2022-10-07
ファクタリングは本当に危険?メリットやデメリット、注意点も解説

中小企業の経営者や個人事業主の方は、資金繰りに悩まされるケースも少なくありません。その際の解決策として一般化しているのが、ファクタリングです。しかし、まだ広く知られていない資金調達方法のため、危険なのではないかと心配している方も多いでしょう。
この記事では、ファクタリングが危険なサービスなのか、政府の見解なども交えながら解説します。また、ファクタリングのメリットやデメリット、注意点にも触れるため、ファクタリングに興味を持っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
ファクタリングは安全なサービス

ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却し、期日前に現金化する資金調達方法です。ファクタリングは融資ではなく、あくまでも債権の売買であるため、利用後に借金が増える心配はありません。
ここでは、ファクタリングが安全なサービスといえる理由をお伝えします。
<ファクタリングが安全なサービスといえる根拠>
政府が推奨している
ファクタリングは、有効な資金調達方法として、経済産業省が推奨しています。
平成13年12月には「売掛債権担保融資保証制度」が施行され、中小企業が売掛金を担保として融資を受ける際に、信用保証協会が保証する制度も導入されました。このことからも、政府が債権の流動化を推進していることがわかります。
債権譲渡は法律で認められている
ファクタリングは債権譲渡の一種です。債権譲渡は、民法第466条により認められています。
また、2020年には民法が改訂され、債権譲渡登記制度が整備されました。これは、法人が債権を譲渡する際に、その事実を公的に証明できる制度です。これにより、債務者以外の第三者に対して、保有する債権を法的に主張できるようになりました。
ファクタリングが危険と言われる4つの理由

ファクタリングは安全なサービスですが、ネット上などでは「危険」と言われることがあります。その理由は大きく4つあるため、それぞれのポイントを見てみましょう。
悪徳な業者が存在する
ファクタリング会社のなかには、悪徳業者が含まれます。悪徳業者を利用すると、相場とかけ離れた手数料を請求されたり、金利を取られたりする場合があります。
労働者が未払いの給与を債権として売却する「給与ファクタリング」に対応するファクタリング会社も、悪徳業者である可能性が高いです。金融庁からも、違法なファクタリングについての注意喚起がなされているため、ファクタリング会社は慎重に選びましょう。
登録や資格が必要ない
ファクタリングは、政府などの機関への登録をしていない企業や、資格を持たない企業でも行えるサービスです。極端にいえば、誰でもできてしまうサービスなので、危険というイメージがつきまといます。
ファクタリングを規制する法律がない
融資には貸金業法などが適用されますが、ファクタリングを規制する法律はありません(2025年10月時点)。一定の相場は決まっていますが、手数料や契約内容を自由に設定できるため、危険性があると判断されやすいです。
経営状況が悪化する可能性がある
ファクタリングを利用すると、手数料がかかります。仮に売掛債権が100万円で、手数料が5万円かかる場合は、手元に95万円しか残りません。
過度にファクタリングを利用すると、売上が目減りして、経営状況が悪化する可能性があります。これも、ファクタリングが危険と言われる理由の一つです。
ファクタリングを利用するメリット

ファクタリングを利用する主なメリットは、次の6つです。
<ファクタリングを利用するメリット>
ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
早急に現金を調達できる
ファクタリングは、ほかの資金調達方法と比較して、早急に現金を調達できる方法です。ファクタリング会社の多くが即日現金化を可能にしており、急な資金需要にも対応できます。
ただし、ファクタリング会社が休みの場合や、書類不備などで審査が遅れた場合は、即日入金ができないことがあるため注意しましょう。基本は即日現金化できるため、すぐに資金を用意する必要に迫られた場合は、ファクタリングを利用することをおすすめします。
売掛金を期日前に受け取れる
売掛債権は、入金期日まで待たなければ現金化できません。しかし、ファクタリングでは、売掛債権を譲渡することにより、入金期日前に現金が受け取れます。
注意点は、売掛先の信頼度が低い場合、ファクタリング会社による審査が通らない場合があることです。確実に売掛債権を現金化したい場合は、世間的に信頼度が高い会社の売掛債権を譲渡しましょう。
オフバランス化ができる
オフバランス化とは、貸借対照表の資産と負債をすっきりさせることです。これにより、会社の外部評価や資産利益率の向上が期待できます。
オフバランス化は、資産売却により実現することが一般的です。ここでいう資産とは、現金や自動車、不動産、売掛債権、約束手形などを指します。
つまり、ファクタリングは、会社の評価向上と資産入手という2つのメリットを両取りできる、魅力的なサービスといえるのです。
個人事業主でも利用できる
ファクタリングは法人だけでなく、個人事業主でも利用できるサービスです。売掛債権があれば、誰でも簡単に資金調達ができます。
特に農業に携わっている方や、個人レストランを経営している方は、資金不足に直面するケースが多いでしょう。ファクタリングを利用すれば、最短即日中に売掛債権を現金化できるため、ピンチを脱せる可能性が高まります。
また、法人企業でも、ファクタリングを利用している方は多いです。法人企業を専門とするファクタリング会社もあるため、業態を問わず利用を検討しましょう。
赤字でも利用できる
ファクタリングを利用する際の審査で重要とされるのは、売掛先の信用力です。そのため、自社が赤字もしくは債務超過に陥っていても、ファクタリングを利用できる可能性があります。
特に売掛先が上場企業の場合や、公的機関の場合は信用力が高く、審査に通過しやすいでしょう。融資を断られてしまい、資金繰りに悩んでいる場合は、ファクタリングを利用することをおすすめします。
貸し倒れのリスクを回避できる
償還請求権なしの契約を締結する場合、売掛先がファクタリング会社に売掛金を支払わないまま倒産したとしても、利用者が返済義務を負うリスクがありません。貸し倒れのリスクを回避できるため、債権を確実に現金化したい方にも、ファクタリングが適しています。
ただし、償還請求権ありの契約を締結する場合は、万一の際の補填責任を利用者が負います。ファクタリングを申し込む前に必ず契約内容を確認し、貸し倒れのリスクがあるかを調べましょう。
ファクタリングを利用するデメリット

多くのメリットを持つファクタリングですが、以下のデメリットがあることには注意しなければなりません。ここでは、ファクタリングを利用する前に知っておくと良いデメリットを2つご紹介します。
<ファクタリングを利用するデメリット>
それぞれを具体的に見ていきましょう。
手数料が発生する
先述したとおり、ファクタリングの利用時には、ファクタリング会社に支払う手数料が発生します。
本来、売掛債権のお金は、全額をそのまま受け取れるものです。しかし、ファクタリングを利用すると手数料が差し引かれるため、売上が目減りします。売上の目減りをできるだけ抑えたい場合は、手数料が低く設定されているファクタリング会社を利用しましょう。
売掛先との関係が悪化する
ファクタリングには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があります。2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の2社間で契約を締結する方法です。

2社間ファクタリングの場合、ファクタリングを利用したことが売掛先に知られることはありません。しかし、債権譲渡登記が必要な場合、売掛先が調査したら、ファクタリングを行った事実を知られる可能性があります。
3社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社だけでなく、売掛先も取引に関わる方法です。

3社間ファクタリングの場合、売掛先の承諾が必須となるため、ファクタリングを利用しようとしていることが必ず知られてしまいます。その結果、売掛先との関係が悪化したり、売掛先からの信用度が下がったりするリスクがあることがデメリットです。
優良なファクタリング会社を見分ける4つのポイント

ファクタリング会社の大半が優良企業ですが、悪徳業者も紛れている以上、優良・悪徳をしっかりと見極めなければなりません。その際によく確認すると良いポイントは、次の4つです。
<優良なファクタリング会社を見分ける4つのポイント>
ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説します。
手数料が相場とかけ離れていないか
まずは手数料を確認し、相場とかけ離れていないかを調べましょう。ファクタリングの手数料は2社間と3社間で異なり、以下のように2社間のほうが割高になりがちです。
| 契約方法 | 手数料の相場 |
|---|---|
| 2社間ファクタリング | 10~20% |
| 3社間ファクタリング | 1~10% |
2社間ファクタリングは、取引に売掛先が関わらないため、ファクタリング会社のリスクが高い契約方法です。そのため、手数料の相場は、3社間ファクタリングの10倍以上になることも珍しくありません。
上記の相場からかけ離れている手数料が請求される場合、悪徳業者の可能性があるため、要注意です。手数料が高ければ高いほど売上が目減りするため、極端に高い手数料を取るファクタリング会社の利用は避けましょう。
償還請求権はないか
償還請求権とは、ファクタリング会社が売掛先から売掛金を回収できなかった場合に、利用者に補填するよう求められる権利です。償還請求権がある場合、万が一売掛先が倒産するなどのトラブルを起こした際に、不渡りになった売掛金を自ら補填しなければなりません。
ファクタリングは、基本的に償還請求権なしの契約で利用可能です。しかし、一部の悪徳業者は貸金業登録を行っており、償還請求権ありにしている場合があるため、要注意です。
また、貸金業登録をしていないにも関わらず、償還請求権ありの場合は違法です。利用するとトラブルに巻き込まれる恐れがあるため、注意しましょう。
信頼できるファクタリング会社か
以下の要素を満たすファクタリング会社は、優良業者の可能性が高いです。
<優良業者の特徴>
- 所在地や代表者などの会社情報がしっかりと公開されている
- 取引実績を豊富に持っている
- 会社の設立から一定の年月が経過している
- 利用者による口コミが良い
HPなどで運営会社について詳しく触れていない場合や、取引実績が不明瞭な場合は、利用を避けたほうが良いでしょう。
契約書に問題はないか
契約書の内容を確認し、利用者が不利になるような条件が記載されていないかを確認してください。償還請求権があると明記されていたり、違約金に関する条項が設けられていたりする場合は要注意です。
契約内容についてわからないことがあれば、遠慮なく担当者に質問しましょう。優良なファクタリング会社の場合、利用者が理解して納得できるまで、しっかりと説明してくれます。
まとめ
ファクタリングは、政府が推奨する「債権の流動化」を実現できる安全な資金調達方法です。一部で危険との声もありますが、悪徳業者かどうかをしっかりと見極めれば、必要なタイミングで必要な金額の売掛債権を最短即日中に現金化できます。
資金繰りに悩んでいる方や、融資以外の方法で現金を調達したい方は、ファクタリングの利用を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。
