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2023-07-31

約束手形とは?基礎知識と会計業務や簿記での役割・活用方法を紹介

企業間取引などで用いられる約束手形は、金融文書として取引上の信用力が高く、現金化の方策を講じる際にも役立てられるとあって非常に便利なものです。

ですが、取引で用いる際には注意すべき点もあり、約束手形を用いた取引の内容を会計処理する際には適切に仕訳することも重要となります。

そこで今回の記事では、会計初心者にも分かりやすく、約束手形に関して解説します。基本的な概要や利用目的、利用上のメリット、会計処理、使用上の注意点など、さまざまな観点から解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

約束手形とは?

約束手形は、企業や個人間の取引において使用される金融文書であり、発行者と受取人の間で行われる取引において、発行者が一定の金額を特定の期限内に支払うことを約束するものです。約束手形は法的な効力を持ち、取引の信用を高める役割を果たします。一般的には、商取引や取引先との契約に基づいて使用されます。例えば、商品の販売代金の支払いや資金調達のために約束手形が利用されることがあります。

約束手形の記載事項

約束手形を用いて取引を行う場合、以下の内容を記載する必要があります。

  • 取引の金額(商品・サービスの代金など)
  • 支払いの期日
  • 発行者の情報
  • 受取人の情報

まず、約束手形が効力を持つにあたっては金額が明示されていることが必要です。具体的な金額が文書に記載されることで、債務の額が明確になります。また、支払い期日も明示されており、発行者が受取人に対して支払うべき期限が示されています。

さらに、約束手形には発行者と受取人の情報が含まれます。発行者は約束手形の発行者であり、支払いを約束する側です。受取人は約束手形の受取人であり、支払いを受ける側です。双方の情報が明確に記載されていることで、文書の信用性や債務の履行が確保されます。

約束手形は現金化の手段としても機能する

約束手形は、割引や裏書(譲渡)といった特殊な取引の際にも使用することができます。

割引の最たる例として、約束手形の期限前に受取人が金融機関等に譲渡する方法が挙げられます。この場合、受取人は約束手形に記載される金額から一定の手数料等を差し引いた割引額を手にすることができます。

また、裏書は約束手形を第三者に譲渡することで、その第三者が受取人として扱われる仕組みです。約束手形の裏面に譲渡した旨の内容が記載されることから「裏書」と呼ばれます。

約束手形の利用目的

ここでは、約束手形の利用目的について解説します。

約束手形は、企業や個人がさまざまな目的で利用されます。その主な利用目的としては以下のようなものが挙げられます。

資金調達

約束手形は、企業が資金を調達する手段の一つとして利用されます。企業が約束手形を発行し、金融機関や投資家から資金を調達することができます。

取引の信用維持

約束手形は、取引先との信用関係を維持するために利用されます。取引相手が約束手形を受け取ることで、支払いの確約や信頼性が高まります。

決済手段

約束手形は、商品やサービスの代金の支払いに利用される決済手段としても活用されます。特に大口取引や長期取引において、約束手形を使用することで双方の利益を守りながら円滑な取引が行われます。

約束手形利用上のメリット

ここでは、約束手形を利用することで得られるメリットについて解説します。

以下のメリットを活かすことで取引を円滑に進められるようになるでしょう。

信用向上

約束手形の使用は信用を高める効果があります。約束手形を受け取ることで、取引相手の支払い能力や信頼性が示されます。

時間的な融通

約束手形は期限が設定されていますが、それまでに支払いを行えばよいため、一定の時間的な融通が利きます。

取引の効率化

約束手形を使用することで、取引の手続きがスムーズになります。特に商取引においては、支払い条件や期限が明確になるため、双方のリスクや不確実性を軽減することができます。

債権の譲渡

約束手形は裏書(譲渡)が可能であり、債権の譲渡が容易です。これにより、企業や個人は債権の回収やリスクの分散を行うことができます。

約束手形の会計処理と仕訳

ここでは、約束手形を用いた取引が行われた際の会計処理の手順と仕訳の方法について解説します。

会計処理

約束手形の会計処理は、以下の手順に基づいて行われます。

手順1:約束手形の発行

発行者が約束手形を作成し、受取人に渡します。この際、約束手形の金額や期限、発行者と受取人の情報が明記されていることを確認します。

手順2:約束手形の受取

受取人が約束手形を受け取り、受取人側の負債となります。この際、受取人は約束手形を適切に管理し、期限内に支払いを受ける準備を行います。

手順3:約束手形の割引

受取人が約束手形を期限前に現金化する場合、割引が適用されることがあります。割引額は、約束手形の額面から割引率を適用した金額となります。

手順4:約束手形の支払い

約束手形の期限が到来した際に、発行者が受取人に対して支払いを行います。この際、支払い額は約束手形の額面となります。

仕訳

約束手形の会計処理に応じた仕訳は次のようになります。

約束手形の発行時

  • [約束手形の発行者(借方)] ・・・ 約束手形の額面
  • [負債(受取人)(貸方)] ・・・ 約束手形の額面

約束手形の受取時

  • [負債(受取人)(借方)] ・・・ 約束手形の額面
  • [財務(受取人)(貸方)] ・・・ 約束手形の額面

約束手形の割引時

  • [財務(受取人)(借方)] ・・・ 約束手形の割引額
  • [割引収益(受取人)(貸方)] ・・・ 約束手形の割引額

約束手形の支払時

  • [負債(受取人)(借方)] ・・・ 約束手形の額面
  • [現金(発行者)(貸方)] ・・・ 約束手形の額面

約束手形のリスクと管理手法

 ここでは、約束手形のリスクとリスクを最小限にするための効果的な管理方法について解説します。