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2024-03-29

税金滞納とファクタリングについて

資金繰りが悪化し、税金滞納するほど経営状態が悪くなった場合、どのようにして切り抜ければい良いのでしょうか。
この記事では、税金滞納を回避するためのファクタリング活用術や税金滞納中にファクタリングが利用できるかなどを解説していきます。
現在、税金滞納リスクがある事業者をはじめ、なんらかの事情で税金を滞納することが起きた場合に備えて、ファクタリングの可能性について知識を得ておくと安心できます。

■税金滞納するとどうなるか

税金にはさまざまな種類があります。
法人であれば、法人税や事業税、消費税、固定資産税など、個人事業主であれば、所得税や地方税、消費税、固定資産税などがあります。
どの税金でも納税期日までに納税しないと滞納となり、延滞税などを付して納税しなくてはなりません。
滞納期間が長くなったり、滞納額が多いと徴税吏員が直接訪れて督促を受けたり、税金が支払える金銭や財産がないか調査され、最終的には財産の差し押さえがなされ、競売にかけられてしまうリスクもあります。
税金滞納中は、国や地方公共団体など公的機関からの補助金や助成金を受けることもできません。
税金を滞納していないことや税金を払っていることが条件になっているためです。
また、銀行や貸金業者などによる民間融資についても、税金の滞納があると審査が通りません。
国民の義務である税金すら支払えていない状況で融資をしても、返済されないことが目に見えているためです。
中には、税金を払うことに大きな抵抗感を抱いており、資金がある場合や融資金への返済はしても税金を払わない事業者もあります。
いずれにしても、税金を滞納していると信頼できる事業者とはみなされず、かつ延滞税も含めた多額の税金を支払わなくてはならない負担を抱えているので、融資を受けるのも難しいです。
税金を滞納していると周囲に知られると、取引先からも取引を停止されるリスクもあります。
税金すら払えないのであれば、取引先に対する支払いも滞るリスクがあるためです。
最悪の場合、税金が支払えず、差し押さえに遭う場合や事業を運営するのに必要な設備や機械なども競売にかけられ、事業がストップするおそれもあります。
倒産や廃業に追い込まれるリスクも抱えており、取引先としては、不良債権化する前に取引関係から離脱したいと考えるのが一般的です。

■税金滞納を回避するためのファクタリング活用

税金を滞納すると助成金や補助金が受けられない、銀行融資や貸金業者からの融資も得られない、取引先からも取引を切られる、製造や事業運営に必要な設備や機械、備品などを差し押さえられ競売にかけられるなど、良いことはありません。
税金を払うように督促状が来るだけでなく、徴税吏員が事業所に訪れることや差し押さえのために大挙して訪れるなど、職場環境も悪化します。
税金を滞納しているだけなら周囲にすぐにバレることありませんが、滞納期間が長引き、徴税吏員などが訪れるようになれば、周囲にわかってしまい、取引先からも取引を切られるリスクが高まるので注意しなくてはなりません。
そのため、税金を払えないほど資金繰りが悪化するおそれがある場合や資金ショートを起こしている場合には早めの対策が不可欠です。
もっとも、税金が払えないおそれがある時点で、すでに銀行や貸金業者の融資を申し込んでも審査に通らない可能性が高くなります。
このようなケースでも、資金調達の可能性があるのがファクタリングです。
ファクタリングは売掛債権があれば、資金繰りが悪化していても利用できる可能性が残されています。

■資金繰りが悪化していてもファクタリングが利用できる可能性

ファクタリング 勘定科目

ファクタリングは、事業者が有している取引先に対する売掛債権をファクタリング業者が買い取ることで、資金を融通してもらう方法です。
そのため、支払期日が到来していない売掛債権を有していれば、自社の経営状態が悪化していても、売掛先に信用がある限り、ファクタリングできる可能性があります。
この点、ファクタリングには大きく分けて2つの方法があります。
1つは2社間ファクタリングで、利用者とファクタリング業者のみで契約を締結し、売掛先を巻き込むことなく行う方法です。
審査に通るとファクタリング業者から手数料を控除した金額が振り込まれます。
支払期日が到来したら、売掛先から代金の支払いを受け、ファクタリング業者に送金することが必要になります。
これに対して、3社間ファクタリングの場合は、売掛先の承諾を得たうえで、3社間で契約を行うことが必要です。
この場合、支払期日が来たら、売掛先は本来の取引相手ではなく、債権譲渡を受けたファクタリング業者に直接支払いをします。
このため、税金滞納をするかもしれないほど資金繰りが悪化している場合、2社間ファクタリングよりも3社間ファクタリングのほうが、ファクタリング業者にとっては損失を被るリスクを小さくできます。
なぜなら、2社間ファクタリングでは、利用者が支払期日までに倒産してしまうと代金回収ができなくなりますが、3社間ファクタリングなら、利用者が倒産しても売掛先が倒産しなければ、代金回収ができるためです。

■3社間ファクタリングと2社間ファクタリングの利用可能性

税金滞納のリスクが高まっている場合に、仕組みとしては3社間ファクタリングのほうが利用可能性があります。
もっとも、3社間ファクタリングを提供しているファクタリング業者は、都市銀行系列の事業者など大手が多いです。
そのため、いかに売掛先の信用力が高くても、税金滞納リスクのある事業者は審査が通らない可能性があります。
これに対して、2社間ファクタリングのみを提供しているようなファクタリング業者は、税金滞納リスクがある事業者でも利用できるほど審査が緩いケースも少なくありません。
その代わりとして、不良債権化のリスクが高いほど、手数料が高く設定されます。
ファクタリングによる資金融通時に、売掛代金から手数料が差し引かれるため、手取り金額が少なくなる可能性が高いため注意が必要です。
ファクタリングを通じて納税資金を準備しようとしている場合には、手数料を多く取られても納税資金が準備できるかよく検討しましょう。
一般的に、税金は一括納付が原則です。
そのため、納税資金に満たないといくら資金を用立てても納税できないおそれがあります。
手数料が高くて手取り資金が少なくなり、納税資金に間に合わない可能性がある場合、ファクタリングを利用する前に税務署に相談するのがベストです。
税務署は税金を取り立てるだけの組織ではなく、相談すれば、どうすれば納税できるかアドバイスをくれることや分割納税などの提案をしてくれることもあるためです。

■税金滞納中のファクタリングの注意点

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税金を滞納してしまうと、当然ながら助成金や補助金も受けられず、銀行融資や貸金業者からの融資も得られず、資金繰りにより困ることになります。
税金滞納して徴税吏員などが頻繁に督促に訪れるようになると、周囲にも知られてしまい、取引先からも敬遠されて売上が上がらくなるおそれもあります。
特にBtoB取引の場合、継続的な取引を行う場合や多額の取引が行われるケースが多いので、取引先は税金滞納や資金繰りの悪化に敏感に反応するので気を付けましょう。
BtoCの取引であれば、すぐには売上に影響することはありません。
ただし、税金滞納が長期化した場合や滞納額が大きくなり、財産の差し押さえを受けてしまうと売上が上がらなくなるおそれがあります。
製造設備や商品を差し押さえられてしまうと、売る商品が作れなくなることや売ることができなくなるためです。
さらに、BtoBで売上が減っても、過去の取引について売掛債権が残されている時も注意しなくてはなりません。
残されている売掛債権を使ってファクタリングを行い、資金調達しようと思っても、売掛債権を差し押さえられてしまう可能性があります。
差し押さえを受けたら、ファクタリングはできなくなりますので注意が必要です。

■受注段階でのファクタリングの可能性

売掛債権は差し押さえられてしまうリスクがありますが、受注したばかりの状態なら、まだ債権化されていないので差し押さえが間に合わない可能性があります。
一般的なファクタリングは、取引を行い、納品をして、代金の請求書が発行され取引先が請求書を受領した時点から行える仕組みでした。
ですが、近年注文書や受領書を受領した時点でファクタリングができる注文書ファクタリングといったサービスを提供するファクタリング事業者が増えてきました。
納品前、請求書の発行前の段階で、早期の資金化が可能となります。
資金繰りが悪化し、税金も滞納している状態で審査が通るかは、ファクタリング業者の判断によりますが、注文書を買い取ってもらうことができるので、差し押さえに合わずに現金を手に入れられる可能性が残されています。
注文書買取後の入金は最短翌営業日となっており、もし大型注文であれば、一気に税金の滞納額を納税して、状況を改善させることも可能です。
取引の形態はさまざまであり、注文を取っての販売をしていないケースもあるかもしれませんが、受注販売や請負契約が主流の事業者なら、こうした可能性もあることを覚えておくと、いざという時に安心です。

■注文書ファクタリングがしやすい業種

注文書ファクタリングにより、税金滞納額を解消できるような業種として、以下のような業種やケースが想定されます。
たとえば、受注販売をしており、1回の注文額が大きくなる製造業などです。
機械製造や部品製造などをはじめ、大きなイベントで使う弁当や食品、ノベルティグッズなどを大量受注できるようなケースもチャンスはあるかもしれません。
また、工務店や建設業なども挙げられます。
建設業界は、もともと、ファクタリングの活用が向いている業種です。
建設業では、大規模ビルや商業施設などの建設はもとより、一般個人の一戸建て建設においても受注額が高額になり、かつ建築を請け負って工事をスタートさせてから、支払いを受けるまでの期間が長くなります。
建築請負契約は出来高払いとなっており、基本的に約束した通りに完成しないと支払いが受けられないためです。
金額が大きなケースや期間が長くなるほど、途中で出来高に応じた支払いを受けられる約束をする場合もありますが、それでも受注してから支払いまでの期間は長くなります。
一方、受注額は大きいので、注文書を買い取ってもらうことで、大きな金額を前倒しで受け取れるメリットは高いです。
資金繰りが悪化し、税金滞納によって差し押さえや競売を受ければ、事業の継続も難しくなります。
そうなれば、工事もできず、顧客にも大きな迷惑をかけることになります。
工事を行って、顧客との約束を果たすためにも、早めにファクタリングを実施して、資金を調達し、納税に充てるなどして事業継続を行えると良いのではないでしょうか。

■まとめ

税金を滞納すると、助成金や補助金が受けられない、銀行融資や貸金業者からの融資も得られない、取引先からも取引を切られる、財産を差し押さえられ競売にかけられるなどペナルティが増えます。
そのため、税金滞納をしないように早めに対策を講じるのが賢明です。
税金滞納しそうなほど資金繰りが悪化している状態では、銀行融資や貸金業者の審査も通らないおそれがあるため、頼みの綱として考えられるのがファクタリングです。
ファクタリングなら、売掛先の信用力が高ければ審査に通る可能性や手数料が高くなる可能性はありますが、2社間ファクタリングをしてもらえる可能性も残されています。
ただし、手数料が高いと手取り額が減るため、納税資金として役立てられないリスクも残ります。
納税資金の調達をする前に、税務署に相談するなど、よりベストな選択肢はないか、しっかり検討しましょう。
実際に税金滞納をすると、売掛債権も差し押さえられる可能性があります。
そうなるとファクタリングもできないため、早めの対策が必要です。
税金滞納中でもファクタリングを行える可能性としては、注文書ファクタリングが挙げられます。
もちろん、実際に審査が通るのか、税務署から指摘を受けずに行えるかは未知数ですが、注文を受けた段階でファクタリングできるので、差し押さえされずに現金化できる可能性が残されています。