2023-05-09
取引先企業が倒産した場合の売掛金の回収方法とは?取引における注意点などを紹介
近年では、コロナ禍が原因で倒産してしまう企業が増加していますが、取引先が倒産した場合の売掛金の回収方法について、不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
取引先の倒産は、多くの企業が直面する可能性のあるリスクの一つです。とくに、売掛金を抱えている場合にはそのリスクは大きくなります。
万が一取引先が倒産した場合、売掛金の回収が難しくなり、事業継続に大きな影響を与えることがあるため、倒産リスクを考慮した売掛金の取り扱いについて、しっかりと理解しておく必要があります。
本記事では、倒産リスクのある企業との取引における注意点や、取引先が倒産してしまった場合の売掛金の処理方法などを詳しく紹介します。
売掛金とは
売掛金とは、商品やサービスを提供したにもかかわず、取引先から金銭を受けとっていない債権のことを指します。
取引先の企業に商品やサービスを提供して請求書を送った場合、支払い期限までに金銭が支払われなかった際に、企業はその額を債権として認識します。
売掛金が多いほど企業のキャッシュフローは悪化し、支払いが滞るリスクがあるため、企業は売掛金の管理を明確にし、売掛金回収の追跡や不良債権の管理を行う必要があります。
また、売掛金は企業の収益にも大きな影響を与えます。売上高に対して売掛金が多い場合は、収益を過大評価することになり、逆に売掛金が少ない場合は収益を過小評価することになります。
つまり、売掛金は経営において欠かせない要素であり、適切な管理が必要であるといえるでしょう。
倒産リスクのある企業との取引における注意点
倒産リスクのある企業と取引を行う場合、以下の点に注意が必要です。
- 取引先の財務状況の確認
- 倒産リスクを考慮した取引条件の設定
それぞれの注意点について詳しく紹介します。
取引先の財務状況の確認
取引先の財務状況を確認するためには、以下の方法が有効です。
- 有価証券報告書の確認
- 信用調査会社による調査
- 金融機関や取引先自身からの情報収集
- 業界情報の収集
取引先の企業が株式を公開している場合、有価証券報告書に財務状況や業績が記載されています。
財務諸表の他に経営者のコメントや業績予想、リスクファクターなども含まれているため、総合的に判断することができます。
さらに、信用調査会社による取引先企業の信用調査結果を確認することで、財務状況や経営状況、支払い遅延などの情報を知ることが可能になります。
信用調査会社によっては、信用評価や信頼性の高い企業ランキングなども発表しているため、倒産リスクのある企業との取引においては、これらの調査会社を利用することで、未然に売掛金回収リスクを回避できる可能性が高まるでしょう。
倒産リスクを考慮した取引条件の設定
倒産リスクのある企業との取引においては、適切な取引条件を設定する必要があります。
具体的な取引条件の設定方法は、以下の通りです。
- 支払い条件の見直し
- 保証制度の確立
- 取引先企業との契約内容の明確化
倒産リスクのある企業と取引をする場合、支払い条件を見直す必要があります。例として、前払いや分割払いなどの方法を検討し、リスクを分散させましょう。
さらに、保証制度を確立させることが有効です。保証会社を利用したり、保証金を受け取ることで、リスクを最小限に抑えることができます。
また、取引先企業との契約内容を明確にすることも大切です。納期や品質に関する取り決めや、契約解除に関する条項などを明確にすることで、トラブルが発生したときにリスクを最小限に抑えることが可能になります。
取引先が倒産した場合の売掛金の処理方法
ここでは、未払いの売掛金がある場合に取引先企業が倒産した際の、倒産届けが提出された場合と、提出されかった場合の処理方法をそれぞれ詳しく紹介します。
倒産届けが提出された場合の処理方法
取引先企業が倒産届けを提出した場合の、売掛金の処理に必要な方法は以下の通りです。
- 債権者としての権利主張
- 破産管財人とのやりとり
- 引当金の設定
- 債務整理の実施
倒産した取引先企業に対して売掛金がある場合は、債権者としての権利を主張する必要があります。倒産手続きが始まる前に債権届出を行い、債権者としての権利を確保することが重要です。
また、破産手続きが進むと破産管財人が任命されます。この破産管財人とのやりとりを通じて、売掛金を回収できる可能性や回収期間などを確認しましょう。
破産管財人に対して売掛金の金額や支払い条件などを伝え、回収を試みることも有効です。
なお、倒産企業の債務状況によっては、債務整理が実施されることがあります。債務整理では、回収額が限られることがあるため、回収額に関する情報を破産管財人から入手することが大切です。
このように、取引先企業の財務状況や倒産手続きの進行状況に応じて、適切な対応を取りましょう。
倒産届けが提出されていない場合の処理方法
取引先企業が倒産届けを提出していない場合でも、以下の手順で売掛金の回収を行うことができます。
- 売掛金の請求書の再送付や督促
- 法的手続きの検討
- 弁護士や債権回収業者に依頼
取引先企業の倒産が理由で売掛金の支払いが遅れている場合は、請求書を再送付して督促を行いましょう。その際に、支払い期日の再確認や支払い方法の変更などを提案することで、支払いを促すことができます。
万が一、売掛金の回収ができない場合には、法的手続きを検討する必要があります。法的手続きの内容は、債権回収起訴や債務整理などです。
なお、債権回収起訴を起こす場合は、取引先企業の財務状況によって、債権回収の可能性を判断する必要があります。
その他の手段として、弁護士や債権回収業者に依頼することもできます。弁護士に依頼する際には、取引先企業の財務状況を調査し、最適な債権回収方法を提案してもらうことができるでしょう。
また、債権回収業者に依頼する際には、その業者が保有する情報ネットワークを活用し、回収率を高めることが可能です。
以上が、取引先企業が倒産届けを提出していない場合の一般的な手順ですが、回収の確率を高めるためには、専門家に相談することが望ましいといえるでしょう。
売掛金を管理する際の3つの重要ポイント
売掛金を確実に回収するためには、企業側の徹底した売掛金の管理が重要です。
ここでは、売掛金を管理する際の重要ポイントを3つ紹介します。
取引先ごとの売掛金の把握
取引先ごとの売掛金を把握することは、売掛金の管理を行なっていくうえで非常に重要な業務内容の一部です。各取引先別の売掛金管理台帳を作成し、徹底した売掛金の管理に努めましょう。
売掛金管理台帳を作成するうえでのポイントは、当月締め・翌月回収や当月締め・翌々月回収などの回収基準でグループごとにまとめることや、取引先ごとに締日や回収日を記載することが大切です。
このように、徹底した売掛金の管理を行うことで回収状況が明確になり、問題が発生した場合にも迅速に対応することができるでしょう。
取引先情報の管理
売掛金を管理するうえで重要となるポイントの一つに、取引先情報の管理が挙げられます。
取引先情報を管理することで得られるメリットは、以下の通りです。
- 請求書の発行がスムーズに行える
- 売掛金の滞留を防ぐことができる
- 取引先企業の信頼性を評価できる
取引先情報に誤りがあった場合には、請求書を発行することができず売掛金の回収が遅れることがあるため、正確に取引先情報を管理し、請求書の発行をスムーズに行うことが重要です。
また、取引先情報が古くなっていると、請求書や督促状などの書類が届かないことがあります。情報管理が疎かになることで、請求書の再発行や督促の手間が増えるばかりか、売掛金の回収が遅れる可能性が考えられます。
このように、正確に取引先情報を管理することは、売掛金の回収にとって非常に重要なポイントとなります。
売掛金のリスク管理
売掛金のリスク管理は、未払いを防ぐための重要なポイントです。
リスク管理では、必ず売掛金に支払い期限を設け、その期限を過ぎた場合には積極的に回収することが大切です。
期限を設けずに放置した場合、当然ながら回収までの期間が長くなるリスクが生じ、回収が困難になる可能性があります。
また、売掛金の額に応じた管理を行う必要もあるでしょう。
売掛金の額が大きい場合には、回収までの期間が長期化することが考えられます。そのため、売掛金の額に応じて回収の優先順位を設けたり、取引先企業に対して保証人を求めることが重要です。
売掛金の回収リスクはファクタリングで回避できる
ファクタリングとは、企業が抱える売掛金をファクタリング会社に売却し、回収日前に現金を受け取ることができるサービスです。
取引先企業が倒産した場合、売掛金を回収できなくなるリスクがありますが、ファクタリングは売掛金を売却する契約であるため、将来的に取引先企業が支払い不能な状況になっても、返金する必要はありません。
このため、ファクタリングを利用することで売掛金の未回収リスクを回避することができます。
また、ファクタリング会社は売掛金の回収を代行することができるため、自社の債権管理の負担を軽減することが可能になります。
まとめ
経営を行なっていくうえで、取引先の倒産のリスクは多くの企業が抱えるリスクの一つです。
取引先企業が倒産してしまった場合、売掛金の回収が困難となり、事業継続に大きな影響を与える恐れがあります。そのため、倒産リスクを考慮したうえで、売掛金の管理方法について理解しておく必要があります。
また、倒産してしまった取引先からの売掛金の回収方法についても理解し、万が一の事態に備えて、社内で売掛金の回収方法を検討しておくことも重要です。
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