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2023-07-31

電子手形のメリットとデメリットとは?ファクタリングとの違いも解説

電子 手形 デメリット

電子手形はファクタリングと同じように債権譲渡ができるサービスで、紙の手形のデメリットを解消するために生まれました。個人事業主や中小企業における資金調達の一つで、銀行融資やビジネスローンと違い、債権を売却することによって現金を得られます。

しかし、利用においては手数料や維持コストが想定外にかかるなどのデメリットがあります。資金調達で失敗しないためには、電子手形のデメリットやファクタリングとの違いを正しく理解することが大切です。

本コラムでは、電子手形の仕組みやメリット、デメリットをはじめ、ファクタリングとの違いを紹介しています。

電子手形とは

電子 手形 デメリット

電子手形は手形決済ができるサービスのことで、「でんさい」と呼ばれることもあります。ここでは、電子手形について詳しく解説します。

電子手形は決済サービス

電子手形とは紙の手形に替わる新しい支払方法として2009年11月に始まったサービスで、政府が施行した「電子記録債権法」に基づいた決済方法です。電子手形「でんさい」と呼ばれることもあります。

電子手形を取り扱っている金融機関と契約した取引者は、他の取引者や金融機関との間で信用取引や決済取引などができる仕組みです。オンラインで完結できるため、手形現物の保管や郵送、取立などの事務が不要となります。

電子手形と紙の手形の違い

電子手形と紙の手形の違いは現物があるかどうかで、現物の手形を管理する必要がある紙の手形に対し、電子手形は実物がなくオンラインでの管理となります。紙の手形を管理しやすくするためのサービスであるため、根本的な仕組みは同じです。

ただし、電子手形は現物のやりとりがないことから印紙税がかかりません。他にも、保管する必要がないことや現物の受け渡しが不要となるため、紙の手形に比べると利便性は高いです。

電子手形の仕組み

電子手形は、電子記録債権の登記所の役割を担っている電子債権記録機関を通じて利用する必要があります。電子債権記録機関では、電子記録債権法に基づいて業務を行っており、電子手形のやりとりをした記録ややりとりを保管しています。

支払企業が電子手形を振り出すまでの大まかな流れは下記の通りです。

  1. 電子手形の発生依頼を請求事務代行会社に行う
  2. 電子記録債権の発生が電子債権記録機関によって確定する
  3. 代行会社から支払企業と納入企業に通知される

このように、電子手形では間に代行会社が入るため企業間同士で連絡を取り合う必要はありません。

期日決済の場合は、期日になると納入企業の指定口座に資金が自動で振り込まれます。一方、期日前に資金化したい場合は、納入企業から代行業者に対して期日前資金化の依頼が必要です。

電子手形のメリット

電子 手形 デメリット

紙の手形から電子手形に移行している企業は多くあります。ここでは、電子手形のメリットを解説します。

紛失や盗難のリスクがない

電子手形はデータとして記録されているため、紙の手形のように紛失や盗難に遭うリスクがありません。また、ペーパーレスの手形であるため管理にかかる手間もありません。

紙の手形は紛失や盗難の可能性があり、第三者に渡ってしまうと手形上の権利を失います。

また、どれだけ厳重に管理していても災害や火事などで紛失や消失する可能性があるため、万が一に備えるためには電子手形の方がメリットは大きいです。

コストを抑えられる

紙の手形を利用する場合は印紙税や輸送費などのコストがかかりますが、電子手形はこれらのコストを抑えられます。

印紙税とは、課税文書を作成した際に発生する税金のことです。電子契約を行うことは課税文書の作成に該当しないため、電子手形だと印紙税はかかりません。また、電子手形の場合は、手形のやりとりをオンラインで行うため輸送費も発生しません。

また、手形の紛失や盗難に備えるための保険や管理するために必要となる金庫の購入にかかるコストも削減できます。紙の手形に比べてコストを大幅に削減できることは、電子手形の大きなメリットと言えるでしょう。

分割して譲渡ができる

電子手形は、1,000円以上・1円単位で小口分割ができることからスムーズな決済が実現できます。紙の手形は電子手形のように小口分割ができません。

また、分割ができる電子手形では、一部を割引して資金調達に回し、残りはそのまま保管しておくことや一部を譲渡するなどの使い方ができます。使い勝手がいいことから、中小企業の資金繰りに活用されることが多いのも特徴です。

電子手形のデメリット

電子 手形 デメリット

電子手形を利用する場合はデメリットも知っておきましょう。ここでは、電子手形のデメリットを紹介します。

手数料がかかる

電子手形のデメリットは手数料がかかることです。印紙税や輸送費などはかかりませんが、発生記録や譲渡記録を行う際に手数料が発生します。

手数料は受付銀行が定めており、1回あたりの手数料は220円~880円ほどです。手数料の負担は電子譲渡債権を譲渡する側にかかります。取引が多い場合は手数料の負担が大きくなるため、取引銀行に確認しておきましょう。

導入・維持コストがかかる

電子手形を利用するためにはサービスを利用するための環境が必要で、具体的にはパソコンやインターネットなどです。電子手形のシステムそのものは難しくありませんが、パソコンを普段から使用していない中小企業にとってはシステム導入や維持にコストがかかります。

そもそも手形を使用する機会が少ない場合や、他に資金繰りを調整する方法がある場合は電子手形を利用する必要性は高くありません。

取引先も電子手形を利用している必要がある

電子手形のやりとりは電子債権記録機関を通じて行われるため、債権者と債務者がそれぞれ電子手形を利用している必要があります。一方が利用していない場合は、電子手形による取引はできません。

また電子手形を使えるのは一定の要件を満たす法人や個人事業主となり、消費者としての個人は利用できません。そのため、取引先に開業届けを提出していない個人が含まれている場合は電子手形が使えないため注意しましょう。

電子手形とファクタリングの違い

電子 手形 デメリット

電子手形と似ているサービスにファクタリングがあります。ここでは、電子手形とファクタリングの違いを解説します。

そもそもファクタリングとは?

ファクタリングとはファクタリング会社に売掛債権を売って現金化することで、売掛金を早期に現金化して資金繰りの改善や事業に使用する資金を確保できるサービスです。

ファクタリング会社は売掛債権を買い取る際に発生する手数料を利益としており、簡単な手続きで売掛金の早期現金化ができるメリットがあります。

取り扱う債権の違い

手形や売掛債権を電子化してオンライン上で取引できるようにした金融債権が電子手形、売掛金の資金化や回収を保証するためのサービスがファクタリングです。電子債権は新しくできたシステム上で売買できる債権ですが、売掛債権は昔から給与や売掛金に使われてきました。

ファクタリングが対象としている売掛金は、取引先が期日までに支払うか保証されていません。確実に売掛金を現金化したい場合や期日よりも早く現金化したい場合に、ファクタリングを活用します。

リスクの違い

電子手形は取引先が倒産するとお金が回収できないシステムであるのに対し、ファクタリングは取引先が倒産しても貸し倒れすることはありません。なぜなら、ファクタリングは売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらって現金化するサービスであり、取引が成立した時点で売掛金の責任はファクタリング会社が負うためです。

保証を受けられるという点で、電子手形に比べるとファクタリングの方がリスクは小さいと言えます。

審査の違い

電子手形とファクタリングでは審査の内容が異なります。電子手形は債権や利用者の信用などが審査対象であるのに対し、売掛金を買い取るファクタリングでは売掛先の信用性が審査対象です。

電子手形のサービスを提供しているのは主に銀行であるため、資金の貸付時のように利用者の与信審査を行います。一方、ファクタリングを提供しているのはファクタリング会社であり、売掛金を回収するサービスであることから利用者よりも売掛先の信用性を重視します。

そのため、利用者が赤字や債務超過で銀行から融資を受けられない状態でもファクタリングなら資金調達が可能です。

取引先に知られる可能性

電子手形を利用すると電子記録として残るため取引先に知られますが、ファクタリングは電子記録が残らないため取引先に知られることはありません。

売掛債権を譲渡した場合、取引先が知ると「資金繰りが悪化している」、「資金に余裕がない」などのネガティブなイメージを与える可能性があります。取引先に売掛金の早期売却を知られたくない場合はファクタリングがおすすめです。

まとめ

本コラムでは、電子手形の特徴やメリット、デメリットをはじめ、ファクタリングとの違いについても詳しく解説しました。

電子手形は取引先が倒産した場合に保証を受けられませんが、ファクタリングは取引先から売掛金を回収できなくてもファクタリング会社が保証してくれるメリットがあります。また、取引先に売掛債権の売却が知られたくない場合にもファクタリングがおすすめです。

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