2022-12-12
売掛金が回収不能の場合はどうする?6つの対処法や仕訳方法、事前に防ぐための対策を解説

多くの企業では、日常的に請求書や領収書を発行して、掛取引を成立させています。しかし、売掛金を回収できないと、企業は一方的に不利益を被ることになるでしょう。
売掛金が回収不能の場合、貸倒損失の計上が必要なケースと、雑損失で計上するケースがあります。正確な会計処理を行うためには、売掛金に対する正しい知識を身に付けることが欠かせません。
本記事では、売掛金が回収不能になった場合の処理方法や、売掛金に関する問題に的確な対応をとるためのヒントを解説します。ぜひ最後までご覧ください。
売掛金が回収できない3つの原因

売掛金が回収できない主な原因は、以下の3つです。
<売掛金が回収できない主な原因>
それぞれを具体的に見ていきましょう。
ミスによる支払いの遅延
支払い日になっても入金されない場合は、まず取引先のミスが疑われます。入金されない原因のほとんどは、人為的なミスによる書類の不備や入金忘れです。この場合は、電話やメールで取引先に連絡をすれば、解決するケースが多いです。
支払いをする能力がない
取引先に連絡をしても返信が来ない場合は、支払いをする能力がない可能性を想定しましょう。取引先が倒産して、貸倒れになってしまうケースもあります。このようなリスクを防ぐためには、取引先の経営状況を把握しておくなどの事前の対策が欠かせません。
請求内容に納得していない
取引先の企業が請求内容に納得していないことから、入金を行っていないケースもあります。このような場合、訴訟の可能性も視野に入れて対応をする必要があります。
しかし、法的な手続きに移る前に、取引先が売掛金を入金しない理由を明確にしなければなりません。まずは、取引先に直接確認をしたり、弁護士に相談をしたりなどして、次の対応を決めるようにしましょう。
売掛金が回収できない場合の6つの対処法

売掛金が回収できない場合の対処法には、以下6つが挙げられます。
<売掛金が回収できない場合の対処法>
それぞれを具体的に見ていきましょう。
売掛金の放棄による損金処理を行う
売掛金の権利を放棄すれば、貸倒損失として損金処理ができます。損金処理を行うと、売掛金を課税対象から除外でき、税負担の軽減が可能です。
損金処理を行う際は、債権放棄通知書を作成し、取引先に通知する必要があります。通知の際は、書面に記名押印をし、内容証明で送付しましょう。
交渉をする
取引先に、買掛金との相殺や分割払いの提案などの交渉をすることも、一つの手です。交渉は、取引先との関係を悪化させずに、売掛金を回収するための良い方法です。
取引先の望む方法で支払いをしてもらうことで、売掛金を回収できる可能性が高まります。いずれの状況の場合でも、まずは交渉による売掛金の回収を試みることがおすすめです。
内容証明郵便の送付
内容証明郵便とは、文書の証明を行うための郵便書類です。内容証明郵便を取引先に送付すれば、法的処置に移る際に書類の証明ができます。
取引先に心理的なプレッシャーを与え、売掛金の入金を促す効果にも期待できます。
商品の引き上げ
取引先に自社の商品を販売している場合は、商品を引き上げる方法もあります。取引先の保有している商品を回収すれば、売掛金の代金の相殺が可能です。
ただし、取引先の商品を回収する場合には、必ず相手方の確認をとりましょう。合法的な手段で回収をしなければ、取引先に訴えられる可能性もあるので、注意が必要です。
公的融資を利用する
売掛金の支払いが行われず、資金繰りに困る場合には、公的融資を活用するのも一つの手です。「取引企業倒産対応資金(セーフティネット貸付)」という公的融資は、取引先からの売掛金を回収できない企業に特化しています。
取引企業倒産対応資金の規定条件に該当する企業は、最大で1億5000万円の融資が受けられます。規定条件は以下のとおりです。
<規定条件>
- 倒産した企業に対して50万円以上の売掛金債権などを有する方
- 倒産した企業に対する取引依存度が20%以上である方
- 倒産した企業に対して貸付金や差入保証金などの債権を有する方
- 倒産した企業の債務を保証している方
- 倒産した企業の設置する商業施設に入居している方であって、倒産の影響を受けている方または影響を受けるおそれのある方
- 倒産した企業から受注した商品や役務などが、倒産の影響により取り消された方
取引企業倒産対応資金の融資を受けることにより、一時的な資金不足による会社の不利益を軽減できます。
法的対処
いずれの手段を用いても、売掛金を回収できなかった場合には、法的対処をすることを視野に入れましょう。
法的対処の第一歩は、内容証明郵便を送付することです。通知をしても支払いが行われなかった場合は、裁判所に銀行口座や不動産などを一時的に凍結する仮差押を申し出ます。
次に、支払督促・民事訴訟などの裁判の準備を始めます。裁判により、確定判決や和解調書などの債務名義を取得したら、相手の財産を差し押さえる強制執行が可能です。
売掛債権には時効が存在します。5年を過ぎると、種類に関わらずすべての売掛金を回収できなくなります。そのため、期限内に売掛債権を請求するのがおすすめです。
売掛金が回収不能になった場合の仕訳方法

売掛金が回収不能になった場合、基本的には「貸倒損失」として経理処理を行います。貸倒損失とは、売掛金を含む法人の金銭債権において、以下の3つの場合に損金として経費計上することを示します。
<貸倒損失として計上するケース>
ただし、貸倒損失を計上するためには、一適用条件を満たすことが必要です。適用条件を満たしていない場合は、貸倒損失ではなく、雑損失として計上します。
法律上の貸倒れ
裁判所の決定で債権が消滅した場合には、法律上の貸倒れとして貸倒損失を計上できます。売掛金1,000万円が法律上消滅した場合の仕訳例は、以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 |
| 貸倒損失10,000,000円 | 売掛金10,000,000円 |
事実上の貸倒れ
取引先の経営悪化や事業停止によって、売掛金が事実上回収不能になったことが明白な場合は、事実上の貸倒れにあたります。売掛金1,000万円が事実上消滅した場合の仕訳例は、以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 |
| 貸倒損失10,000,000円 | 売掛金10,000,000円 |
形式上の貸倒れ
取引先との取引が停止してから、1年以上経過しても売掛金の支払いがない場合は、形式上の貸倒れにあたります。一定期間の取引停止後に弁済がない売掛金1,000万円に対し、備忘価格10円を残して貸倒処理する場合の仕訳例は、以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 |
| 貸倒損失9,999,990円 | 売掛金9,999,990円 |
売掛金の回収不能を防ぐための対策

ここでは、売掛金が回収不能になるリスクを防ぐための対処法を紹介します。
取引先の信用調査をしっかりと行う
まずは、取引先の信用調査をしっかりと行い、信頼性や支払い能力を把握することが大切です。信用調査の方法には、以下が挙げられます。
<信用調査の方法>
- 社内調査
- 直接調査
- 外部調査
- 依頼調査
取引先が登録している業界団体や、同業他社からの情報を収集すれば、実績や評判を調べられます。過去に取引先が起こしたトラブルや問題点、支払い遅延の有無などの調査も、重要な情報となり得ます。
取引先の財務諸表や企業情報を分析し、万が一取引先が破産した場合のリスク分析を行うことも重要です。
売掛金の管理を日頃から徹底する
売掛金には時効が存在し、時効が過ぎると請求ができなくなります。そのため、経理担当者が、企業ごとの売掛金の支払いの可否を一括で管理することが重要です。
売掛金を入金していない企業があることが判明したら、早急に行動を起こす必要があります。日頃から売掛金の入金期日を意識しておくことは、未回収リスクを減らすために欠かせません。
新規顧客との取引に制限をかける
取引を開始したばかりの企業とは、信用関係が構築されるまで、取引に制限をかけることもリスク対策として有効です。例えば、取引開始から1年未満の企業は、月あたりの取引金額上限を設けるなどの制限を定められます。
一定期間取引を続ければ、リスクの高い取引先は排除されて、両者の信頼関係のもとに掛取引ができるようになります。
売掛保証に加入する
取引先が支払い不能に陥った場合に備えて、未回収の売掛金を補償してもらうサービスに加入する方法もあります。
信用保証会社や保険会社が提供している売掛保証は、事前の加入手続きが必要です。保証の対象となる売掛金額や条件、手数料などは保証会社によって異なるため、事前に確認しましょう。
ファクタリングを利用する
ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に売却して、現金を入手する資金調達方法です。多くの企業がファクタリングを利用しており、近年は銀行融資よりも人気がある資金調達方法として確立しています。
一部のファクタリング会社では、完全オンライン完結型のファクタリングサービスもあるうえ、手続きも早急に完結できます。
ただし、ファクタリングを利用する際は、手数料が発生する点に注意が必要です。また、信用力がない企業の売掛債権を提出した場合、手数料が割高になったり、審査に落ちてしまったりする点にも注意する必要があります。
売掛金の回収不能リスクを避けたいならファクタリングがおすすめ

売掛金の回収不能リスクを避けたいなら、入金日を待たずに売掛金を現金化できるファクタリングがおすすめです。
ファクタリング契約後は、ファクタリング会社が売掛金の回収業務を行います。万一、取引先が売掛金を入金しない場合でも、利用企業に返済義務が問われることはありません。
資金調達に急いでいる方や、売掛金の回収不能リスクを心配している方は、ぜひファクタリングの利用を検討してみてください。
まとめ
本記事では、売掛金が回収不能になった際の各種対応や、未回収リスクを減らすための方法について紹介しました。
売掛金が回収不能になった場合は、会計業務も困難になるうえに、会社の手続きなどが増えてしまいます。経理担当者は、売掛金が回収不能になるリスクを少しでも減らすことが大切です。仮に、売掛金の入金が遅れている場合は、最初から法的手続きをするのではなく、段階的な請求をしましょう。
ファクタリングサービス『QuQuMo』は、完全にオンライン上で手続きが完結するうえに、手数料が安価である点が特徴です。売掛金の未回収リスク対策を探している経理担当の方は、QuQuMoのご利用を検討してみてください。
-
【監修者】鈴木 孝明(すずき たかあき)
-
税理士 [登録番号:142076]/すずき会計事務所 代表
20代で税理士試験に合格後、国内の税理士事務所に勤務。その後、独立し「すずき会計事務所」を開業。
中小企業・個人事業主様を中心に、税務・会計支援を行っており、ファクタリングを含む資金繰り支援に関する実務経験も豊富。 - すずき会計事務所のプロフィール

