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2023-07-31

資本金を増やすメリットやデメリットは?増やす方法や仕組みも解説

資本金を増やすメリット

事業の拡大や財務状況を改善するためには多額の資金が必要となり、資金がない会社は取引先や金融機関からの信用度も下がってしまいます。

そうならないための対策の一つが、資本金を増やすことです。

資本金を増やすことで資金調達ができて、さらに会社の信用度を高めることもできます。しかし、資本金を増やすことはメリットばかりではないため、デメリットとのバランスを考える必要もあります。資本金がもたらす会社への効果や影響も正しく理解しましょう。

本コラムでは、資本金を増やすメリットやデメリットをはじめ、方法や仕組みなどを紹介していきます。

資本金とは

資本金を増やすメリット

資本金とは、事業を始めるにあたって事業主が集めた運転資金のことです。資本金が大きい会社ほど、事業に使えるお金が多くなるため資金繰りも安定しやすくなります。

かつては、会社を設立するために「株式会社は1,000万円以上」、「有限会社は300万円以上」の資本金が必要でしたが、2006年に行われた法改正によって現在では1円の資本金でも会社の設立ができるようになっています。

少ない資本金で会社の設立ができるようになったからと言って、資本金を低く設定し過ぎてしまうと会社としての信頼を損ねることになります。また、資本金の大小は金融機関から融資を受けたい場合や、取引先からの評価にも関わる要素です。

実際、会社の公式サイトで資本金を公開している会社も多く、会社を評価する基準の一つとなっています。

資本金を増やすメリット

資本金を増やすメリット

資金調達や会社の信頼度を高めるためには、資本金を増やすことをおすすめします。ここでは、資本金を増やすメリットを紹介します。

資金調達ができる

資本金を増やすことで資金調達ができるため、新規事業や設備投資にお金をかけることができます。資本金には定められている用途がないため、会社の運転資金として温存しておくことや急な出費が必要になったときにも使えます。

資本金を増やすことは、経営の安定や新規事業の展開で検討したい方法です。

会社の信用度が上がる

資本金を増やすことは、会社の信用度を上げることにつながります。なぜなら、外部の人が見たときに、資本金が多いほど会社の財務状況が安定していると判断するためです。

事業を広げるためには、金融機関からの融資や新しい取引先の開拓が必要となります。これらを行う際には資本金が記載されている会社の決算書を提示することになるため、資本金が多いと資金的に余裕があると判断されます。

資金的に余裕があると倒産するリスクが小さく、金融機関や取引先からの信頼も得やすいです。そのため、会社の信用度を上げることを目的に資本金を増やすパターンもあります。

返済の義務がなく金利もかからない

資本金を増やすメリットは、調達した資金の返済義務がなく金利もかからないことです。金融機関からお金を借りる場合は金利を加えた返済が必要となり、返済期間もあらかじめ決められています。

その点、資本金は負債ではないため返済不要です。例えば、株式を新しく発行して集めた資金で資本金を増やしたとします。このケースだと、資金を借りたわけではないため返済の義務はありません。

資本金を増やすデメリット

資本金を増やすメリット

資本金を増やすことはメリットばかりではありません。ここでは、資本金を増やすデメリットを解説します。

税金が増える可能性がある

資本金を増やすことによって、税金負担が大きくなる可能性があります。

例えば、設立して間もない会社が資本金を1,000万円にすると消費税が必要となるため、税金負担を増やさないためには1,000万円を超えないように注意が必要です。他にも、都道府県民税や市町村税の均等割は資本金に応じて高くなるため、資本金を増やすと納める税金も多くなります。

また、資本金が1億円を超えると法人税率が15%から23.2%に上がります。しかし、1億円を超えると大企業と見なされて会社の信頼度は高くなるメリットもあるため、税金が増えるデメリットと会社の信頼度が上がるメリットのバランスから、資本金を増やすかどうかの判断が必要です。

資本金を増やす場合は、「税金負担がどれくらい大きくなるのか」も確認しておきましょう。

資本金を増やすためにはコストがかかる

資本金を増やすと、法務局での登記事項変更手続きが必要となるためコストがかかります。具体的なコストは、法務局に納める登録免許税と手続きを代行して行う司法書士への報酬などです。

支払いが必要となる登録免許税は、増やした資本金が429万円までなら3万円、それ以上の場合は増やした資本金の0.7%がかかります。例えば、資本金を1,000万円増やすと7万円の登録免許税が必要です。司法書士への報酬も数万円が相場となっています。

これらのコストは資本金を増やすたびにかかります。そのため、資本金を増やす場合はこまめに行うよりも、一気にまとめて行う方がコストを減らせます。

配当金が増える

資本金を増やすことで配当金が増えるため、長期的に見ると支払う金額が大きくなる可能性があります。

増やした資本金に対する返済義務はありませんが、利益が出た際には株主に対して還元しなければなりません。資本金を増やす過程で株主が増えた場合は、それだけ配当金の支払いも多くなります。

配当金を支払わないままでいると、株主から株式の売却を求められるケースもあるため注意しましょう。

資本金を増やす方法

資本金を増やすメリット

資本金を増やす方法には、「有償増資」と「無償増資」の2種類があります。ここでは、それぞれの方法について詳しく解説します。

有償増資とは

有償増資とは、株式を発行することで対価として資金を受け取り資本金を増やす方法です。種類として、第三者割当増資や株主割当増資、公募増資などがあります。

第三者割当増資

第三者割当増資とは、特定の第三者に対して株式を発行して資金を調達する方法です。一般的には、取引先や金融機関、自社の役員など身近な人に出資してもらうケースが多いことから縁故募集とも呼ばれています。

第三者割当増資のメリットは、会社側で出資者を指定することで計画的に資本金を増やせることです。大まかな流れは、下記のようになります。

  1. 新株主募集の条件を決める
  2. 募集条件を決定する
  3. 募集事項の通知を行う
  4. 出資者から株式の申込を受ける
  5. 株主の割当について決議する
  6. 新株主から出資を受ける
  7. 登記変更の手続きを行う

上場企業の場合は、経営再建や割当先との関係強化の目的で行われるケースもあります。

株主割当増資

株主割当増資は、新株を発行して資本金を増やす方法で、自社を除く既存の株主に対して、持ち株数の割り当てを受ける権利を与えます。スムーズな手続きで新株が発行できるように、株式の持ち分に応じて割り当てるのが特徴です。

既存の株主に対してのみ出資を募るため、株主構成の比率が変わらないメリットがあります。大まかな流れは、下記のようになります。

  1. 募集株式の内容を決める
  2. 募集株式と株主総会の通知を行う
  3. 株主から出資の申込をする
  4. 株主からの出資を受ける
  5. 登記変更の手続きを行う

割り当てられた株主はすべての新株を購入する必要がないため、株主構成の比率が変わらなくても、株主に対して均等に割り当てることができない注意点もあります。

公募増資

公募増資は、不特定かつ多数の投資家に新しい株式を売却して資本金を増やす方法で、株主層を拡大して株式を分散することで株式市場の流通を広める効果もあります。払込金額は時価より下がるのが一般的ですが、総会を開いて特別決議で承認されると時価より有利な価格にすることも可能です。

公募増資は、下記のような流れで行います。

  1. 増資に関する決議をする
  2. 有価証券届出書を作成して提出する
  3. 公募条件を決定して公表する
  4. 株主からの出資を受ける
  5. 登記変更の手続きを行う

公募増資は発行株式が増えるため、配当金を減らさないと支払いが増えるデメリットがあります。

無償増資とは

無償増資とは新株を発行せずに増資を行う方法のことで、過去の利益を資本金に振り替えることで資金を増やします。現金の準備や出資する投資家を見つけなくても、効率よく資本金を増やせるメリットがあります。

無償増資は、下記のような流れで行います。

  1. 株主総会で利益の振替について決議を取る
  2. 利益から資本金に振り替える
  3. 登記変更手続きを行う

このケースだと、利益剰余金を資本金に回すだけとなるため資金の流入はありません。

また、資本余剰金がある場合は資本金に組み入れて金額を増やすことができます。このケースについても資金の流入はありませんが、資本金を増やすことで会社の信頼性を高められるメリットがあります。

まとめ

資本金を増やすことで事業に使える資金が増えることや会社の信頼性が高まるメリットがありますが、方法によっては配当金や税金の負担が増えるデメリットもあります。また、株主を発行して資金を増やすためには株主総会の開催や手続きも必要です。

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資本金を増やすことも大切ですが、それ以上に目先の事業見直しや資金繰りの改善を行うことが重要です。QuQuMoのファクタリングについて気になるという方は、お気軽にお問い合わせください。