。
そのため、毎月の税金の計算と納付をはじめ、年末には年末調整をしなくてはならず、その分事務負担も増えるので大変です。
事務負担が増えるだけでなく、支払いの負担も増えます。
従業員が支払う税金を給料から天引きするとはいえ、その資金がないと払うことができません。
現金が手元にないと払えないので、キャッシュフローによっては滞納のリスクを伴っています。
平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生ずる所得については、源泉徴収すべき所得税の額に2.1%の税率を乗じて計算した復興特別所得税も合わせて徴収したうえで、源泉所得税とあわせて納付しなければなりません。
源泉徴収した所得税と復興特別所得税は、給与を支払った月の翌月10日までに納付書を添えて国に納付することが必要です。
納付書には会社の住所や企業名、税務署から通知された整理番号などを記載したうえで納付を行います。
なお、税務署や金融機関の窓口で納付する方法のほか、キャッシュレス納付も可能です。
税務署や金融機関へ出向くことなく、e-Taxを通じて非対面で納付する方法です。
ただし、キャッシュレス納付をするには、事前にe-Taxで徴収高計算書データを作成・送信しなくてはなりません。
キャッシュレス納付といっても、インターネットバンキングやクレジットカード決済が必要となり、口座にお金がないと納付はできません。
給料の支払いは基本的に毎月生じるものです。
その翌月10日までなので、納期限までの余裕は極めて短く、毎月10日が負担になっている企業もあるかもしれません。

■源泉所得税の納期の特例

給与を支払う対象者が常時9人以下の小規模な企業については、源泉徴収した所得税および復興特別所得税の納期を毎月ではなく、7月と翌年1月の年2回にまとめられる特例が用意されています。
常時9人以下という要件のほか、一定の要件を満たした場合に認められますが、そのためには給与の支払事務を取り扱う事務所などの所在地を所轄する税務署長に対して、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出することが必要です。
毎月納めるのが面倒、事務負担が大きい、売掛取引が多く、キャッシュフロー的に毎月の資金ショートが予想されるといった場合には、源泉所得税の納期の特例を利用する方法もありです。

■納期限までに納付できない場合

翌月の10日、もしくは源泉所得税の納期の特例の承認を受け、7月と翌年1月の年2回の納期限までに納付ができないとどうなるのでしょうか。
納期限までに納付されないと、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて延滞税が自動的に課されてしまいます。
延滞税の割合は令和3年1月1日以後の場合、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは原則として年7.3%です。
ただし、特例により、令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は年2.5%、令和4年1月1日から令和6年12月31日までの期間は年2.4%となります。
納期限の翌日から2ヶ月を経過してしまうと、それ以降は原則として年14.6%と最初の2ヶ月間の倍の延滞税が課されるので注意が必要です。
なお、特例により、令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は年8.8%、令和4年1月1日から令和6年12月31日までの期間は年8.7%になります。
このように、延滞期間が長くなるほど延滞税額が増えていきます。
本来払わなくてはならない源泉所得税と復興特別所得税、さらに延滞税の支払いが発生するので、かなりの負担増です。
また、怖いのは源泉所得税は滞納中もどんどん増えていくということです。
仮に会社の経営が悪化しているとしても、倒産するのでない限り、従業員をすべてリストラすることはありません。
従業員一丸となって頑張って経営を建て直すのが基本です。
となると、毎月従業員への給料を支払うことになり、その資金繰りはもちろんのこと、毎月納付すべき源泉所得税が発生します。
つまり、一度滞納すると、雪だるま式に納付すべき源泉所得税と復興特別所得税、延滞税が増えていくので、支払いの負担はどんどん重くなる一方です。

■不納付加算税について

不納付加算税は源泉所得税を納期限までに納付しなかった場合に、延滞税とは別に課される税金です。
延滞税は罰金とは異なり、納期限までに納めなかったことで日々課される利息のような位置づけになります。
これに対して、不納付加算税は、源泉所得税を納付しなかったことに対するペナルティ的な位置づけです。
納付すべき所得税の10%が加算されますが、税務署から告知を受ける前に自主的に納付した場合には5%に軽減されます。
また、以下の事情がある場合には不納付加算税は免除されます。
納期限から1ヶ月以内に納付した場合で、かつ過去1年間に期限後納付がない場合、または不納付加算税の金額が5,000円未満の場合です。

■源泉所得税の滞納が起こるケース

不渡り手形

源泉所得税は、本来従業員が確定申告して納めるべき所得税を会社が代わりに納めるものです。
立て替え払いではなく、従業員に払う給与から天引きして納めることができます。
もっとも、資金繰りが厳しい場合、従業員の雇用を維持するために金融機関から融資などを受けながら給料を支払っているケースもあるかもれません。
天引きした源泉所得税を納付せずに、事務所や店舗の賃料の支払いに充てたい、光熱費や仕入代金の支払いに充てたいと考えてしまう会社もあるのではないでしょうか。
納付は義務であり、滞納すれば延滞税や不納付加算税も発生するので、それが得策でないことはわかるはずです。
それでも、事業を続けていくためには、賃料や光熱費、仕入代金など事業に直接関わる支払いのほうを優先させたくなるのもわからないではありません。
代金の支払いができずに取引を停止された場合や光熱費が支払えずに工場の操業ができなくなれば、事業が継続できなくなり、会社が倒産するリスクも発生します。
もっとも、目先の支払いを優先させることで、滞納した税金による倒産リスクも増大します。
それはどういうことなのか、以下で見ていきましょう。

■源泉所得税を滞納した場合

翌月の10日や源泉所得税の納期の特例により7月と翌年1月の納期限までに納付ができないと、税務署から督促状が送付されます。
督促状には、一定の期限までに納付するよう案内が記載されています。
督促状で指定された期日までに延滞税や不納付加算税も含めて納付できないと、銀行口座を差し押えられることや会社に徴税吏員がやってきて、財産の差押えなどの滞納処分を受けることがあるため注意が必要です。
徴税吏員がいきなりやってきて、財産に差押えの紙を張っていき押収していくといった、ドラマや映画のワンシーンのような光景が現実のものとなってしまいます。
差し押さえられるとその財産が使えなくなります。
銀行口座を差し押さえられれば、必要な仕入れ代金の支払いや賃料や光熱費などの支払いもできなくなり、事業継続も困難となるので注意しなくてはなりません。
融資の返済もできなくなるので、金融機関が一気に融資の回収に動くこともあります。
また、事務所や店舗、工場の設備や機械、オフィス家具などが差し押えられ、競売にかけられてしまえば、業務も行えなくなり、店舗も休業を余儀なくされ、工場も稼働できません。
製品の製造も出荷もできず、売上も上がらなくなります。
すでに納品を約束していた取引先への納品もできなくなり、信用も失われ、倒産まっしぐらとなります。
つまり、事業継続のためやむを得なしと、目先の資金繰りを優先して源泉所得税の納付を滞納したために、より深刻な事態を招き、倒産してしまうリスクもあるのです。
こうならないよう、滞納はできる限り避けるべきです。

■納付ができない場合の対応

資金繰りが悪化している場合や売上は上がっていても現金がないなど、キャッシュフローに問題がある時には、納期限を迎える前に税務署に相談しましょう。
国税を一時に納付することが困難な理由がある場合には、税務署に申請することで換価の猶予や納税の猶予が認められることがあります。
換価の猶予とは財産が差し押さえられて売却され、換価されてしまうのを猶予してもらう方法です。
これに対して、納税をする時期を猶予してもらう方法です。

・換価の猶予について

以下の5つの要件をすべて満たす場合、原則として1年以内の期間、換価の猶予が認められることがあります。
・国税を一時に納付すると、事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがあること。
・納税する誠実な意思が認められること。
・換価の猶予を受けようとする国税以外の国税を滞納していないこと。
・納付すべき国税の納期限から6ヶ月以内に換価猶予の申請書が提出されていること。
・猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供があること。
ただし、猶予を受ける金額が100万円以下である場合や猶予を受ける期間が3ヶ月以内である場合、担保として提供することができる種類の財産がない場合には担保の提供は必要ありません。

・納税の猶予について

一定の要件を満たす場合、原則として1年以内の期間に限り、納税の猶予が認められる場合があります。
まず、以下に定めるいずれかに該当する事実があることが必要です。
・財産が災害で被災した場合や盗難にあったこと。
・事業を廃業した場合や休業したこと。
・事業について著しい損失を受けたこと。
・これらに類する事実があったこと。
・本来の期限から1年以上経過してから、修正申告などにより納付すべき税額が確定したこと。
こうした事実に加えて、以下の3つの要件も満たさなくてはなりません。
・猶予該当事実にもとづき、納税者がその納付すべき国税を一時に納付することができないこと。
・納税猶予の申請書が提出されていること
・猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供があること。
ただし、猶予を受ける金額が100万円以下である場合や猶予を受ける期間が3ヶ月以内である場合、担保として提供することができる種類の財産がない場合には担保の提供は不要です。

・猶予期間と分納

猶予を受けることができる期間は最長1年です。
具体的な猶予期間は、申請者の財産や収支の状況に応じて、最も早く国税を完納できると認められる期間を個別に定められます。
なお、猶予期間内に完納することができないやむを得ない理由が認められる場合、当初の猶予期間が終了する前に所轄の税務署に申請することで、当初の猶予期間と合わせて最長2年以内の範囲で猶予期間の延長が認められることもあります。
猶予を受けた国税は、原則として猶予期間中の各月に分納しなくてはなりません。

■分納対策

換価の猶予や納税の猶予を受けても、猶予期間中に分納が必要となります。
そのため、猶予期間を乗り切るために、分納するための資金を準備しなくてはなりません。
資金繰りが厳しいのに分納しなくてはならないので、どのように資金調達するか悩むケースもあるかもしれません。
そうした時に売掛金があれば、ファクタリングを活用する方法もあります。
ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング業者に買い取ってもらうことで、支払期日が来る前に現金化できる方法です。
ファクタリング業者に手数料を払う必要はありますが、代金回収までに時間がかかり、分納する資金がない場合には便利です。

■まとめ

源泉所得税を滞納すると、延滞税や不納付加算税が課せられ、納付できずにいれば財産の差押えを受け、換価されてしまいます。
事業の継続も困難となりますので、滞納は避けるべきです。
納付が難しい場合には、税務署に換価の猶予や納税の猶予を申請し、分納する方法を採るのがおすすめです。
分納資金を準備するためにファクタリングを活用することもできます。