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2023-01-26

起業資金はいくら必要?個人・法人の費用目安と資金調達方法をわかりやすく解説

これから起業を予定している方のなかには「起業の際にはいくら資金が必要なのか」「自己資金が足りない場合の資金調達方法を知りたい」などの悩みを抱えている方は多いでしょう。

今回の記事では、起業の際にかかる資金や、資金調達方法を詳しく解説します。起業時にかかる費用や資金の調達方法に悩まれている方は、ぜひ最後までご覧ください。

起業資金の目安は500万~1,000万

日本政策金融公庫総合研究所によると、新規開業実態調査の割合で最も多いのは、500万円~1,000万円でした

年度別による起業費用の割合は、以下のとおりです。

【年度別による起業費用の割合】
250万円未満 250万円~500万円未満 500万円〜1,000万円未満 1,000万円〜2,000万円未満 2,000万円以上
2022年 21.7% 21.4% 28.5% 18.0% 10.5%
2023年 20.2% 23.6% 28.4% 18.8% 9.0%
2024年 20.1% 21.0% 30.7% 18.8% 9.4%

出典:2024年度新規開業実態調査

開業費用の分布を見ると、250万円~500万円未満が4割以上を占めます。開業費用の平均値は985万円、中央値は580万円です。過去約30年の推移から長期的に見ると、開業資金は小額化の傾向にあります。

開業にかかる費用の内訳は、大きく「物件取得費用」「設備投資費」「運転資金」の3つです。それぞれの概要は、以下のとおりです。

<開業にかかる費用の内訳>

  • 物件取得費用:敷金、礼金、仲介手数料など、店舗や事務所を借りる際に支払う費用
  • 設備投資費:内装・外装工事費や備品費など、固定資産の購入にかかる費用
  • 運転資金:人件費、広告宣伝費、仕入れ費など、日々の事業継続に必要な経費

起業・開業にかかる費用は、業種や事業の規模によって異なります。先ほどのデータは、あくまでも目安として考えましょう。

たとえば、自宅開業の場合は物件取得費がかからず、開業費用を安く抑えられます。反対に、事務所や店舗を構える必要がある場合や、パソコン・電話・販促物などの仕入れが必要な場合は、開業時の費用が高額になりやすいです。

また、個人で開業するか、法人として開業するかによっても、開業資金が大きく変わります。次の項目で、詳しく解説します。

個人の場合

個人で事業を始める場合、開業届の提出には費用がかかりません。しかし、事業をスタートするための初期費用は必須です。項目ごとに、必要な金額の目安をリストアップします。

【個人で事業を始める際に必要な費用】
項目 費用の目安
手続きにかかる費用 0円
事務所開業費 0円
パソコン・周辺機器費 3万円~10万円
デスク・椅子などの什器費 0円
通信費 5,000円~20,000円
人件費 0円
資本金 0円
運転資金 75万円~150万円
合計 約78万円~160万円

自宅開業する場合は、ほとんどの費用を節約できます。自前のパソコンやデスクを使用する場合は、さらに開業費用を節約できるでしょう。なお、運転資金は3~6ヶ月分を想定したものです。

法人の場合

法人として開業する場合は、登記申請が必要です。登記申請にかかる費用は、会社の種類により異なります。ここでは例として、株式会社と合同会社の設立にかかる費用をご紹介します。

【株式会社と合同会社の設立にかかる費用】
株式会社 合同会社
登録免許税 15万円または資本金の0.7%のうち、どちらか高い方 6万円または資本金の0.7%のうち、どちらか高い方
謄本手数料 1ページ250円
定款認証手数料 1万円~5万円
印紙代 4万円(電子定款認証の場合は0円) 4万円(電子定款認証の場合は0円)
合計 約16万円~25万円 約6万円~10万円

※資本金は計算に含めていません。

起業時の主な3つの資金調達方法

ここからは、起業時に活用できる主な3つの資金調達方法をご紹介します。

【起業時の主な3つの資金調達方法】
自己資金・親族借入
  • 自己資金
  • 知人や親族からの借入
補助金・助成金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 事業継承・引継ぎ補助金
融資
  • 信用金庫
  • 日本政策金融公庫
  • 信用保証協会
  • 個人借入

次に、それぞれの資金調達方法の特徴を詳しく解説していきます。

自己資金・親族借入

補助金や助成金、融資などに頼らず、自分自身もしくは身近な人物から資金調達をする方法です。預貯金などによる自己資金や、近親者からの借入により開業資金を用意します。

自己資金

自己資金を準備する主な方法は、次のとおりです。

<自己資金を準備する主な方法>

  • 給与や事業収入から開業資金を積み立てる
  • 不要な固定資産などを売却して現金化する
  • 退職金を利用する

最も一般的なのは、月々の給与から開業資金を積み立てる方法です。脱サラして起業する場合、退職金を開業費用に充てられる場合もあります。自動車やバイク、貴金属、コレクション、株式などの資産を売却して現金化し、開業資金に充てる方法も有効です。

知人や親族からの借入

知人や親族からの援助を受ける方法も一般的です。近年では、クラウドファンディングにより、支援者から小額の資金を集めて開業する方も増えました

知人や親族から借入する際は、後のトラブルを避けるために、贈与税の有無を確認しましょう。また、返済が必要な場合は「いつまでに完済するか」「月々いくら返済するか」などの条件を明確にすることが大切です。

補助金・助成金

補助金・助成金とは、一般的に国や自治体などが民間の企業や団体、個人に給付する資金です。原則として、返済の必要がありません

代表的なものには、設備投資や新規事業などを支援する経済産業省・中小企業庁の補助金制度のほか、厚生労働省が実施する助成金もあります。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、販路開拓に取り組む費用の一部を補助する制度です。

【小規模事業者持続化補助金の概要】
対象者 従業員数が業種に応じて5人以下または20人以下の小規模事業者
資金用途 販路開拓、生産性向上、業務効率化にかかる経費
補助上限額 通常枠50万円(各種特例の活用により最大250万円)
補助率 補助対象経費の3分の2以内
申請方法 経営計画を作成し、商工会・商工会議所の支援を受けて電子申請する

従業員20人以下の小規模な事業者が対象で、個人事業主でも応募できます。2022年から創業枠が新設され、最高で250万円の補助金が支給されます。

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金とは、経営革新を行う中小企業や小規模事業者に対し、経費の一部を補助する事業です。

【事業承継・引継ぎ補助金の概要】
対象者 事業承継やM&Aにより経営資源を引き継ぐ中小企業・小規模事業者
資金用途 事業再編・事業統合、経営革新、M&Aなど
補助上限額 枠により最大800万円程度
補助率 3分の2以内または2分の1以内
申請方法 事業者が公募要領に沿って申請

経営革新枠、専門家活用枠、廃業・再チャレンジ枠で構成され、枠により最大で800万円の補助金が支給されます。枠ごとに補助金の上限額が異なり、確認が必要です。

融資

融資とは、返済を前提にお金を貸してもらう資金調達方法です。

個人・法人にかかわらず、融資を受けるためには審査があり、審査基準をクリアすると融資を受けられます

それぞれの融資先の特徴は下記に記載します。

信用金庫

信用金庫は、中小企業や個人を主な取引先とする金融機関です。

信用保証協会が保証しており、実績の乏しい事業者も融資を受けやすい傾向が見られます。

また信用金庫では、さまざまな情報提供や相談に乗っています。起業して間もない会社にとっては、心強い金融機関です。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、これから起業する方や中小企業へ融資を行っています。なかでも、代表的な創業向けの制度は、新規開業・スタートアップ支援資金です。

これは、創業期にある事業者向けの融資制度であり、事業開始後おおむね7年以内の中小企業や小規模事業者が対象です。限度額は7,200万円と、公的資金としては高額な融資を受けられます。

信用保証協会

信用保証協会は、大企業に比べて信用力で劣る中小企業・小規模事業者について、金融機関からの融資に対して保証を行い、資金調達を受けやすくする公的機関です。

起業前でも申し込みができる制度融資は、無担保・無保証かつ1%未満の低金利で融資を受けられます。

個人借入

個人借入とは、事業としてではなく、個人として消費者金融から借りた資金です。個人の信用力次第では、無担保・無保証で、最短即日中に開業資金を調達できます。

しかし、金利が高く、返済が滞った場合は、その後の融資を受けにくくなる可能性があります。

資金調達の際の注意点

事業を順調に進めるためには、資金調達の際に注意すべき点を理解しておくことが重要です。

それぞれを具体的に見ていきましょう。

補助金・助成金の注意点

補助金・助成金を利用する際の注意点は、次のとおりです。

<補助金・助成金の注意点>

  • 倍率が高い傾向にある
  • 提出書類に準備に時間と労力がかかる
  • ある程度の自己資金は必要

補助金・助成金は返済義務がなく、募集の間口が広かったりとメリットが大きいものに関しては応募が殺到しやすいです。審査を有利に進められるよう、事業計画をしっかりと立てましょう。また、書類の用意には時間と労力がかかります。不備が発生しないよう、時間にゆとりをもって準備を進めてください。

なお、助成金・補助金は、あくまでも足りない資金を補う制度です。特に補助金は、実際に使った経費を計算したうえで受給額を申請して受給します。一定の運転資金がない状態では、事業を継続できません

融資の注意点

融資を利用する際の注意点は、次のとおりです。

<融資の注意点>

  • 信用保証料を支払う必要がある
  • 申し込みから融資実行まで時間がかかる
  • 2社間の審査が必要

信用金庫を利用する際に、保証を受けるためには信用保証料を支払わなければなりません。料金は経営状況によって異なりますが、およそ0.5%~2.0%です。

日本政策金融公庫の融資は、融資を受けるまでに3週間~1ヶ月程度と、民間の金融機関に比べて審査期間が長くなる傾向にあるため、時間に余裕をもって申し込みましょう。

信用保証協会を利用した借入申請時には、信用保証協会と金融機関のそれぞれで審査が必要です。保証協会の保証があった場合でも金融機関から借入を断られる可能性があります。

出資の注意点

出資の注意点は、次のとおりです。

<出資の注意点>

  • 出資額の規模が小さい
  • 過度に経営に対して干渉してくる可能性がある
  • 早期資金回収のリスクがある

エンジェル投資家は、自己資金により投資を行っており、ベンチャーキャピタルと比較して出資規模が低い傾向にあります。多額の資金を集めたい場合は、複数人の投資家を探しましょう。

エンジェル投資家、ベンチャーキャピタル共に会社の成功を願うあまり、事業に対して細部まで干渉してくる可能性があります。その対応に追われ本来の業務に支障をきたす可能性がある点に注意が必要です。

また、自社の業績が著しく悪化してしまった場合には、投資家が事業から手を引く可能性があります。その際、株式の売却を迫られるリスクも頭に入れておきましょう。

資金調達の際のよくある質問

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ここでは、資金調達に関するよくある質問にお答えします。

それぞれを具体的に見ていきましょう。

起業資金はいくら必要?

2024年度新規開業実態調査によると、企業資金の目安は500万円~1,000万円です。

開業費用の内訳は、主に物件取得費用・設備投資費・運転資金に分かれ、業種や規模により大きく変動します。

自己資金のみで開業できる?

はい、可能です。

特に自宅をオフィスとして使用する場合や、初期投資が少なく済む場合は、自己資金だけでも開業資金を賄える可能性が高いです。

自己資金ゼロでも開業できる?

法律上は可能ですが、難しいと言わざるを得ません。特に株式会社を設立する場合、世間的な信用が必要です。資本金として、100万円程度を用意すると良いでしょう

どの資金調達方法を優先すべき?

返済義務がない自己資金を優先すべきです。

自己資金で開業資金を賄えない場合は、日本政策金融公庫などの公的融資を受けましょう。次に補助金・助成金、そして信用金庫などの融資の順番に検討してみてください。

まとめ

今回の記事では、起業資金の目安と主な3つの資金調達方法を詳しく解説しました。

起業していくうえで必ず必要となる資金調達ですが、起業後と事業拡大後では、さらに資金調達方法の種類も増えます。

近年多く利用されている資金調達方法の一つが、ファクタリングです。ファクタリングとは、売掛金などのまだお金が入っていない請求書を、専門の業者に買い取ってもらい、支払い期日より前に現金を受け取る仕組みを指します。

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  • 【監修者】鈴木 孝明(すずき たかあき)

  • 税理士 [登録番号:142076]/すずき会計事務所 代表

    20代で税理士試験に合格後、国内の税理士事務所に勤務。その後、独立し「すずき会計事務所」を開業。
    中小企業・個人事業主様を中心に、税務・会計支援を行っており、ファクタリングを含む資金繰り支援に関する実務経験も豊富。

  • すずき会計事務所のプロフィール