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2022-12-12

売掛金が年度をまたいだ場合の仕訳方法とは?マイナスになる原因や計上ズレを防止する方法を解説

売掛金の仕訳方法は少し複雑で、年度をまたぐ際の処理方法には専門的な知識が必要です。正しく処理しなければ、会計ミスや税務処理が正しく行われないなどの事態を起こす恐れがあります。

そこで今回は、売掛金が年度をまたぐケースにおいて、正しい仕訳方法を解説します。売掛金がマイナスになる原因と対処方法、計上ズレを防止する方法も解説するので、会計処理に不安のある人はぜひ参考にしてみてください。

正しい知識を備えておけば「会計処理にコア業務が圧迫される」「税務申告で指摘を受ける」などのリスクも抑えられるでしょう。

売掛金が年度をまたいだ場合の仕訳処理

売掛金 年度をまたぐ

次に、売掛金が年度をまたいだ場合の仕訳処理を解説します。

今回は、取引先の事業に必要な商品を3月に10万円分納品し、翌月である4月に入金が行われた場合を例に見ていきましょう。

商品の納品を行う3月には、以下のような仕訳処理を行います。

【3月の仕訳処理】
借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
売掛金 10万円 売上 10万円

3月に販売した分の入金が行われた際は、以下のような仕訳を行います。

【4月の仕訳処理】
借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
普通預金 10万円 売掛金 10万円

3月、4月ともに勘定科目の欄と金額の欄には、通常通りの科目と金額を記入します。

通常、締日以降に生じる売上は、翌月分の売上として処理します。しかし、年度をまたぐ場合は、今年度の売上・利益として処理しなければ、正しい税務申告が行えません。追加納税のリスクを抑えられるよう、年度をまたぐ売掛金の処理には、十分注意する必要があります。

また、売掛金が会計年度をまたぐ際は、二重計上を防ぐ振替処理も忘れないよう注意しましょう。翌年度(4月)に入金された売掛金は、勘定残高を減少させます。その後、普通・当座預金として振替処理を行うことで、お金の流れを正しく把握できます。

計上ミスを減らすには、通常の仕訳処理・特殊な仕訳処理の違いを理解し、ケースに応じて正しく対処できるよう準備することが大切です。

売掛金が年度をまたぐケース

「売掛金が年度とまたぐ」とは、年度末に購入された商品・サービスの売上が、翌年度以降に入金されるケースを指します。売上を計上するタイミングは、原則として納品・検収時です。

翌年度に入金されるとしても、今年度中に処理しなければ、正しく税務処理できません。売上が翌年度に入金される状況であっても、会計処理上は売掛金として扱うようにしましょう。

そもそも売掛金とは

売掛金 年度をまたぐ

売掛金とは、商品やサービスを売却後、将来的にお金を受け取る権利(売掛債権)です。通常の取引では、商品やサービスの販売・提供をした際、同時に代金の支払いが行われます。

しかし、一度にまとめて商品を納品したり、複数回にわたって取引を行ったりする場合、代金の支払いはその都度ではなく、後日まとめて支払いを行う場合があります。この取引の方法を掛け取引といい、代金の支払い日を決めて、後から支払う仕組みが売掛金です。

基本的な仕訳処理の流れ

基本的な仕訳処理の流れは、次のとおりです。

<仕訳処理の流れ>

  1. 売掛金発生
  2. 売掛金入金
  3. 売掛金消込み
  4. 残高チェック

商品やサービスを販売した際に売掛金が発生するため、帳簿には売上の計上を行います。

次に、掛け取引にて決めていた支払い期限までに、取引先からの入金が行われます。入金日、取引先、商品名、入金金額などを細かくチェックし、請求内容と照らし合わせつつ確認しましょう。

売掛金の入金がされたら、次に消込みの作業を行います。入金され次第、借方にあった売掛金を貸方に仕訳して消去します

売掛金の消込みが終わると、取引自体はいったん終了です。ただし、取引が終了するごとに、売掛金の残高をチェックしてください。間違いが1つでもあると、確認作業の手間がかかるため、定期的なチェックは欠かせません

売掛金が年度をまたいだ場合に注意したい特殊処理

売掛金 年度をまたぐ

売掛金の処理方法は状況によってさまざまで、年度をまたいだ場合以外でも、特殊な仕訳をしなければいけないケースが存在します。

以下では、取引先がクレジットカードで決済をした場合など、売掛金の特殊な仕訳処理の具体例を解説します。

クレジットカード決済をした場合

取引先がクレジットカードにて決済を行い、20万円の売上に対して手数料5千円だった場合、売上から手数料を差し引いた19万5千円が口座へ振り込まれます。

このように、クレジットカードクレジットカード決済が行われた場合は、支払い手数料を計上します。仕訳の具体例は、以下のとおりです。

【売上が計上されたときの仕訳】
借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
売掛金 20万円 売上高 20万円

売上が計上された際の仕訳は、通常の仕訳と同じです。

【入金されたときの仕訳】
借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
普通預金 19万5千円 売掛金 20万円
支払い手数料 5千円

入金があった時の仕分けは上記のように、支払い手数料をわかりやすく明記する必要があります。

上記のように、借方科目に入力するのではなく、摘要欄に支払い手数料を明記しましょう。

分割で支払いがあった場合

売掛金の一部のみが支払われた場合は、金額と支払い回数をわかりやすく記載します。

具体例として、10万円の売掛金のうち2万円が支払われ、1/5回目の支払いだった場合の仕訳を見ていきましょう。

【分割で支払いがあったときの仕訳】
借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
普通預金 2万円 売掛金 2万円

分割で支払いが行われた場合、上記のように摘要欄に何分割の何回目なのか、を記載しておくと良いでしょう。

売掛金の値引きを行った場合

売掛金の一部を値引きした場合は、売上値引として処理します。以下は、5万円の商品を販売し、1万円を値引きした際の具体例です。

【売掛金の値引きを行ったときの仕訳】
借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
普通預金 4万円 売掛金 5万円
売上値引 1万円

入金前に商品の返品があった場合

売掛金が入金される前に商品の返品があった場合、売掛金から返品分の代金を差し引いて計上します。10万円の商品のうち、3万円分の返品があった場合の仕訳は、以下のとおりです。

【入金前に商品の返品があったときの仕訳】
借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
売上高 3万円 売掛金 3万円

売掛金がマイナスになる原因と対処法

ここでは、実際に回収予定の売掛金と、帳簿上の売掛金がズレてしまう(帳簿上の売掛金がマイナスになってしまう)原因を6つ紹介します。

<原因と対処法>

また、それぞれの原因に対する対処方法も併せて解説します。

原因1:会計ミス

売掛金がマイナスになる場合、まずは以下の会計ミスを疑いましょう。

<会計ミスのケース>

  • 会計処理の計算や入力のミス
  • 消費税の端数処理が誤っている
  • 税込処理と税抜処理が混同している
  • 数字の桁が間違っている

差額が数円から数十円の場合、消費税の端数処理を間違えている可能性があります。請求書作成時に、正しく処理がなされているのかを確認してください。

そして、このような会計ミスがあった場合には、ズレの分だけ帳簿上で追加の調整を行いましょう。

原因2:売上の計上漏れ

売上の計上漏れにより、売掛金がマイナスになるケースは次のとおりです。

<計上漏れのケース>

  • 帳簿の入力を後回しにして、売掛金の入金のみ計上する
  • 前受金の計上後、売上の計上を忘れてしまう

このように、計上漏れがあった場合は、帳簿に記入すべき勘定科目をきちんと計上しましょう。なお、計上にあたっての日付は、計上漏れに気付いたタイミングではなく、本来計上が行われるべきであった日を記入してください。

原因3:記帳ミス

記帳ミスの具体例は、次のとおりです。

<記帳ミスのケース>

  • 別の勘定科目で計上している
  • 貸方と借方を逆にして記載している

仕訳処理に誤りがないか、通帳残高と帳簿を比べて、ミスや漏れの有無を確認しましょう。

また、このようなミスが発覚した場合、誤って計上された勘定科目を取り消すよう反対仕訳を行い、正しい勘定科目として仕訳しなおしましょう。

原因4:他の用途の金銭とまとめて入金されている(回収漏れ)

ほかのミスが見つからない場合、まとめ入金による回収漏れも疑われます。たとえば、立て替え金の取引と売掛金の取引を、すべて売掛金の回収として計上した場合、売掛金はマイナスです。

具体例を用いて解説します。

【納品】
日付 借方 貸方 摘要
×月×日 立て替え金 5万円 普通預金 5万円 立て替え(A社)
○月○日 売掛金 10万円 売上 10万円 ○月分売上(A社
【入金】
日付 借方 貸方 摘要
□月□日 普通預金 15万円 売掛金 15万円 入金(A社)

売上は10万円である一方、立替金を含めると入金額は15万円になります。この15万円をすべて「売掛金の回収」として処理すると、売掛金を5万円余分に回収したことになり、帳票上は売掛金がマイナスとなってしまいます。

マイナスを出さないよう、納品時の内訳も確認しつつ、誤差がないかチェックしましょう。

原因5:過入金の発生

過入金が発生した場合、入金時の売掛金にマイナスが生じます。過入金の具体例を見ていきましょう。

【納品時の仕訳】
日付 借方 貸方 摘要
×月×日 売掛金 10万円 売上 10万円 売上(A社)
【入金時の仕訳】
日付 借方 貸方 摘要
□月□日 普通預金 25万円 売掛金 25万円 入金(A社)

上記の場合、売掛金10万円に対し、25万円の入金があったため、帳票上は15万円のマイナスです。売掛金の支払い期日には、請求書に記載された額面よりも入金額が多くないか、確認しましょう。

過入金を確認できた場合、支払い超過分を返金するか、次回の取引の際に超過分をもって相殺するか、2通りの方法で対処ができます。

原因6:前受金の計上ミス

前受金は借方に現金預金、貸方に前受金として仕訳し、売上が発生したタイミングで、前受金勘定を反対仕訳で消去します。しかし、誤って借方に現金預金、貸方に売掛金といった処理をすると、売掛金勘定がマイナスとして計上されます。

30万円のうち、10万円を前受金として受け取るケースを例に、マイナスとなる流れを見ていきましょう。

【前受金の入金時の仕訳】
日付 借方 貸方 摘要
○月○日 普通預金 10万円 売掛金 10万円 入金(A社の前受金)
【納品時の仕訳】
日付 借方 貸方 摘要
×月×日 売掛金 30万円 売上 30万円 売上(A社)

本来は、入金10万円を前受金として処理し、納品時に「前受金の取り崩し→売掛金の計上」と進める必要があります。しかし、入金10万円を売掛金の回収として処理してしまうと、その時点で売掛金残高が−10万円となり、帳票上に不自然なマイナスが発生します。

売上を計上するまでに時間を要する場合や、決算月をまたぐ場合には、売掛金がマイナスにならないよう前受金の勘定科目で処理しましょう。誤った処理があった場合には、反対仕訳などで適切な処理を行ってください。

売掛金の計上ズレを防止するための管理方法

売掛金がマイナスになってしまう原因と対処法を紹介してきましたが、最も理想的な状態は売掛金のマイナスが生じないように原因となる行動を起こさないことです。そのためには日頃の会計における管理体制の見直しが重要となります。

ここでは、売掛金の計上ズレを防止するための管理方法について解説します。

顧客情報を一本化する

顧客情報の一本化により、売掛金のズレを防止できます。たとえば、部署・部門ごとに顧客情報を個別管理していた場合、管理情報に誤差が生じ、会計作業のミスにつながる恐れもあります。

顧客情報は社内で一本化し、情報のズレが起きないよう、管理できる体制を作らなければなりません。情報の一本化を図るには、顧客IDの割り当てが適切でしょう。

共通の顧客IDを用いることで、取引部署が違った場合でも、与信管理の手続きをスムーズに進めやすくなります。

顧客ごとに締日を管理する

掛取引では、月末を締日に設定することが一般的ですが、企業によっては20日や15日を締日にするケースもあります。月半ばを締日としている場合、締日以降に取引が発生した際に、翌月の請求で漏れが生じるかもしれません。

このようなリスクを軽減するには、顧客の締日に応じた管理を行いましょう。顧客ごとの管理にしておけば、会計処理における混乱を防ぎやすくなります。

会計システムを活用する

これまで紹介した管理方法を実践するにあたっては、エクセルなどの会計ソフトを活用しましょう。

エクセルであれば、必要とする情報をすぐに得られるシステムを独自に構築できます。該当する取引先企業の帳簿情報を抽出するといった作業も可能で、売掛金の管理が楽になるでしょう。

より効率的な会計処理を希望する場合は、会計ソフトの導入を検討してみてください。製品によっては、売掛金と入金のマッチング機能を搭載したものもあります。わざわざ確認する手間が省けるとともに、金額のズレも迅速に修正できます。

会計ソフトの機能を活かしながら、エクセルで補完するといった柔軟な管理体制を築きしょう。

売掛金取引にはファクタリングがおすすめ!

売掛金 年度をまたぐ

売掛金取引を行う際は、年度をまたぐ場合や月をまたぐ場合など、掛け取引特有のタイムラグがあるため回収までに時間を要します。

また、掛け取引の際は、売掛金の回収が重要となり、常に未回収のリスクに備えておかなければなりません

ここからは、売掛金の未回収のリスク対策としておすすめのファクタリングについて解説します。

ファクタリングとは

ファクタリングとは、ここ数年で人気を集めている比較的新しいサービスで、売掛債権を売却することによって、早期に資金を調達できる画期的なサービスです。

掛け取引で発生する売掛債権をファクタリング会社へ売却することにより、その売掛債権の金額に応じた金額の現金が、利用者の口座へ振り込まれます。

売掛債権を売却しているため、取引先の支払いは基本的にファクタリング会社へ支払われる形になるので、利用者にとっては取引の手間も省くことにつながります。

ファクタリングがおすすめの理由

掛け取引にファクタリングがおすすめの理由としては、主に2つ挙げられます。

<ファクタリングがおすすめの理由>

  • スピーディーな資金調達
  • 未回収のリスクがなくなる

ファクタリングの資金調達スピードは、最短数時間、遅くても1週間以内です。銀行による融資や借入に比べると、倍以上のスピードで資金調達できるため「資金繰りが苦しい」「新規事業で資金が必要」などのケースにおすすめです。

また、ファクタリングには、償還請求権なしのノンリコース契約があります。ノンリコース契約とは、万が一取引先が倒産などを理由に、売掛金の支払いが困難になった場合でも、利用者へ売掛金の請求をしない仕組みです。

ノンリコース契約を利用することで、売掛金の未回収のリスクにも備えられます

まとめ

売掛金の仕訳処理が年度をまたいだ場合、通例とは異なる処理方法を理解しなければ「計上漏れ」「回収漏れ」などのミスにつながります。「売掛金がマイナスになる原因と対処法」で解説した原因と対処方法を頭に入れ、社内の状況を適切に反映・把握できるよう努めましょう。

また、売掛金取引におけるリスクヘッジを計画する際は、ぜひファクタリングの利用も検討してみてください。

『QuQuMo』は「オンライン完結型の手続き」「資金調達まで最短2時間」など、コア業務に支障をきたさず資金調達できる仕組みが整っています。

さらに、QuQuMoは、償還請求権のないノンリコース契約のため、万が一取引先が倒産しても、利用者に請求がくることは一切ありません。QuQuMoのファクタリングについて気になる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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  • 【監修者】鈴木 孝明(すずき たかあき)

  • 税理士 [登録番号:142076]/すずき会計事務所 代表

    20代で税理士試験に合格後、国内の税理士事務所に勤務。その後、独立し「すずき会計事務所」を開業。
    中小企業・個人事業主様を中心に、税務・会計支援を行っており、ファクタリングを含む資金繰り支援に関する実務経験も豊富。

  • すずき会計事務所のプロフィール