2023-05-25
売掛金の増加はキャッシュフローにどう影響する?買掛金との関係も紹介
キャッシュフローは、企業が実際に得た収入や支出など、内外からのお金の流れを表します。
掛取引は企業の営業活動に欠かせないものですが、売掛金は計上されたタイミングではまだ現金になっていませんので、売掛金が増えすぎるとこのキャッシュフローが悪化するおそれがあるのです。
企業の財務状況を把握するためには、キャッシュフロー計算書を作成して現金の状況をしっかりと確認することが必要です。
キャッシュフロー計算書には、企業の業務活動、投資活動、財務活動に関する現金の流れが詳細に記載されており、経営判断に役立ちます。
本記事では、掛取引によって起こる、利益計上と現金の流れの間に生じる差異について説明しています。
経営判断や投資判断の基礎となる情報でもありますので、財務報告書の理解を深めるお手伝いになれば幸いです。
売掛金の増加はキャッシュフローに悪影響
売掛金が増えると、提供した商品やサービスに対する支払いが遅れ、現金が回収できるまでに時間がかかるため、キャッシュフローに悪い影響が出ます。
つまり、売掛金が増えると企業が必要とする現金が確保できなくなり、支払いや投資、成長などの重要な活動に支障が出る可能性があるのです。
売掛金が増加する理由3つ
売掛金が増加する理由はいくつか考えられますが、主なものとして、以下の3つが挙げられます。
- 入金までの期間が長い
- 現金決済が少ない
- 売掛金の回収がうまくいっていない
入金までの期間が長い
売上があったにもかかわらず、入金までに時間がかかると売掛金が増加します。
売掛金が増えると資金繰りが悪化し、現金不足に陥ってしまうのです。
現金決済が少ない
現金での決済は、商品やサービスを提供した時点で現金が入ってくるため、現金決済が少ない場合は売掛金によるキャッシュフローの悪化につながります。
売掛金の回収がうまくいっていない
売掛金の回収が遅れると、商品やサービスを提供したにもかかわらずお金が入ってこない期間が長くなってしまうことから、キャッシュフローに悪影響を与えます。
買掛金の増加はよいことか
それでは、売掛金と対となる買掛金との関係はどうかというと、買掛金の増加はキャッシュフローの面で企業の資金繰りを助ける役割を果たします。
企業が支払い期日までに商品やサービスの売上をあげて現金を手元に残し、それを運用して回転させることができるようになるためです。
ただし、当然ながら将来的に支払わなければならない債務であるため、支払いが不可能になるほどの増加は望ましくありません。
さらに、買掛金が増えすぎることで仕入先との信頼関係が損なわれる可能性もあるため、適切な管理が必要です。
キャッシュフロー計算書とは
キャッシュフローの管理には、一般的に「キャッシュフロー計算書」が使われます。
キャッシュフロー計算書により、事業活動で現金が生み出せているか、現金不足の原因は何かを把握することは、事業を継続する上で非常に重要なポイントです。
キャッシュフロー計算書は、一定期間の現金の流れを表す財務諸表です。
「営業活動」、「投資活動」、「財務活動」の3つの項目に分けて現金の増減を示しており、利益と現金の流れの差異を把握することができます。
掛取引の場合、利益があったとしても現金が増えているわけではないため、どのような活動によって現金が増減したのかを詳細に確認することが可能です。
〈営業活動によるキャッシュフロー〉:本業の儲けに関連するお金
「営業活動によるキャッシュフロー」は、企業が実際に事業を行っていく中で、どれだけの現金を生み出したかを表す指標です。
この項目には、商品の販売や仕入れ、人件費、販売費用、一般管理費などが含まれます。
企業の本業である営業活動によって生み出されたものであるため、通常はプラスの値になることが望ましいものです。
営業活動によるキャッシュフローがマイナスになってしまうと、企業の経営状態が健全ではないことを示しています。
そのため、原因を特定して、早急に対策を講じる必要があります。
〈投資活動によるキャッシュフロー〉:事業投資などに関連するお金
「投資活動によるキャッシュフロー」は、設備投資や固定資産の売買といった投資活動によって発生する現金の動きを表します。
キャッシュフロー計算書ではお金が減少することはマイナスとなるため、積極的に設備投資をすれば投資キャッシュフローはマイナスとなり、固定資産や有価証券などを売却すると現金が入ってくるためプラスとなります。
〈財務活動によるキャッシュフロー〉:資金調達に関連するお金
「財務活動によるキャッシュフロー」は、金融機関からの借入金や社債の発行により調達した資金、またはその資金返済など、企業が行う財務活動によって発生する現金の増減を表しています。
この項目では、借入金を得ることは現金が増えるためプラス、返済をすることは現金が減るためマイナスとなります。
この項目については、プラス・マイナスどちらが望ましいということはなく、企業の状況により異なります。
例えば、急激な成長を目指す企業は、資金調達のために借入金を増やし投資に充てることがありますし、一方で、経営安定化が重要視される企業は返済に力を入れることもあります。
キャッシュフローを改善する3つの方法
キャッシュフローが圧迫されると、企業は事業拡大やプロモーションなどの投資に必要な資金を調達できなくなるおそれがあります。
また、原材料の仕入れや従業員への給与支払いなど、日常業務にも支障をきたしてしまうことになります。
そこで、キャッシュフローを改善するためには、現金の流入を増やす方法を模索すると同時に、経費削減や業務改善によるコストダウンなど、現金の流出を減らすことも必要です。
基本的な考え方としては、回収はできる限り早く、支払いはできる限り遅くすることで手元に現金が残るようにすることが重要です。
ここでは、キャッシュフローを改善するためにできる方法を3つ紹介します。
- 売掛金の回収期間を短くする
- 在庫の回転率を上げる
- 買掛金の支払い期間を長くする
売掛金の回収期間を短くする
売掛金が増加すると、商品自体は売れているが、現金の回収までに時間がかかるという状況になります。
売掛金の回収期間は、取引先ごとに決まっていることが多いため簡単には変更できませんが、取引先と交渉して契約を見直してもらうことも、キャッシュフロー改善には有効な手段です。
また、請求書の発行や督促などを迅速に行い、確実に回収する姿勢を取引先に理解してもらうことが大切です。
加えて、クレジット管理の見直しや、信用情報機関の利用など、リスク管理を徹底することも必要になるでしょう。
在庫の回転率を上げる
在庫の回転率を上げて在庫を減らすこともキャッシュフローの改善につながります。
ただし、機会損失を避けるためには適切な在庫を保持しなければならないため、在庫をゼロにするわけにはいかないでしょう。
適切な在庫水準を決定するためには、業種や商品の特性、需要予測などを考慮して在庫回転率を計算することが大切です。
また、在庫の管理にはリスクが伴うため、適切な在庫管理システムを導入して、在庫リスクを軽減することも大切です。
適正な在庫管理を行うことで、在庫を効率的に管理することができ、キャッシュフローを改善することができます。
なお、参考までに、在庫回転率は以下のように求めます。
在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫金額 |
売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期仕入高 – 期末商品棚卸高 |
平均在庫金額 = (期首在庫高 + 期末在庫高) ÷ 2 |
買掛金の支払い期間を長くする
買掛金は売掛金とは対照的に、支払い期間が長いほど企業が現金を保持する期間も長くなります。
もちろん買掛金の支払期間も取引先との合意に基づいているため、簡単に変更できるわけではありません。
しかしながら、企業のキャッシュフローの状況によっては、取引先と交渉して支払期間を延ばすことも必要となるかもしれません。
その際には、長期的な取引関係を損なうことなく、支払い期間を延ばすことが重要です。
例えば、締め日を超えてからの仕入れにするだけでも、支払い期日を1ヶ月延ばすことができます。
仕入れの状況や締め日のタイミング、請求のタイミングなどを再度確認し、支払い期間を延ばす方法がないかを検討してみることをお勧めします。
まとめ
キャッシュフローが滞ってしまうと諸所の支払いができなくなってしまい、ひいては利益が出ているのにもかかわらず倒産してしまう恐れもあります。
収入と支出のバランスや時期をしっかりと把握するとともに、悪化した場合は即座に改善に乗り出すようにしてください。
キャッシュフロー計算書を作成して原因の特定をし、支出と収入の見直しを行い、どうしてもお金が回らない場合にはファクタリングで早期現金化を図るのも1つの手段でしょう。
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