今や企業の資金調達方法として、メジャーになりつつあるファクタリング。

ファクタリングは銀行等の借入で発生する負債が増えないことから、 低リスクかつ安全な資金調達方法 として利用する企業が増えてきています。

また、ファクタリングを活用することによって、貸借対照表（バランスシート）の負債を減らす（オフバランス化）ことができます。

本記事では ファクタリングを活用した貸借対照表のオフバランス化および、そのメリットとデメリットについて詳しく解説 します。

ファクタリングの活用を検討されている方や、資金繰りに悩んでいる方は是非参考にしてください。

ファクタリングとは

ファクタリングとは一体何なのか？聞いたことがないという方も多いのではないでしょうか。

ファクタリングは、資金調達方法の一種。 売掛債権（自らが販売した商品、サービスの対価として、金銭を受け取る権利）を第三者に売却し、手数料を引いた金額を得る という仕組みです。

取引先等からの支払いは通常、1〜3ヵ月かかることが多く、最悪の場合それ以上というケースもあります。売上があるにもかかわらず、金銭が手元に入ってこない状況が長期化すると、企業の資金繰りに悪影響をもたらしかねません。

その点、ファクタリングを利用すれば、 効率良く売掛債権を現金化することができ、会社の経営や負債の返済に充てる ことが可能になります。

任意のタイミングで現金化ができるので、事業計画も立てやすくなるでしょう。

オフバランス化とは

オフバランス化とはそもそも何なのか？

まず、オフバランスのバランスの部分。これは、貸借対照表（バランスシート）のことを意味します。

貸借対照表は、企業の資産状況を示す書類です。決算書の一種で、その企業の保有資産と純資産、負債を表形式で示します。企業の財務状況や資金調達方法が一目でわかる、重要な書類です。

オフバランスとは、この 貸借対照表（バランスシート）の負債や資産を少なく（オフ）すること を意味します。

負債を少なくすることで、貸借対照表がすっきりするだけでなく、企業評価の向上に大きく貢献します。 負債が少ない企業は銀行等の金融機関から、良いイメージを持たれやすい ことは想像に容易いでしょう。

評価が高い企業は銀行等の融資を受ける際の審査で、高い限度額を設定してもらえる等、多くの恩恵を受けることが可能です。

近年多くの企業がファクタリングを活用した貸借対照表のオフバランス化を図っているのも、頷けます。

ファクタリングでオフバランス化のメリット

ファクタリングを活用した貸借対照表の オフバランス化には企業を経営するにあたって、多くのメリット があります。

主なメリットとして、以下の3点が挙げられます。

• 企業価値の向上
• ROAの改善
• 貸し倒れ防止

それぞれ、詳しく解説していきます。

企業価値の向上

オフバランス化することによって、企業価値の向上が見込めます。

前項で解説したように、オフバランス化することは、貸借対照表の負債を減らすことが主な目的です。

負債が少なければ、 企業として良好な経営状態であると示す ことができます。経営状態が良い企業は金融機関から高評価を得やすいです。そのため、より高い設定の限度額で融資を受けることが可能になります。

また、 財務状況が安定している企業は返済能力や長期的な体力があると評価され、金融機関は積極的に融資を検討する でしょう。

創業して間もない企業や、規模が小さい企業は金融機関から高評価を得ることが難しいのが現実です。

しかし、オフバランス化することにより、規模が小さい企業でも健全かつ安定した経営状態であることを示すことができ、金融機関への良いアピールにつながるでしょう。

ROAの改善

オフバランス化することで、ROAの向上が期待できます。

ROA（Return On Assets）とは総資産利益率を意味し、当期純利益÷（資産×100）という計算式から導きだすことが可能。これは、企業が 保有している総資産を利用して、どれだけの利益を生み出しているかを示す指標 です。

オフバランス化で資産を少なくすることによって、貸借対照表をすっきりさせるだけでなく、 効率的に利益を生み出しているというアピールを金融機関にできる ようになります。

ROAを改善していくことで、今後より良い条件で金融機関からの融資を受けられる可能性が高まり、資金調達も容易になっていくでしょう。

貸し倒れ防止

売掛債権は回収できるまで通常、1〜3ヵ月かかることがほとんどです。しかし、回収を待っている間に、取引先の業績が悪化してしまったらどうでしょうか？

当然、 売掛債権の回収は大幅に遅れ、最悪の場合は回収できない ということも。売掛債権を回収できなければ、自社の業績悪化につながりかねません。

こういった災難に見舞われないためにも、ファクタリングを活用し、オフバランス化すると良いでしょう。

オフバランス化することによって、 リスクのある売掛債権を信用情報や決算書に傷をつけることなく、早期に処理することが可能 になります。

貸し倒れリスクの回避はどのような企業にとっても重要なことです。経営上のリスクを減らしていくことで、余裕のある事業計画を遂行できるようになるでしょう。

ファクタリングでオフバランス化のデメリット

ファクタリングの活用による貸借対照表のオフバランス化には多くのメリットがありますが、もちろんデメリットも存在します。

最大のデメリットと言えるのが、手数料です。

ファクタリング会社は無条件で売掛債権を買い取るわけではありません。企業の代わりに 売掛債権のリスクを引き受ける対価として、手数料を求めます。

手数料は ファクタリング会社や売掛先の信用度によって、1％〜30％と大きく変動 します。高すぎる手数料を払い続けていては、いずれ収益に悪影響をもたらしかねません。

手数料を起因として、発生しうる主な問題として以下の2点が挙げられます。

• 収益圧迫
• ROAの低下

それぞれ、詳しく解説していきます。

収益圧迫

ファクタリングを活用したオフバランス化は資金調達方法としては有用です。しかし、よく見落とされるのが手数料。高い手数料を長期間支払い続けることによって、企業の収益を圧迫する可能性があります。

高い手数料は長期的に見た場合、かなりの負担です。いくら 効率的に売上を現金化できても、高い手数料を支払っていては、後々苦しくなる ことは必至。

例えば、500万円の売掛債権をファクタリング会社に売却したとします。手数料が20％だった場合、手元にくる現金は400万円のみです。本来回収できるはずだった売上が、この一回の取引で100万円失うことになります。

これを何度も繰り返せば、当然損失は大きくなり、経営改善や資金調達どころではなくなってしまいます。特に、 資金繰りに余裕がない企業であれば、倒産に追い込まれる可能性 も。

このため、手数料と利用頻度を最小限に抑えることが、ファクタリングを利用する上で最重要課題になります。

ROAの悪化

ファクタリングを活用し、オフバランス化することでROAの改善が期待できると説明しました。しかし、ファクタリングの利用方法次第では、ROAの悪化につながる可能性があります。

ROAで 注意しなければならないのは、自社製品の利益率とファクタリングの手数料。

例えば、利益率が20％の商品を手数料20％でファクタリングした場合、利益はゼロです。また、 商品の利益率を上回る手数料を支払った場合は当然赤字 になってしまいます。

このように、ファクタリングの利用方法次第では、純利益を減少させかねないのです。

純利益が減少してしまうと、ROAも同時に悪化します。ROAが悪化している企業は、良好な経営状態とは見られず、金融機関からの評価も自然と下がり、資金調達はより困難になるでしょう。

これではわざわざファクタリングを利用してオフバランス化した意味がありません。

これを回避するためにも、慎重にファクタリング会社と手数料を選ぶ必要があります。気を付けながら、正しく利用すれば企業にとって良いビジネスパートナーとなるでしょう。

ファクタリングでオフバランス化する際の注意点

ファクタリングでオフバランス化することには多くのメリットがあり、魅力的です。

しかし、現状では ファクタリングに対しての法整備が不十分な状態であり、ファクタリング会社を装って、法外な手数料を要求する悪徳業者が横行している のが現実。

中にはファクタリングと称して、貸金業に該当するサービスを提供している悪質な業者も存在し、利用する際は細心の注意をはらう必要があると言えるでしょう。最近では金融庁から 注意喚起 もされています。

そのため、ファクタリングを活用してオフバランス化する際に一番重要なのは、ファクタリング会社選びです。

ファクタリング会社によって、審査基準や手数料は大きく異なります。まずは、複数のファクタリング会社に見積を作成してもらい、自社に合ったファクタリング会社を選ぶことが大切です。

無理をして高い手数料を支払っていては、せっかくのオフバランス化や資金調達も水の泡となってしまいます。

確実に 信用できるファクタリング会社を見つけ、無理のない範囲で利用すること が安全なオフバランス化への鍵です。

まとめ

いかがでしたか？ファクタリングを活用し、貸借対照表のオフバランス化することは企業にとって有用な資金調達方法と言えるでしょう。

貸借対照表の負債を減らすことで、企業評価も向上し、さまざまな恩恵を受けることができるようになります。

ファクタリングを活用したオフバランス化は企業にとって多くのメリットがありますが、注意しなければならないのが、手数料。ファクタリングの利用方法を誤れば、せっかくのメリットもデメリットに変わってしまいます。

慎重なファクタリング会社選びと計画的な利用がなによりも大切です。