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2023-02-27

売掛金は相殺できる?仕訳方法やできないケース、注意点をわかりやすく解説

掛け取引は、その都度代金の支払いをする必要がなく、お互いにとってメリットが多い取引方法です。相殺処理の実施により、さらに仕事の効率が上がる可能性があります。その一方で、正しく処理をしていないと、何らかのトラブルに発展するリスクには警戒しなければなりません。

そこで今回は「売掛金は相殺できるのか」といった疑問にお答えしたうえで、仕訳方法や相殺できないケース、注意点について詳しく解説します。

売掛金は相殺できるのか?

結論からいうと、売掛金の相殺は可能です。そもそも相殺とは、債権と債務を合わせて消したり、減額したりする作業を指します。

A社とB社が100万円の掛け取引を行った場合を想定し、相殺の手順を見てみましょう。

<相殺手順>

  • 1回目の取引で、A社がB社に100万円分の商品を提供する
  • A社が100万円の売掛金を保有し、B社には100万円の買掛金が生じる
  • 2回目の取引で、B社がA社に100万円分の商品を提供する
  • B社には100万円の売掛金、A社には100万円の買掛金が生じる
  • 双方のプラスとマイナスの取引を合算し、相殺する

上記のスキームにより、双方の合意があれば売掛金の相殺が可能です。相殺処理により、双方の企業が銀行にお金を振り込む手間を省けます。また、入金確認も不要になり、業務効率の向上が見込めるのです。

売掛金と買掛金を相殺する際の仕訳方法


仕訳方法の内訳は「相殺のみ」と「一部の相殺」に分かれます。ここでは、それぞれの仕訳方法について、具体的な仕訳例を挙げて解説します。

相殺のみの場合

売掛金が30万円、買掛金が10万円と仮定してシミュレーションしましょう。相殺のみの場合は、金額が少ない方の全額を相殺し、残金の決済は後日行います。仕訳例は、次のとおりです。

【相殺のみの場合の仕訳例】
借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
買掛金 10万円 売掛金 10万円

買掛金を貸方に記帳すると、負債が10万円減少します。一方、売掛金を貸方に記帳すると、資産が10万円減少します。相殺後の残高は売掛金が20万円です。後日、相殺できなかった残金の20万円が、A社からB社に支払われます。

一部だけ相殺した場合

売掛金30万円と買掛金10万円のうち、買掛金の全額を相殺し、売掛金は現金で入金されたと仮定します。この場合の仕訳例は、次のとおりです。

【一部だけ相殺した場合の仕訳例】
借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
買掛金 10万円 売掛金 10万円
現金 20万円 売掛金 20万円

まず、買掛金と売掛金の同額を相殺します。次に、残高となる20万円が現金として増加し、売掛金は完全に相殺されます。この結果、A社との取引に関する売掛金と買掛金はすべて消滅するのです。

そもそも売掛金・買掛金とは

そもそも、売掛金とはいったいどのようなお金なのか、売掛金や買掛金の意味や仕組みについておさらいしましょう。

売掛金とは

売掛金とは、商品やサービスを掛け取引で行う際に使われる勘定科目の1つです。掛け取引では、商品やサービスを提供した際に代金を請求せず、後日まとめて代金の請求を行います。その過程で、商品やサービスを提供した企業には、その代金を受け取る権利が発生します。

その権利を売掛債権と呼び、実際に受け取れるお金が売掛金です。

買掛金とは

買掛金とは、掛け取引において、商品やサービスを仕入れする側の企業が扱う勘定科目です。商品やサービスを仕入れる側の企業には、後日その代金を支払う義務が発生します。仕入れ先の企業に対して、後日支払わなければならないお金が買掛金です。

つまり、売掛金は商品を売る側の企業に発生するお金、買掛金は商品を買う側の企業に発生するお金を表しています。

売掛金と買掛金を相殺できるケース

売掛金 相殺

売掛金と買掛金を相殺できるのは、継続的に取引のある相手先との間で、互いに発生した売掛金と買掛金を同額分差し引く場合です。2社の関係性は取引先であり、同時に仕入れ先でもあります。相互に取引を行う企業同士の場合、相殺はスムーズに進みます

製造業でたとえると、以下のようなケースです。

<売掛金と買掛金を相殺できるケース>

  • A社がB社の製品開発に必要なパーツを販売し、A社に売掛金が発生する
  • B社はA社の製造ラインに必要な製品を販売し、B社に売掛金が発生する

上記でシミュレーションしたケースにおいては、双方の売掛金と買掛金の相殺が可能です。

売掛金と買掛金を相殺できないケース

売掛金 相殺

これからお伝えする4つのケースに該当する場合は、原則として相殺は認められません。

<売掛金と買掛金を相殺できないケース>

それぞれの詳細を解説します。

弁済期が未到来

支払い時期が先の債権や債務は、弁済期が到来するまで相殺できません。売掛の相殺は、それぞれが弁済期を迎えている前提で実施するものです。

ただし、債権者は、支払い時期による利益の放棄が可能です。結果として、弁済期の到来した売掛金と、弁済期が未到来の買掛金は、買掛金の期限の利益を放棄すると相殺できます。

債権の差し押さえ

差し押さえられている債権の相殺は困難です。特に、差し押さえで第三債権者が関係する場合、相殺は現実的ではありません。ただし、差し押さえの前に取得した債権は制限を受けず、相殺の対象として扱えます。

相殺の意思表示が曖昧

どちらか一方でも、相殺の意思表示を曖昧にしている場合、相殺は困難です。民法では、相殺する当事者が意思表示をしなければ、相殺の効力が生じないとされています。内容証明郵便で書面を送付するなどの方法をとり、明確に相殺の意思を示しましょう。

相殺禁止の特約の締結

相殺禁止特約を締結していた場合、その売掛金は相殺できません。契約締結時に付帯した特約には、本契約と同等の重みがあり、最優先されます。本来は相殺できる売掛金と買掛金で、双方の合意がとれていたとしても、特約を設けているケースでは相殺が不可能です。

売掛金の相殺処理のメリット

売掛金 相殺

ここでは、売掛金を相殺処理するメリットを3つ解説します。

それぞれを具体的に見ていきましょう。

お互いの手間が省ける

最大のメリットとして挙げられるのは、お互いの手間が省ける点です。売掛金の相殺により、お金を振り込みに行く手間や、入金を確認する手間が省けます。業務効率化により従業員の負担が減り、計算ミスなども減らしやすくなるでしょう。

手数料や印紙代の節約になる

売掛金の相殺により、手数料や印紙代を節約できます。売掛金や買掛金を振り込む際は、手数料が発生します。繰り返し取引を行う企業の場合、累積される手数料や印紙代は高額になりやすいです。これらの費用の削減は、双方の企業に大きなメリットをもたらします。

貸し倒れのリスクを減らせる

貸し倒れのリスクを減らせる点も、売掛金を相殺するメリットです。掛け取引は便利な一方で「未回収リスク」の問題点が必ずつきまといます。相殺処理を行うと、売掛金の回収リスクを減らし、同時に買掛金も帳消しにできて便利です。

売掛金の相殺処理の注意点

売掛金 相殺

売掛金の相殺処理の注意点は、次のとおりです。

<売掛金の相殺処理の注意点>

それぞれの詳細を解説します。

複雑な処理が必要になる

売掛金を相殺する際は、複雑な処理が必要です。具体的には「相殺領収書」を作成する必要があり、企業の経理担当者が処理を行わなければなりません。相殺は企業に大きいメリットがある一方で、複雑な処理が発生し、一部の従業員に負担がかかりやすいです。

管理をしなくて良いわけではない

相殺したからといって、売掛金の管理を放棄して良いわけではありません。相殺処理が複数発生している場合などは、帳簿から相殺処理をした売掛金と買掛金を確認したり、領収書を作成したりする必要が生じます。

「相殺の処理をすると作業がなくなって楽になる」と思い込むのではなく、管理が必要なシーンもあることは覚えておきましょう。

売掛金の相殺処理に必要な相殺領収書

売掛金 相殺

次に、相殺領収書について詳しく解説します。売掛金の相殺処理をするうえで必要な相殺領収書は、通常の領収書とどのような違いがあるのか、疑問に思う方も多いでしょう。

相殺領収書について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

相殺領収書とは

売掛金や買掛金の相殺を行った際に作成する領収書が、相殺領収書です。通常の領収書とは異なり、お互いの債権債務を消し合ったと証明する際に用意します。相殺領収書を発行すると、売掛金をめぐる後のトラブルを抑止できます。

なお、相殺領収書は、金銭の受益を証明する書類ではなく、収入印紙は原則として不要です。ただし、通常の領収書に相殺された金額を含めて記載している場合は、印紙が必要なケースがあります。

相殺領収書の書き方

相殺領収書には「金額」「日付」「但し書き」を行います。金額については、相殺の内容ごとに記入する内容が異なり、注意が必要です。

<相殺領収書の書き方>

  • 相殺のみの場合…相殺した金額を記入する
  • 一部だけ相殺した場合…相殺した金額と領収金額の両方を記入する

日付の記入には、明確なルールがありません。しかし、トラブルを避けるために、取引先と同じ日付を記入すると良いでしょう。最後に、但し書きとして「相殺を証明する文書である」旨を記載します。これは、通常の領収書として、誤って処理するリスクを減らすために必要な作業です。

相殺できない場合はファクタリングがおすすめ!


売掛金を相殺できない場合は、ファクタリングの利用がおすすめです。ファクタリングとは、売掛金などのまだお金が入っていない請求書を、専門の業者に買い取ってもらい、支払い期日より前に現金を受け取る仕組みです。

ファクタリングを行うと、最短即日で売掛金を現金化できます。取引先に依存することなく、貸し倒れリスクを回避しながら現金化する手段として、ファクタリングは極めて有効です

まとめ

自社にも取引先にもメリットのある便利な掛け取引は、相殺処理によりさらに仕事の効率が向上します。しかし、売掛金を相殺できないケースも珍しくありません。その場合の資金調達方法として有効なのが、ファクタリングです。

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  • 【監修者】鈴木 孝明(すずき たかあき)

  • 税理士 [登録番号:142076]/すずき会計事務所 代表

    20代で税理士試験に合格後、国内の税理士事務所に勤務。その後、独立し「すずき会計事務所」を開業。
    中小企業・個人事業主様を中心に、税務・会計支援を行っており、ファクタリングを含む資金繰り支援に関する実務経験も豊富。

  • すずき会計事務所のプロフィール