2024-02-09
ファクタリングの審査が緩い理由
ファクタリングは銀行融資やカードローンといった借り入れに比べて審査が緩いと言われています。
審査が緩いなら使ってみたいと思う方もいるかもしれません。
また、銀行融資の審査に落ちて資金調達ができず、お困りの方もいることでしょう。
そこで今回は、ファクタリングは本当に審査が緩いのか、なぜ審査が緩いのか解説します。
■ファクタリングの仕組み
ファクタリングとは、売掛金や受取手形など支払期日が未到来の売掛債権をファクタリング業者に買い取ってもらい、即座に現金化できる資金調達の方法です。
掛売取引は企業間や事業者でおこなわれることが多い取引の形態で、代金の支払いが後払いになるものです。
BtoBの取引では1回の代金額が高額になったり、定期的な取引や継続的な取引がおこなわれたりすることが少なくありません。
そのため、1か月分をまとめて翌月払にしたり、納品後、入金は3か月後といった取り決めをしたりして取引されることが多く見られます。
こうした代金債権のことを「売掛債権」と呼んでいます。
売掛債権は約束した支払期日が来て初めて行使でき、支払期日前に請求して代金を受け取ることはできません。
商品を製造して販売したり、サービスや工事などを提供したりしている売主側は、すでに原材料などを仕入れ、人件費などのコストをかけたうえで納品をしています。
代金が入るまでに多くのコストをかけているので、代金を受け取るまでの間に資金繰りが悪化したり、運転資金が足りなくなったりすることも少なくありません。
一方、取引相手が商品を受け取ったり、サービスの提供を受けたりしておきながら、将来、確実に支払ってくれるかの不安も生じます。
そんなときにファクタリングを使うと、ファクタリング業者が期日未到来の売掛債権を買い取り、手数料などを控除して現金化してくれます。
支払期日を待つよりは手取り金額は減りますが、当面の運転資金を確保したり、取引先の未払いリスクを回避したりする手段として有効です。
■ファクタリングは銀行融資に比べて審査が緩い理由
運転資金が足りないのであれば、銀行融資を利用することも考えられます。
とはいえ、銀行融資の審査に通らないとお悩みの方や、事業計画書を作成したり与信担当者と面談したり、事務所や工場に訪問を受けるのが面倒と感じる方も多いのではないでしょうか。
ファクタリングは銀行融資に比べて審査が緩いのが一般的です。
ファクタリングを利用したい事業者が赤字経営であっても、売掛債権の買取をしてもらえるケースが多いです。
銀行融資の場合、貸し付けたお金に利息をつけて、それを融資を受けた事業者が返済していかなくてはなりません。
そのため、事業者の返済能力が重要な審査ポイントになります。
返済能力が低い赤字業者では、審査に通らないのが一般的です。
これに対して、ファクタリングは利用者ではなく、その取引先が将来、売掛債権の支払いができるかが問題になります。
利用者が資金力や信用力が落ちていたり、経営が悪化したりしていても、取引先に支払える能力があるなら、買い取っても代金回収が可能です。
また、銀行融資の場合、事業拡大や設備投資のための資金など、より高額な資金の融資を希望されるケースも多いです。
融資金を使って事業をおこない、成功させて確実に返済してもらえるよう、将来の事業計画を細かくチェックされたり、事業の現状や人材の状態などまで審査されたりします。
これに対してファクタリングでは、業者が買い取るのは売掛債権の範囲に限定されます。
高額になることもありますが、手数料率などでリスク調整が可能です。
支払期日までのスパンも数か月程度と、長期貸付になりやすい銀行融資に比べてリスクが抑えやすいです。
長期になるほど、支払い能力の変動リスクが高まるので、ファクタリングはリスクが小さく抑えられます。
こうした理由から、銀行融資に比べて審査が緩いのです。
銀行融資の場合、融資の条件として保証人を立てることや、担保物件の提供を求められることがあります。
この場合、保証人の信用力についても審査がおこなわれ、担保物件については担保価値の調査がおこなわれることになり、より手続きの期間が長くなります。
場合によっては保証人の信用力が小さいとして保証人を複数要求されたり、連帯保証を求められたり、担保物件の価値が低いと融資額を減らされたりすることも少なくありません。
ファクタリングでは、利用者に対して保証人や担保物件を求めることもなく、審査手続きはスピーディーに進みます。
売掛債権という担保があるようなものなので、さらに保証人や担保物件は必要ないからです。
■ファクタリングはビジネスカードローンに比べて審査が緩い
銀行融資の審査に通りにくい零細企業やベンチャー企業、個人事業主などの場合、貸金業者が提供しているビジネスカードローンを利用している方もいるかもしれません。
ビジネスカードローンは一般的に銀行融資に比べると審査が緩いものの、融資額が低めで、金利が高いのがネックです。
さらに法人の場合は、代表者個人が連帯保証人となることを求められることも少なくありません。
もし、会社経営に失敗し、ビジネスカードローンの返済ができなくなれば、代表者個人の財産で返済しなくてはなりません。
場合によっては、マイホームを売却したり、自己破産をしたりするような事態にもなり、リスクは高いです。
これに対してファクタリングは、即現金化できるのは、売掛債権の範囲に限定されるものの、高い利息を払いながら返済する必要はありません。
ファクタリング利用者が返済するのではなく、取引先が売掛債権の支払いができるかが問題なので、保証人や担保物件などを要求されることもありません。
ビジネスカードローンは一般的にスピーディーな審査がウリですが、ファクタリングもスピーディーな審査で、すぐに現金の振込が受けられます。
■ファクタリングの審査が緩い理由は
ここまで、銀行融資やビジネスカードローンと比べてファクタリングが審査緩い理由や違いを見てきました。
ここからは、あらためてファクタリングの審査が緩い理由をチェックしていきましょう。
・利用者の審査が緩い
ファクタリングは売掛債権の支払いをおこなう取引先が、支払期日に払ってくれるかどうかが大きな問題なので、売掛債権を持っている利用者の審査が緩いのが基本です。
ファクタリング業者ごとに定めている、利用者の条件に合致しているかを形式的にチェックされます。
売掛債権を買い取るにあたり、最低限の信用を備えているかチェックされるくらいです。
法人か個人事業主か、創業からどのくらい経過しているのか、どのような業種でどんな商品やサービスを提供しているのか、掛売取引はどのくらいやっているのかなどです。
まだ創業したばかりで、いきなり高額な掛売をしていたりすると、計画性やリスクの対応力があるのか不安視され、利用できないこともあるかもしれません。
しかし、取引先が名の知れた大手で資金力があるところなら、問題なく利用できる場合もあります。
・取引先が対象だから
ファクタリングでもっとも重要なのは、支払期日に取引先が売掛債権の支払いができるかです。
ファクタリングには大きく2つの種類があります。
二者間ファクタリングの場合、ファクタリング業者とファクタリング利用者だけで契約がおこなわれ、取引先は無関係です。
ファクタリング利用者は現金を受け取った後、実際に支払期日がきたら、取引先から代金を回収してファクタリング業者に返済します。
二者間の契約内容によっては、ファクタリング利用者に未回収となるリスクを負担させられるため、より審査に通過しやすく、スピーディーに現金化してもらえます。
これに対して三者間ファクタリングは、取引先もファクタリングの承諾をおこない、支払期日が到来すると、直接ファクタリング業者が取引先に代金回収を実施する方法です。
ファクタリング利用者は代金未回収のリスクから解放されるメリットがあり、ファクタリング業者にとっては、取引先の支払い能力が重要ポイントになります。
・掛売取引をしている時点で信用力があるから
売掛債権を有していることは、売主も買主を信用したうえで掛売取引をしているはずです。
たとえば、初めての取引の場合は、現金一括払いなどにし、問題なく支払ってもらえ、お互いに信頼関係が築けた時点で掛売に移行する場合が多いです。
最初から掛売の場合は、取引額に上限が設けられるなど、少額から始めていくケースが多いでしょう。
つまり、売掛債権は当事者間で、後払いでも支払ってくれるという信頼関係がすでに築かれているのが一般的なため、ファクタリング業者としても、取引先を厳しく審査しなくてもよく、スピーディーな審査が可能です。
・掛売の実績が確認できるから
掛売取引をおこなっている場合、これまでの支払い実績を確認可能です。
ファクタリング利用者から入金明細の提出を受ければ、売掛債権の支払手である取引先が、これまで確実に売掛金の支払いをしてきたかが確認できます。
後払いの代金を支払期日どおりに支払ってきた実績がわかれば、安心して売掛債権の買取ができます。
銀行融資やビジネスカードローンに初めて申しこむようなケースは、申込者者の信用力調査にも時間がかかり、審査時間も長くなるのが一般的です。
これに対してファクタリングでは、掛売取引の実績を容易に確認できるので、審査時間も短く、スピーディーに現金を支払ってもらえます。
・売掛債権の範囲に限定されるから
銀行融資は事業拡大のための融資など、企業規模や事業計画などに合わせ高額にのぼることもあります。
また、銀行融資やビジネスカードローンの場合、利息がつき、借りた金額より多額の資金を返済しなくてはなりません。
ビジネスカードローンは長期に利用するほど、利息もどんどんかさんでいきます。
これに対して、ファクタリングでは業者や利用者が現金化したり、未回収リスクを負担したりするのは、売掛債権の範囲に限定されます。
もちろん、高額となる場合もありますが、利息の上乗せはありません。
ファクタリング業者は買い取る売掛債権の下限や上限を設定している場合が多く、自社の資金力などに合わせてリスクヘッジもしているので、よりスムーズな審査と買取が可能です。
■まとめ
ファクタリングは銀行融資やビジネスカードローンに比べて審査が緩いのが特徴です。
銀行融資の審査に落ちた方でも、ファクタリングはできる場合が少なくありません。
その理由は、ファクタリングの場合、利用者ではなく、売掛債権の支払いをおこなう取引先の信用力が問題となるからです。
金額の範囲も、売掛債権という金額の範囲に限定され利息がつかない点も、銀行融資やビジネスカードローンとの違いです。
掛売取引ができている時点で一定の信用力があり、かつ、過去の支払い実績が確認できれば信用力は高まります。
そのため、ファクタリング利用者の信用力が低かったとしても、取引先が支払える状況なら買い取ってもらえます。
保証人や担保物件も必要ありません。
その意味でも審査が緩く、スピーディーに売掛債権の買取・現金化が可能です。